3-5.殺人犯なら
家に帰る前、僕はふと思い出す。
とある疑問。
僕の家の斜め前の加津代食堂。
僕と七星が出会った場所であるが、僕が七星と話をしている時など、お店の人がまるでいなかったのだ。
自転車を一旦自宅に置き、僕はおそるおそる、加津代食堂の前を通る。
店内は擦りガラスなので見えない。
ただ、扉が少し開いている。
引き寄せられるように、僕は扉を開けてみる。
や、やはり!
誰もいない!
七星が加津代食堂にいた事と何か関係があるに違いない!
僕は確信した。なんだか怪しいぞ。
加津代さんは小さな頃からのご近所付き合いの仲であるのだ。
何日も店を開けるなんて事はなかったはずだ!
これは、まさか事件なのでは!?
僕は加津代食堂の厨房に入る。
最近使われた様子がない。
いよいよ怖い。もしかして、加津代さんが死んでしまっているのではないか。。。
僕は階段を登ることを決意した。
というのも、一階は食堂だが、二階は住宅だ。
ーーー加津代さん。。。
倒れていないで。。。
僕は二階に登り、居間らしき部屋の襖を開けてみた。
ガラッ。
こたつがある。
こたつの上にみかんが置いてある。
それを取って食べる七星がいる。
え?七星?
僕はとりあえず襖を閉じた。
いや、たぶん、間違いないのだが
七星は加津代さんの家に住んでいる。
これは理解できる。
じゃあ、加津代さんは!?
まさか七星が殺したのか!?
とりあえず僕は不法な住居侵入に変わりないので、急いで階段を降りて外へ出た。
みかんを持った七星がいる。
いつの間に店の外に出ていたのだ?
「なーにしてんのよ?」
「い、色々わからないけど、君が殺人犯なら、ぼ、僕は警察を呼ぶからなっ!」
七星の頭の上にハテナマークが乗っかっている。
「き、今日はここまでだーっ!」
僕は斜め向かいの自分の家に帰った。
実は先ほど、こたつでみかんを食べる七星の胸元が見えたのである。谷間だ。
僕の頭の中は、加津代さんの事よりも、その景色でいっぱいだった。
おっぱい!!!
いや、今はおっぱいではない!!!
しかし、僕は帰ることにした。