1-2.食堂のメニュー
「て、天使?」
向かいの茶髪でツインテールの女の子は、自らを天使と名乗った。
「まー、アンタら凡人には分からないよね。天使って実在するのさ」
天使が実在?
この子は何を言ってるんだろう。
確かに可愛い女の子を天使と呼ぶことがある。
そういう意味の天使なのだろうか?
「昔からいたんだよ。アンタたちは知らないだけ。私たち天使は〝祝福〟が使えるの。アンタたち人間のとこで言う、超能力ってやつ?」
そんな訳のわからない話とは全く別だが、向かいの天使さんが可愛いので見てられない。
目線を逸らし、食堂のメニューを見ていた。
そもそも、店の人間がいない。どういうことなんだ?
天使は続ける。
「昔から、天使と人間は一部の上の人達で繋がっていて、天使は見返りを求めずに人間を祝福してたの。宝くじが当たるのは、私たちのおかげのケースが多いかな。私たちの力は、人を幸せにするの」
僕は頭の整理で精一杯だった。
どうして近所の食堂で、何故、可愛い女の子と向かい合って、訳のわからない話をしているのか。
「それでね、政府からお願いがあったの。最近、人間は恋愛しないし、結婚もしない。少子化で未来がヤバいって。想像つかなかったけど、アンタみたいないくじなしを見て確信したわ。」
「うーん。。。」
「そこで、天使の祝福を使って、まずは恋愛に前向きになって貰おうっていう、ラブアシスト制度の案が出来たわけ」
「んで、来年度から実験がスタート。アンタが被験者のひとり」
ーーーなるほどなるほど。理解できたような出来ないような。
僕はあるひとつの正解にたどり着く。
「も、ももしかして、き、君とお付き合いするとかですか?」
「は?話聞いてた?」
聞いてるが、意味が分からない。さらに、何故かフラれた気がして僕は身体中熱くなる。
「私の祝福を使って、あなたの恋愛をサポートするの。それがラブアシスト」
「はぁ。。。」
「アシストって恋愛アドバイスですか?」
「アシストは実験段階では、色々あるんだけど。。。アンタにはタイムリープ能力でアシストする事が決まったの」
はぁ。タイムリープ。。
創作のド定番であるが、果たしてそんな事が出来るのか。いよいよ嘘くさい。話を鵜呑みにしてきたけど、天使という時点で怪しい。
「アンタ疑ってんの?」
「は、はい。。。」
「そうよねー。まず信じて貰うとこからだよね」
「とりあえず、祝福してあげるから、私の身体に触って?」
な、なにぃーー?女の子の、身体に、触る!?
どういう事だ!