2-1.唐突な事実
11月も終わりになりそうなぐらい、時が経ってしまった。
高嶺さんとの距離が戻ってしまったような、そんな感覚もある。
僕はタイムリープを使わないでいた。
6人の転校生は淡々と馴染むようで馴染まないような学校生活を過ごしている。
彼らは僕には干渉してこない。
だけれど、それが怖かった。
やはり監視しているのではないだろうか。
僕は久しぶりに七星と2人で帰る。
「最近使ってないわね」
なんとなく七星と一緒にいる事も少なくなっており、タイムリープを使うチャンスも少なかった。
「うん」
「ヨリ子ちゃんとはどうなの?」
「特に進展は無いかなー。」
ケラケラ笑う七星。
「進展を望んでるんだ?」
「なっ・・・」
図星だ。
でも今からどうやって近づけば良いんだ。分からない。それに、高嶺さんが天使だとか、被験者だとか、僕は疑ってしまっている。
そんな僕は、完全に流れがせき止められ、動きが止まっていた。
もしも、高嶺さんが被験者でも天使でも無いのなら、僕は、残り少ないラブアシストの実験期間に、チャンスを逃しているのかもしれない。
「カヨちゃんは最近トウマといい感じらしいよ?」
え?
ええーっ!?
「トトト、トウマと!?」
「そうだよ。知らなかったの?」
「そうなの!?」
僕は大声を出してしまった。
か、加代子さんは、トウマに、トウマにお熱なのか!?
ぼ、僕からあのトウマに乗換えしたというのか!?
か、加代子さんと僕はキッスをしたんだぞ!許されるのか!それって!!!
唐突な事実に、僕は心にぽっかり穴が空いた。
「ほら、クリスマスパーティーしよって言ったでしょ?そしたらカヨちゃん、もじもじしながらさ、トウマとうまく行ったら、パーティ行けない、って」
うー!!!
うまくいくなぁーっ!!!!
ちくしょう!!!
ど畜生トウマ!!!
ラブアシストだけではなく!!!
加代子さんのアレやコレをぶち壊すつもりか!!!!
いや、今はアレやコレじゃない!!!
「な、七星」
僕は決心する。
「た、高嶺さんを誘いたい!」
「何に?」
「ク!クリ!じゃなくて、クリスマスデート!!!!」
そうだ、僕だって。
「へぇ〜、一大決心じゃん」
七星はそう言いながら、悲しそうだ。
でも、七星との思い出作りもしたい!
「クリスマスパーティーもしようよ!」
僕は決めた。
七星ともクリスマスパーティーをするし、高嶺さんとクリスマスデートをする!
そして僕は考えた。
あるひとつの選択。
も、もしも・・・
高嶺さんを・・・
クリスマスデートに誘えたら・・・
僕は
・・・