4-5.オープニング
「ぼ、僕とお付き合いしてくださいッ!」
僕は言う。今までにない声量で、今までにない角度のお辞儀をしながら、愛の告白だ。
クラスメートたちが見ている。そして静まり返る。
僕と告白相手の高嶺さんは注目の的だ。
唐突に始まった告白タイム。黒板の日付は4月28日。時計の短い針は4時を指している。
言うなればクラスの大事件だ。
日々、隅っこでカードゲームをしているような僕が、クラス1の美女と名高い高峰さんに唐突な告白をしたのである。
少しの間、それも2、3分して。
返事が戻ってくる。
「ごめんなさい」
高嶺さんも綺麗にお辞儀をする。
重力に沿って、黒髪ロングが垂れる。床についてしまいそうだ。
周りのクラスメートが騒ぎ出し、僕の心を踏みにじる。
そして、ガラリ、と教室の扉が開く!
七星が現れた。
「いえ〜い!」
七星と僕はハイタッチをする。
タイムリープ!緊急回避だ!
ん、、、、?
あれあれ???
え???
あの、景色が歪みません!?
僕と七星は再度ハイタッチをする。
パチン、と音がなる。
全く意味の分からない状況に、クラス全員が戸惑っている。
え???
あれ???
なんで!?
なんで!?
なんでタイムリープしないんだ!?
「あー、そういうこと?」
七星は何かを納得したようだった。
そこからは、恥ずかしさのあまり、僕の記憶はない。
足の力が抜け、立っていられなくなり、男子トイレに逃げ込み、大便ルームに逃げ込み、ガヤの男子生徒諸君が押しかけ、散々ノックされた。
そこからは記憶がない。
4月28日。
本当の物語は、ここから始まったのかもしれない。
そう、言うなればここまではオープニングだ。
【chapter.01 タイムリープは1日1回5分まで】




