2-1.やりたいのだ
翌日。
僕はグミを持って登校する。
放課後、加代子さんとゲームセンターでお菓子交換をする為に。
僕は加代子さんとの関係を改善しなければならない。
そんな中、担任の丹波先生がホームルームで語り始めた。
「勉強もいいけど、10月末は学園祭だからな〜。お前ら出し物とか決めておけよ〜」
ざわつくクラス。
吉田くんの漫才、クラス演劇、アカペラ、ダンス・・・様々な意見が飛び交うが、皆の考えがバラバラすぎてまとまらない。
ふと誰かが提案する。
「まずさぁ、リーダー的な奴を決めた方がいいよなぁ?」
そうだそうだ、と同調するクラスメート達。
それを見た丹波先生が語り出した。
「よーし、それじゃあ学園祭やりましょう委員長を2人ほど決める」
やりましょう委員長とは語呂が良いが、長が2人いるのは理解しがたい。
続けて丹波先生は語る。
「そうだな。ボーイミーツガールということで、男女それぞれ1名にしよう。はい、やりたい人、挙手!」
その瞬間なんと、
高嶺さんの手が挙がる。
た、高嶺さん!?
何故!?
いや、何故って事も無いけど。。。
「男子〜誰か手ェ挙げろ〜」と先生。
しかし、誰も手を挙げない。
いや、本当は皆やりたいのだ。
高嶺さんとのペア。
でも、高嶺さんがやるって言ってる中で挙手するのは、なんだかわざとらしいし、いやらしいし、高嶺さんとやりたいです!と主張しているようで恥ずかしい。
皆、おそらくそう言う事なのだ。
クラスがざわざわとし、数分後、先生が続けて語り出す。
「よ〜し、先生がトイレ行ってる間に決めとけよ!」
丹波先生がそう言って教室を出ると、クラス中がまたざわつき始めた。
(ちょっと、アンタやりなさいよ。チャンスじゃないの?)
隣の席の七星が僕をつついてきた。
(そうだけど。。。う〜ん)
(誰かに取られても良いわけ?)
確かにそれもどうかと思うが、そもそも委員長自体面倒なのだ。
僕みたいな日陰者が務めるべきではない役割である。
その時。
「俺は委員長をやりたくない」
突然、魚住が現れて、僕にやりたくないと言い出す。彼はいつもこうだ。自分の主張が激しい。
「お前は、本当はやりたいんだろう?」
と魚住が尋ねてきた。
そりゃあ。。。
「やりたいさ!」
何故か僕は大声で主張した。
すると、クラスが静まり返り、僕を見る。や、やめてくれ!
静まったクラスに再び丹波先生が現れた。
「先生!コイツやりたいって!!!!」
僕を指差すクラスのやつら。
確かに、やりたい!と言ったけど。。。
イヤイヤなのか、チャンスなのか分からないが、とりあえず僕はやりたい、と言ってしまって、高嶺さんとやりましょう委員長をする事になった。
どうなっているんだ!僕!




