【第8話】僕とマイカちゃんの初夜?
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《奴隷名》マイカ
《所有者》トモエ=アスカ
《奴隷区分》戦闘奴隷
《奴隷期間》無期限
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その白いプレートの表面には、マイカちゃんが僕の所有物であるという事実が刻まれている。
そしてそのマイカちゃんだが、今は僕の胸の中で泣き始めてしまっていた。
たとえ、今までと同様奴隷の身分だったとしても、あの村から解放されたのだ。泣きたくても泣く事は許されていなかったんだろう。
「マイカちゃん。」
「なに?トモエ君?」
泣きながらもマイカちゃんは、僕に顔を向けてくれる。
「お風呂、入ろうか。そのあとは、夕食にしよう。」
「おふろ・・・・。
なんか、とっても懐かしい単語だね。最後にお風呂に入ったのは、いつだったんだろうか?もう思う出せないほど昔のような気がする。たぶん100年以上前の話だね。
でもいいの?私、100年以上お風呂どころか、行水すらしていないよ。雨に打たれてはいたけれどね。昨日から降り続くこの土砂降りの雨が、私にとってはお風呂みたいなモノだからね。表面上の汚れは、雨が洗い流してくれてはいるけれど、こびりついた汚れまでは落ちていないよ?」
「だから綺麗にするためにお風呂に入るんでしょ?今のままだと、マイカちゃんは町に入る事はできないよ?」
「それはいや。私はこれからずっと、トモエ君の隣を歩いて行くんだから。1秒たりとも離れることなんてできない!!」
そんな他愛のない会話をしながら、僕とマイカちゃんはお風呂場へと歩いていく。この世界に来てからまだ2日しか経っていないけど、マイカちゃんとの会話がとても懐かしく感じている。この世界に降り立ったのが2日前だけであって、年齢通り僕は1,500年前に転生していたのだろうか?
記憶がないのではっきりとは言えないが、・・・・。そういえば、ヒミコさんも、このあたりの事は、詳しく説明してくれなかったな。
まあ別に、そんなことは考えても仕方がないか。1,500年前から生きていようが、2日前に転生してきたであろうが、今の僕には関係のない話だ。
閑話休題。
「そういえばマイカちゃん。服は、それ以外には持っていないよね?」
「うん。あの村で、唯一の私物といえば、これしかないね。これ以外私は、何も私物がなかったから。この服?だって、数年前にあの村で誰かの結婚式だったか何かで、私の所有者であった村長からもらったものだから。それ以来着の身着のままの着たきり雀だったんだよ、私。」
そう言いながらマイカちゃんは、すでに襤褸布と化しているかつてはワンピースだったんだろうと推測できるモノを胸の前で広げている。補修もなく破れたままのそれは、かつてはどんな色の服だったのかも解らないほどに真っ黒になっている。何とも言えない悪臭すら放っているそれを、僕は魔法で塵に変えてこの世から抹消した。
「トモエ君、その行動は、私にこれから先全裸でいろという無言の命令?」
マイカちゃんが、こんなことを聞いてきたので、簡潔にこう答えた。
「新しい服を渡すから、お風呂から上がったらそれに着替えてね。ゴブリンの腰布よりもひどい襤褸布なんて来ていたら、町に近づくことすらできないんだからね。」
「ゴブリンの腰布よりもひどかったの?あれ?」
「うん。実際見てみればいいけど。」
そう言いながら僕は、昼間に殲滅したゴブリンから、腰布を1枚取り出す。
「これが、ゴブリンの腰布。マイカちゃんを助ける前に殲滅したんだけど、その中にいたゴブリンの中でこれが一番汚い腰布だよ。」
「・・・・確かにあれは、ゴブリンの腰布よりもひどいね。」
マイカちゃんは、自分がゴブリン以下の襤褸布を着ていたことに、少し落ち込んでしまった。
お湯につかる前に、マイカちゃんをゴシゴシと洗ったが、最初の10回ほどは、石鹸の泡が立たなかった。10回を超えたあたりで、ようやく真っ黒ながらも泡が立ち、25回目でやっと真っ白な泡がマイカちゃんの全身を包むようになった。
そして、マイカちゃんにとっては、百数十年ぶりとなる入浴だ。ゆっくりと1人で浸かってほしかったんだが、なんだか知らないうちに僕は一緒に入っている。
マイカちゃんが、とてもうれしそうな顔になっているから、まあ別にいいか。僕も満更ではないが、一緒に入れてうれしいと持っている。
そういえば、日本にいたころは、一緒にお風呂によく入ってたっけ。それぞれの両親公認でいちゃついていた。少し周りの目が痛かったので、学校ではあまり一緒にはいなかったが。
これからは、誰の目にもはばからずに一緒にいられる。もちろん、お風呂も一緒でも誰からも文句を言われる事はない。
僕は男の娘でマイカちゃんは女の子だ。
そして、マイカちゃんは、僕の奴隷であり、女の奴隷は、言っちゃ悪いが、そういう面での需要が多い。
「マイカちゃん。」
「何?トモエ君?」
僕の膝の上で、抱っこするように入浴しているマイカちゃんに、僕はこう話していく。
「実はね、この世界。
女性は、奴隷になっていれば、男性の所有者とともに、男湯に入る事が出来るんだよ。もちろん逆の場合も然りだけどね。」
「それって、どういう意味?」
「町の公共浴場では、僕はマイカちゃんを引き連れて、男湯のほうに入る事が可能というわけ。実際、そうやって連れ込まれている女性奴隷を、僕はスキルを使って確認している。
僕は連れ込む事はしないつもりだけど、マイカちゃんがぜひ連れ込んでほしいと頼んでくれば、吝かではないよ?」
「私をヘンタイに調教したければ、トモエ君の好きにしてもいいよ?」
そんなヘンタイ的な話を交えながら、2人でお風呂を堪能する。
その後、僕たち2人は、寝間着にしている浴衣に着替えてから夕食を2人で食べた。あの村では、ほとんど食事を作っていなかったが、生前?に鍛えた料理スキルが、僕に出逢った事により復活して、おいしい食事を作れるようになった。
そして、就寝の時間になる。
「そういえばマイカちゃんは、何処で寝るの?何なら1部屋用意するけど?」
僕の質問に、マイカちゃんは首を傾げる。
「ここには、奴隷が入るような部屋はなかったよね?まさか、リビングの床で寝ろって言っているの?トモエ君?」
マイカちゃんの回答に、ブッと吹き出す僕。
「牢屋がご所望ならば、今から造るけど?作るならば、僕の寝室にあるクローゼットの中かな?ちょうど押し入れのように2段になっていたから、下段を少し改造して牢屋にしよう。
まあ、それは冗談として。
今日からは、僕の隣で寝てもらうね。」
「うん。わかった。」
宣言した僕も、マイカちゃんも、一瞬で茹蛸のように真っ赤になる。
「そういえば、トモエ君と一緒に寝るの、小学校以来だね。」
「そうだったかな?・・・・お風呂はつい最近まで一緒に入っていたけど、・・・そういえば寝床は分かれていたね。」
そんな事を話しながら、寝室へと向かう僕とマイカちゃん。寝室に到着して、ふとクローゼットを開けると、そこには・・・・。
「・・・・。ここは、マイカちゃんを折檻すると気にでも使おうかな?」
「なんで、疑問形なの?そして、折檻するときは、どんな服装がご所望かしら?」
「奴隷が折檻されるときの服装と言ったら、もちろん全裸だね。」
昨日までは何もなかった空間に、鉄格子が嵌った牢屋が出現していた。
「で、私は今晩、あの牢屋の中で寝るの?」
「まさか。今晩は寝かさないよ?」
そう言ってマイカちゃんを、お姫様抱っこする僕。
いくら僕の筋力が低くても、今のやせ細ったマイカちゃんならば、魔法の支援なしでも運ぶことは可能だ。そのまま、キングサイズのベッドに押し倒して、マイカちゃんを上から食べていく・・・・。
翌朝。
外は未だに土砂降りの雨の中。
雷だって時折轟いていたり・・・・。まあ、初日の落雷数・・・・。1分につき1回から、10分に1回程度まで減少はしているが。千里眼で確認したところ、豪雨の範囲が半径50㎞ほどまで減少している(初日は半径100㎞くらいあった)。
この減少量を推察するに、込めた魔力が減少していっているのだろう。
だが、自分でやっておいてなんだが、ここまでとは思ってもみなかった。
千里眼で、豪雨の被害地を観察する。
今、豪雨が降り続いている範囲では、川が増水して数十か所で氾濫がおきている。それも、一番大きい流れの川が、数か所で決壊しており、水没地域は広範囲に及んでいる。僕がいる崖から、一番近い場所にある町パリダカは、高台にあるため水没は免れているみたいだが、町周辺の農地は水没してしまっている。
ちなみに、僕がいる崖の周辺は、廻りを囲む湖の広さが倍ほど増加している。
僕が原因だけど、川の氾濫は不可抗力だから僕に責任はないよね?
このことは、黙っていよう。
閑話休題。
隣で寝息を立てて寝ているのは、全裸のマイカちゃん。
昨晩、おいしくいただきました。
やけにツヤツヤな寝顔をしているマイカちゃんを堪能しながら、今日の予定を立てていく僕。
外は見ての通り土砂降りの雨なので、今日も外出するのはお勧めしないな。下手をすれば、この雨の影響で土砂崩れがあったり、増水した川の水で立ち往生したりするだろうし。昨日は、仕方がなかったとはいえ、雨に打たれて歩く趣味は持ち合わせていない。
さて、マイカちゃんの話では、マイカちゃんはこの世界の事について、ほとんど理解していないだろう。物心がつくくらいから奴隷として働き、あの村から1歩も外には出ていない。マイカちゃんの知っている世界は、あの村の中の事だけだ。村の外の事は、100年以上前の記憶しかないのだから、それはないのと同じである。100年あれば、色々なことが変化していくのだから。
僕も、この世界の事については、何も知らない。
それを踏まえて、今日はマイカちゃんとともに、この世界について勉強しよう。講師は、ヒミコさんが持たしてくれたこのスマフォ?でいいだろう。検索機能をフルに使って、通信講座と行きましょうか。
そんな事を考えていると、隣でごそごそと物音が聞こえてくる。
僕は、マイカちゃんを抱き寄せると、程よく発達している胸をまさぐりながら口の中に舌を入れて蹂躙する。そんな事をしていると、仕返しとばかりに、マイカちゃんの手が朝の元気な僕のあれを握りだす。
そしてそのまま、攻防戦が始まった。
「トモエ君のイジワル・・・・。」
そう言いながら朝食を食べるマイカちゃん。
今日のマイカちゃんの服装は、膝丈より短い長袖ワンピースにホットパンツ、ボーダー柄のロングニーソックスを履いている。もちろんショーツも履いており、本格的の僕の奴隷なった今は、僕の指示に従って対面のソファーに腰かけて食事と摂っている。これらの服は、今朝僕がスキルを駆使して作ったものだ。
ちなみに僕の服装は、マイカちゃんの色違いで同じ服装だ。
「食べながらでいいから聞いてね。今日の予定だけど、通信講座を開いて、この世界の事を勉強しようと思うんだ。」
「通信講座?そんな設備、この世界にあったっけ?」
「世界中探してもないだろうね。僕がこの世界に来る時に、ヒミコさん・・・日本では『天照大明神』と呼ばれていた神様で、この世界ではすべてを遍く照らす太陽神であり、治癒と防御、浄化と解呪を司る『光母神マハー・ヴァイローチャナ』様からもらったこのスマフォがあるからね。この中にある検索アプリがあれば、色々なことを検索して調べる事が出来るんだ。」
そう言いながら、僕の身分証でもあるスマフォを机の上に置く。
「トモエ君・・・・。」
ジト目で僕を見てくるマイカちゃん。
「何?マイカちゃん?」
「トモエ君だけ、ずるい!!」