2-4.漫画雑誌
「お前の隣のツインテの子、可愛いよな」
カードショップの対戦スペース。
テーブルにカードを広げて、僕と茂木は対戦している。
茂木とは基本的に趣味の話しかしないが、今日は珍しく思春期らしい話をしてきた。
「可愛いと思うよ」
僕はあまり女性の容姿に口出しすることはない。話し慣れていないので、口調が上から目線になる。
その後の会話は、カードについての話であり、七星の話はそこで途切れた。
18時になる。
僕たちは店を後にした。
「それじゃあまた明日」
僕は自転車を漕ぎながら、自宅へ向かう。
週間の漫画雑誌を読み忘れていたことに気づき、僕は近くのコンビニエンスストアへと向かう。
店に入るや否や身に覚えのある姿にドキっとする。
ーーー高嶺さん!
黒髪ロングで凛々しい顔立ちで、スカートは少しだけ短い、高嶺さんがいる!
あまりにも美しいので、コンビニのレジで会計をしている姿は、なんだか不釣り合いである。
ーーー何を買ったんだろう。
僕は気になってしまった。
会計中の高嶺さんのうしろに、高嶺さんにバレないように回り込む。
高嶺さんはグミを買っていた。
食感が硬めのフルーツのグミだ。
僕も好きなグミだ。
高嶺さんと共通の何かを見つけた気がして、僕は嬉しい。
漫画雑誌を立ち読みし、高嶺さんが店から出た事をしっかりと確認し、僕もそのグミを買った。
自転車のハンドルに腕をかけ、自由になった手でグミの袋を開け、一粒一粒を口に入れながら、ペダルを漕ぐ。我ながら器用だ。
ーーー高嶺さんは、なんの味が好きなのかな。
「ちょっと。」
目の前に現れたのは、七星だった。