3-2.喧嘩腰
ざわつく体育館。
魚住と高嶺さんのやり取りと言うよりは、僕が七星のおっぱいをタッチした事で盛り上がっているようだ。
「な、七星、早く、、、」
首を横に振り、僕の卑猥な手を振り解く七星。
「ダメ」
「なんで!」
「いいから、アンタは黙ってなさい」
その時、死神の格好をした絵留くんが黒のパーカーのフードを脱ぎながら、七星に近づいてきた。
「ナナエル。事態の収束が先ですよ。」
「はい」
「あまりにも人数が多い。書き換えには時間と労力がかかりますね。」
ナナエル?カキカエ?
「私がタイムリープを行います。ミカエルがあのバカとコイツに書き換えを行なってください」七星が僕を指差す。
「分かりました。機転が利きますね。」
ミカエル?
「それじゃあ、使いますよ」
景色が歪み始めた。
僕と七星と絵留くんだけが、歪んだ景色の中に存在している。
「えっ、絵留くん!?」
「直ぐに忘れますから」
「アンタはちょっと黙ってなさい」
あ。あれ?
喋ろうとしても喋れない。
どうして?
どうして絵留くんがこの空間にいるんだ?
絵留くんも天使なのか?
なんなんだこれ?
僕は少し位置がズレて、5分前に戻る。
ちょうど僕がインタビューを受けた瞬間だった。
「これは良いユニフォームですね?」
魚住が僕にマイクを向けた。
「ま、待ってよ魚住!」
「あ?」
その時、僕の右耳から左耳へ、電流の走るような感覚が。
「あれ?」
今、魚住になんて言ったんだっけ?
魚住は僕にどうしてマイクを向けたんだっけ?
「あ?」
何故か喧嘩腰の魚住。
「ご、ごめん。。。」
しーんとなる体育館。
あまりの〝盛り上がらなさ〟に魚住は早々に女子を呼ぶことにした。
「ではお待ちかね、女子の登場です!」
ぞろぞろとステージ上に現れる女子たち!
そして待ってました!高嶺さん登場だ!
僕らのクラスの代表、いや、学校代表、いやいや地球代表のアイドル!!!
高嶺さんがクラシカルメイドで登場した瞬間、体育館がどっ、と揺れた。
立ち上がるも生徒もいて、パイプ椅子の音がうるさい。
『ゔおおおお!!!!!』
男子諸君!絶叫!!!!!
僕も叫びたいところだ!
「それではひとりずつ、インタビューしていきましょうかー」
魚住もテンションが上がっている。
「いいナース服ですね」
「お、お気に入り」
加代子さんはステージ上でもじもじしていた。それが可愛い。
「ジャージ姿ですか?」
「中は水着なんだけどNGになったのよ」
七星が答えると、体育館中が盛り上がる。僕もおっぱいが見たい!
続いては美和子さん。
「秋物のコーデですか?」尋ねる魚住。
「はい。このニットがお気に入りです」
美和子さんがポーズを取ると、体育館が盛り上がる。え?美和子さんってこんなに人気があったの?
八巻さんや、その他女子のインタビューが終わり、ついに、ついに登場!
クラシカルなメイド服の高嶺さんだ!
魚住がインタビューを始めた。