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名家の令嬢が嫁ぎに来ました。3  作者: 木っ端ミジンコ
第二章 盗賊団の襲撃
7/53

2-1

 リリビア領への道のりは、ここからが険しくなる。

 これまで、アムイリア領は、他の領軍や国王軍に間借りする形で、安全なルートを選んできたが、国王軍の東部基地より先は、人の住まない森を抜けるしかない。

 盗賊たちは、この森を、合流ポイントに定めていた。

 アムイリア領軍を襲撃するには、この森が最も都合がいい。

 この森は、他の領軍や国王軍の拠点から遠く、また、リリビア領からも距離があるため、援軍が来る可能性が低い。それに、葉が落ちる前の森は、身を隠すにも適していて、秋の実りに溢れているために、食料の調達にも事欠かなかった。


 夜、オレリアスは、ちらちらと燃えるき火にあたりながら、

(防寒具を買わないといけないな~。)

と、ため息をついた。

 北へ北へ向かってきたせいか、秋が深まるのが思ったより早い。この調子で、遠回りをしていたら、いつクイのいる王都にたどり着くのだろう。

「寒~ぅ。俺にもあたらせてくれよ。」

 森の中から、火のそばにやってきたのは、二人の盗賊だった。どうやら、オレリアスを勧誘した三人と知り合いであるらしい。彼らは、オレリアスを横目に、挨拶がわりの言葉を交わした。

「おお、遅かったな。」

「誰だ? こいつ。」

「ああ、途中で俺たちがスカウトした、オレリアスって奴だ。」

「へえ。強そうな奴じゃないか。」

 盗賊稼業とは、こんなものか。他にも、盗賊のグループがいくつも集まっていたが、それぞれに顔も名前も知らないようだった。盗賊たちは、かしらとやらの命令で集まっただけで、襲撃の内容も知らされていない。悪いことに、その頭とやらは、まだ、姿を現していなかった。

(……数が集まりすぎているな。)

 最弱と噂されるアムイリア領軍と、そう変わらない数に見える。かしらの存在がいない今、彼らは、ただの烏合の衆だった。彼らは、何かのキッカケで、勝手に戦闘を始めかねない。

(……どうする?)

 もしそうなってしまった場合、オレリアス一人だけでは手に負えない。

 襲撃をやめるよう誘導できないのなら、せめて、この状況をアムイリア領軍に教えてやることはできないだろうか。このまま夜が深まり、アムイリア領軍の大半が寝静まる前に。

(行くか。)

 オレリアスは、平静を装って立ち上がった。

「なんだ? ……小便か?」

「ああ。」

 盗賊の一人に、オレリアスは、軽く手を振って返した。

「……すぐ戻る。」


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