1-1. ラブアシスト制度
そう、そのメールが僕に届いたのは
高校2年生になる1週間前。
3月25日。
ーこんにちは。あなたはラブアシスト制度の被験者に選ばれました。ー
ラブアシスト?
こんなもの、怪しいメールに決まっている。
僕はすぐにメールを削除した。
しかし、すぐにまたメールが来る。
ー消したって無駄ですよ?ー
続々と来る一方的なメール。
ー私は天使。あなたを幸せにするのが使命なのー
ーこれは私たち天使と政府が秘密裏に行うプロジェクト。。。ー
ーラブアシスト制度!ー
ーまずは面会よ!加津代食堂に今すぐ来て!ー
読めば読むほど怪しいメールだったが、
最後のメールだけは信憑性があった。
加津代食堂は僕の家の斜め前にある食堂だ。
具体名が出ると、少し気になる。
ただ、逆に考えれば、具体名が出るということは身近なイケイケグループのいたずらメールではないだろうか?
僕は疑り深い。
そもそも被験者ってなんだろう?
そう思いつつも、僕は何故か一番カッコいいと思う私服に着替えていた。
ーーーそうだ、食堂の前を横切って、横目で店内を見てみれば良いんだ。
クラスのやつらがいれば、僕はそのまま漫画本でも読みに行けばいい。
僕は漫画を読みに行く!と母さんに伝え、家を出た。
ドキドキしながら、加津代食堂を横切る。
のれんがかかっている。
さらに、ガラスは乳白色の磨りガラス。
み、見えない!
食堂の中を確認できない。
僕はそのまま横切る。
そして
Uターン。
もう一度、食堂の確認だ。
その瞬間、食堂の引き戸がガラガラと音を立てて開く。
「なによ!やっぱりいくじなし、うじうじなのねアンタ!」
僕は何故か急に罵倒される。現れたのは茶髪でツインテールの女の子。
同い年だろうか?
いや、もしかしたら僕に向かって話しかけたのではなく、後ろにいる誰かに言っているのかもしれない。
試しに僕は振り向く。
誰もいない。
「アンタに言ってんのよ。タコ!」
「い、いきなり、なんですか?き、きみは。」
僕はか細い声で女の子に答える。
「え?なに、聞こえない!ちょっと来て!」
女の子の左手が僕の右腕を掴む。
顔が赤くなる。
そのまま食堂に連れて行かれる。
気がつくとテーブルを挟んでご対面。
「メール見た?」
「き、君が送ったの?」
「そうよ、で、どうなの?」
「ど、どうなのって何が?」
「ラブアシストを受けるの?」
ーーーまったく、訳が分からない。
「だいたいさ、君は誰なの?」
「天使だけど?」
へ?天使?