2-1.当日の司会
加代子さんの誕生日サプライズパーティが終わり、僕は帰宅する。
その瞬間、トウマから電話がきた。
出るか出ないか迷う。
でも、多分だけど明日のことで何かあるのだ。
僕は電話に出る。
「よぉー。いま大丈夫?」
「うん」
「いよいよ、明日だなー」
「うん」
「おまえ、衣装決まったの?」
「実は、まだなんだ・・・」
「えっ、ヤバくね?俺のユニ貸そうか?」
ユニ?
「ゆ、ユニ?」
「ユニフォームだよ」
「か、貸してくれるの!?」
「その代わり、条件があんだよなぁ〜」
条件?
「ほら、俺らのステージって、吉田が司会やるだろ?」
「うん」
当日の司会は吉田くんが務め、皆のコスプレにコメントをし、盛り上げる予定だった。
「あれさ、魚住に出来ないかな?」
「えっ?」
どういう意味なのだろう。
僕は疑り深い。
なぜ、魚住?
「いやー、魚住に頼まれたんだけどさ、アイツ、全校生徒の前で〝告白〟するみたいだぜ?」
「こここ、告白!?」
「誰だろうなー。クラスのやつじゃねえか?サプライズらしくてさ、マイクって1本しか無いだろ?だから魚住が司会やりながらずっと持っていたいらしいんだな」
「ふ、ふーん?」
本当にそうなのか?
僕は疑り深い。
もしかして、トウマは祝福を使って、魚住の告白を失敗させようとしてるのか???
くくく。
僕も悪人だ。
魚住の事は好きじゃない。
全校生徒の前で告白に失敗するといいんだ!
それで僕は衣装が手に入る。
ラッキーだ!
「う、うん。学園祭的にも盛り上がると思う」
「よっしゃ!ありがと!」
「あ、明日よろしくね」
「おう。ちなみにさ・・・」
「うん」
「タイムリープは使ってるのか?」
「つ、使ってないよ」
「そっか。じゃあな」
電話が途切れた。
その途端、僕は急に魚住が誰に告白するのか、気になった。
誰なんだろう。
クラスの女子?
まさか高嶺さん?
いやいや、まさかなぁ。
なかなか眠れないまま、ついに月曜日になった。