表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タイムリープは1日1回5分まで  作者: 大野春
chapter.01 タイムリープは1日1回5分まで
16/185

2-7.ディス

時間が巻き戻る。

僕と七星は807号室に戻った。



ちょうど、僕が入れた一曲の最後のサビが流れていた。


僕と七星の記憶だけが引き継がれ、世の中の事象は巻き戻されるのだ。僕の尿意も戻るが、ここは我慢だ。



曲が終わり、七星がおもむろにマイクを持って語り出す。

マイクパフォーマンスのようだ。


「なんでタイムリープしたのよ?」


スピーカーから響く、七星の声。



「と、トウマたちとカラオケなんて、無理だよ。。。君には分からないだろうけど」



「え!?なに!?聞こえない!」



僕もマイクを握る。

さながらラッパー同士のディスバトルのように、マイクを握りしめ、対面する。



「き、君には分からないよ!」



「何が!」




「僕は君が言う通りのいくじなしなんだ!トウマみたいなイケイケグループの集まりでカラオケなんて出来ない!」




「ふーん」


意外にも呆気ない返事に僕は戸惑う。



「とりあえず、端末の操作の仕方を教えてよね」





ーーー七星はよく分からない歌を歌っていた。僕も分からない曲だ。



それにしてもマズい。


クラスのイケイケグループが何人もいるのかもしれない。

店を出るのが危険な状況だ。



七星が歌い終わると、僕の心配を読み取ったかのように、語り出した。


「結局、店出る時に鉢合わせしちゃうんじゃないの?」


「うまくバレないように出るよ」


「ねぇ」



その後の言葉が僕に刺さる。





ーーービクビクしながら生きるの、辛くない?





そりゃあ、辛いさ。

でも、君には分からない辛さが、僕にはある。

僕が歩んで来た人生を君は知らない。




もう、2、3曲歌って店を出た。


彼らに会うことはなかった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ