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タイムリープは1日1回5分まで  作者: 大野春
chapter.06 気付いたんだ
118/185

4-1.見ているか。


見ているか。


昨日までの僕。


ふふふ、驚くだろうな、僕よ。


日々、クラスの隅っこでカードゲームをやっているような僕が、クラス1、いや、学校1、いやいや、日本1、ちがう。猫や犬、空想上の存在を越え、銀河系で一番可愛い生物とされる高嶺依子さんの家にひとりで向かっているのだ。


こんな事があるのだろうか。

いいや、無い。ありえない。

もしかしたら夢かもしれないぞ。

僕は頬をつねる。痛くない。


痛くない!?


夢じゃないか!!!



僕は目が覚める。

時計の針は9時30分。

なにぃー!!!!


高嶺さんの家に10時に向かうと約束していたのだ!

僕の家から高嶺邸まで徒歩で37分。これは事前のインターネット検索で確認済みだ。


さて、ここで自転車を使えば間に合う事は明白であるが、僕にはやらねばならぬことがある。


そう、身嗜みだしなみを整える事だ。


僕は最大限のおしゃれをしなければならない!

それでいて、遅刻など許されないぞ!僕!


残りの時間で出来ることは限られている!

ちなみに今日の服は一番カッコいいと思うやつだ!


まずは霧吹で髪を濡らす。


そして僕は洗面所に駆け込み、ドライヤーで髪を半乾きにする!

そこからどうだ!僕よ!

ついに人生初の整髪剤を用いるのだ!


500円サイズの整髪剤を手のひらに載せて、両手でコネコネするのだ。

手のひらの体温で整髪剤が溶ける。うん、いい匂いだ!


手ぐしで整髪剤を髪に馴染ませる。


うん、あれ?


思った様に行かないなぁ。。。


髪をねじったり、とにかく立てたりしてみたけど、インターネットで検索したようには行かない。。。


それになんとなく、整髪剤のつけ過ぎで髪が濡れて気持ち悪く見えるじゃないか!


髪を洗うか否か。僕は迷う。

しかし洗ってしまえば高嶺邸には間に合わないではないか!


どうすべきか。


僕は悩んで、判断する。



よし、このまま行こう!高嶺さんは潤った僕の髪の事より、遅刻の方が嫌に違いない!



僕は着替え、家を出る。


全力で自転車を漕ぐ。風が冷たい。坂を下る。さらに風が冷たい。待ってろ高嶺さん!メイド服!いい匂い!



こうしてたどり着く、高嶺邸!

9時58分だった。間に合ったぞ僕!



大きな門についているインターホンを押し、名を名乗り、用件を伝える。


「よ、依子さんは、いらっしゃいますでしょうか!」

「お待ちくださいって、この前の公務員じゃねえか!」

インターホン越しの声はどうやら坂山さんのようだ。



しばらくして、門が開くと



高嶺さんが待っていた。



「お待ちしておりました」


私服で可愛い高嶺さん!

髪もサラサラだ。

もしかして僕の為に、ヘアアイロンなどを駆使して黒髪ロングストレートにしたというのか!?


僕にはそれが嬉しかった。


高嶺さんの目線が少し上に行く。



「どうしたんですか?その髪型」





やっぱり失敗か!この髪型!!!!

僕のバカ!!!!




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