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タイムリープは1日1回5分まで  作者: 大野春
chapter.F 僕は走り出す
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3-3.すぐバレる

学校での色んな事が終わり、僕と七星と加代子さんの3人は、加津代食堂にいた。


4人がけのテーブルに、3人は座り、七星のお迎えを待っていた。


終わりの時が、迫っていた。


実感が全く無い。

本当に七星はいなくなるのかな。

むしろ、これはもしかして僕を驚かせる為のサプライズなのだろうか?

そうだ。本当は七星はいなくならないんだ。

ラブアシストも実は終わってない。

僕は疑り深いぞ。隠し事はすぐバレるんだ。




そう、僕は、



この期に及んで、1%でも七星とお別れしない可能性を秘めたシナリオを脳内で作り上げていた。



「あっ」

僕は思い出す。


「七星、これ・・・妹から」


僕は、今朝、妹に渡された手紙を七星に渡した。


「ありがとう」


七星はその場では読まなかった。



加代子さんはうつむいている。





「カヨちゃん、1年間ありがとう」





七星。

今、加代子さんに言葉を投げかけてはダメだ。言葉を求めてもダメだ。


口を開いてしまったら、一気に取り入れた空気の分、涙が先に出てしまうから。


「トイレ」


加代子さんはそう言って、足早に2階に駆け上がっていく。僕らは約束したんだ。悲しいお別れはしない。トイレで涙を拭くのはセーフだ!




「な、七星」

「何よ」

「メールとかって、どうなるの?」

「アンタたちとは出来なくなるわね」

「で、電話も?」

「その通り」

「み、みんな困るよ」

「良いじゃん、〝七星がシカトした〟で丸く収まるわよ」


「そんな」


「それよりも、頼むわよ」

「何を」

「カヨちゃんに決まってるでしょ!」

「だ、大丈夫だよ。トウマもいるし」

「トウマとはうまくいってないわよ!」

「えっ?」

「ま、そういう話は、後でゆっくりしなさいよ。アンタ、今ちょっと嬉しかったんじゃないの?」

「いやっ、そのっ、あれっ」


僕がアタフタしていると、加代子さんが戻ってきた。


「なんの話してたの」

「ト!!!とうふ!豆腐の話!」

「なにそれ」




「2人はこれからどうするの?」




随分とざっくりした質問だな、と僕は思う。

これから?

これからって、どれぐらい先までの話なんだろう。



「私は専門に行く。資格を取って、フリースクールで働きたい」


前にも聞いた、加代子さんの確かなる夢。



僕は。。。





「ぼ、僕は、まだ、決まってないんだ」





「いっぱいあるのね」

「え?」




「可能性」



「そ、そうだね」




食堂の扉が開く。


黒服の男が2人立っている。


時間が、来てしまった。

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