2-1.そういうシナリオ
5月の9日。
この日も憂鬱だ。
なぜなら、あの日以来の初めての数学の授業があるからだ。
僕の隣の席に、高嶺さん。
勉強の内容など、頭に入らなかった。
高嶺さん。。。
随分と遠い。
席は隣なのに。
休み明けのブランクもあり、理解はできないままだった。このまま勉強を放棄し、下のクラスに移ろうかとも思う僕だ。
休み時間、茂木が話しかけてくる。
「新しいデッキ構築したんだけど、今日どうよ?」
デッキとは、カードゲーム用語だ。
「もちろん!」
「彼女はいいのか?」
「う、うん」
なんだか久しぶりに茂木と遊ぶ気がする。
僕は茂木とカードショップでカードゲームを楽しむ。
勝負をしながら、会話が進む。
久しぶりの時間だ。
「まさかお前が七星ちゃんと付き合ってるなんてな。驚いたよ」
「ま、まあね」
「どっちから告白したんだ?」
「な、七星からだよ」
僕と七星は、2人が付き合うまでの設定をあらかじめ決めておいたのだ。
僕が高嶺さんにフラれたその日、僕に想いを寄せていた七星が、僕に告白。そういうシナリオだ。
「なんだよ、彼女の事、苗字で呼ぶのかー?」
僕は手札から、どういうカードを出すか迷っている。
「は、恥ずかしいじゃないか」
「恥ずかしい?2人の時は名前で呼んでいるんだろ?」
「茂木、今日は凄い喋るね」
僕はカードを出す。
それに対し、茂木が切り札を出してきた。
「本当は付き合ってないんじゃないのか?」
「えっ!?」
「そうあって欲しいだけだよ」
茂木は七星に恋心を抱いていたのだろうか。
茂木の切り札により、僕は勝負に負けた。
「俺も彼女ほしー!ガーディアン様みたいなかわいい彼女ー!」
ガーディアン様というのは、カードの絵柄だ。
しばらく遊び、僕らは帰ることにした。
メールが届いている。
僕は目を疑う。
高嶺さんからだった。




