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タイムリープは1日1回5分まで  作者: 大野春
chapter.07 被験者
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1-1.水曜日


今日は水曜日。 明日が木曜日で、明後日が金曜日。そして土曜日が来て、日曜日に高嶺さんと打ち合わせをして、加代子さんのサプライズパーティーを七星と行って、そして月曜日、学園祭だ。


な、なんて忙しいんだ僕!!!!


僕史上、一番忙しく、現実リアルが充実しているではないか。


ぼんやりと過ごした水曜日の放課後、七星に呼び出される。駐輪場で僕は会話をする。加代子さんはいないみたいだ。

「まずいわ」

早速本題か。

「なにが」

「カヨちゃんの欲しいものが分からない」

「ど、どうしよう」

「この本によると・・・」七星が鞄から例の本を取り出す。

「〝もしも欲しいものがわからない場合、手作りのお菓子などをプレゼントすべきでしょう〟と書かれているわ」

「なるほど」

「でも私はカヨちゃんと同居している。お菓子は作れないわ」

「つまり・・・」

「アンタが作りなさいよ」

「ええーっ!でも、七星も作らないと意味が無いじゃないか」

「それなら私も行くわよ。アンタの家のキッチンを借りるわ」

「わ、わかった・・・」


正直、加代子さんから欲しいものを聞き出すより、こっちの方が早いと思う僕だ。


「今日は材料買いにいくわよ」

「えっ、今日?」

「何か用事あるわけ?」

「な、無いけど・・・」

「暇人なんだからさっさと行くわよ」


僕と七星はスーパーにたどり着く!


僕が買い物カゴとカートを押しながら、七星が欲しい商品を入れていく。

卵や牛乳、お菓子コーナーで飾り付けに使う様なお菓子やらなんやらを選んでいく。僕は携帯端末で検索を行い、ケーキ作りに必要なものを選んでいる。

七星との話し合いで誕生日ケーキを作る事になったのだ。


土曜日にケーキを作り、冷蔵し、日曜日に僕の家から持っていき、サプライズパーティー。そういう流れらしい。


ひと通り店内を回り終える。


「ねぇ、夫婦ってこんなカンジで買い物するわけ?」


七星がふと、そんなことを言い出すので僕は何故か恥ずかしくなった。


「そ、そうだと思う」


「ふたりで食べたいものを選ぶんだ」


「うん」


「いいなぁ」


「そうだね」


「さ、私のカードで買い物済ませて、あとはアンタの家で材料は保管しといてね」

「分かったよ」



僕と七星は別々に帰宅した。

少しでも加代子さんに感付かれない様にしなくてはならない。



僕は、



僕の未来がうまくいったとして



例えば僕がそれなりの大学に進んで



人並みに恋愛をして、誰かと付き合って



就職して、結婚して



そうしたら、僕がスーパーで買い物をした時



僕の隣には誰がいるんだろう。



僕はそんな事を思っていた。


思ってしまった。

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