2-7.僕はセミ
状況を整理する。
カラオケ店の廊下に僕はいる。
807号室を出た瞬間、幼馴染だけども、クラスのイケイケグループに属し、僕とは対極に存在する男、そしてクラスメートのトウマが目の前にいる。
そして、そこから、同じく807号室から七星が出てくる。七星は本日、僕たちのクラスに転入してきた、可愛いツインテールの女の子。
さてさて、僕みたいな男が、今日転入して来た可愛い女の子とカラオケ、こんな状況は普通ならありえない。
いや、あってはならない!
トウマは七星を見て、驚いている。
「あれ、転校生じゃん」
トウマが言う。
「えーと、誰だっけ?」
七星はトウマの事を覚えていないようだ。
黙り込む僕。七星が他人のフリでもしてくれないかと願う。
「んで、これどうやって操作するの?」
七星が端末の操作方法を僕に聞いてくる。
聞いてくるな!今だけは!
「え?お前ら知り合いなの!?」
トウマが聞いてくる。なんて答えればいいんだ、僕!
「ま、まあね」
こう答えるしかない。
「なんだよ、俺も誘えよー。つーか、俺たち皆でいたんだけど、お前らも来る?」
な、なんていうことを言うんだ!君は!!!
君たちイケイケグループに混ざってカラオケだと!?
無理!無理無理!
飛んで火に入る夏の虫!僕はセミ!すぐに散り散りに炭化する!
「ちょうど歌おうとしていたとこなのさ」
七星が言う。
やめろー!!!!僕は瞬間、両手を上げた。
七星がそれを察する。
「え?そういうこと?」
「は、はやく!!!」
焦る僕。
七星も両手を上げる。
この状況下でも、おっぱいに目がくらむ。
おっぱい!!!!
いや、今はおっぱいではない!
七星とハイタッチをする。
景色が歪み始めた。
緊急回避!