1-5.可能性
それでも私はアイツをサポートした。
せめて、アイツの人生を手助けして、ラブアシスト期間は人間として、生きて、恋をしていようって。
人間と天使は相容れないから、
人間であるうちだけ、恋していい。
私はそうやって自分を言い聞かせた。
アイツと水族館に行った日、本当の事を言った。
「人間になりたい」って。
私はウソをついた。
私はもう、大天使になれないのに、
大天使になれば、人間になれる可能性があるって。
可能性を匂わせた。アイツに。
本当は無理だって思って欲しい。ここで諦めてね、って。
どこかで私とまた巡り会えると思って欲しかった。
だからずっと嘘をついてる。
忘れて欲しくないから。本当は。
アイツだけじゃない。
カヨちゃんとか、教室のみんなが大人になった時、少しでも忘れて欲しくない。私が存在した、たったの1年。人生の長い歴史のたった1年間。それをこの先も一字一句忘れないで欲しかった。
人間になりたかった。
恋がしたかった。
私に出来る事、
私がやりたい事
それは七星瑠奈として
残りの生活を全うすること。
こうしてたどり着く、季節が過ぎて、クリスマス。
本当は皆でパーティがしたかったけど、皆理由をつけて、私とアイツを二人きりにした。
ま、それはそれでいいけどね。
そういうわけで
私は自分語りをしながら、加津代食堂にクリスマスの飾りを施していた。