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(仮)異世界ライフは突然に  作者: ai-emu
【第7章】王都トラディマウントでのひと時
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【第56話】王侯貴族の戒め

王都で1・2を争うほど大きな魔道具店『キノクニヤ魔道具店』。


そこに陳列されている異空間倉庫指輪(僕の作品)を見ていると、アーシャさんが話しかけてくる。

異空間倉庫指輪(この魔道具)、やっと王都にも並ぶようになったんですね。」

「どうしたの?この魔道具が何か?」

僕は、すっとぼけた感じでアーシャさんに聞いた。

「この魔道具なんですが、1か月ほど前に遠く辺境の地『パリダカ』でお披露目されたのち、瞬く間に王都まで噂が広がったものなんです。

そして、昨日の事だっかな?

この魔道具を制作した『流れの魔導具職人』が、いきなりやってきて王都の商業ギルドに卸したらしいんです。

ギルドでは、商人さんの争奪電があって、ここに並んでいるんですが・・・・。

1個王金貨250枚・・・・。

私のお小遣いでは買えませんし、親におねだりできる金額でもありませんので諦める事にします。」


そんな会話を楽しみながら指輪を見ていると、神殿で出会ったあの集団が再び現れた。


「そこにいるのは、貧乏貴族のイエローネイル家の貧乏令嬢じゃないですか。それとそちらにいるのは、・・・・先ほど、高貴な僕たちを馬鹿にしていた下賤な平民のお嬢さんたちですね。

貧乏人が、高価な魔道具の前で何をしているんですか?」

人を小馬鹿にしたように、高圧的な上から目線で話し出すバカさん5人組。たかが伯爵や侯爵の息子や娘、それも嫡男でもない者たちが、そこまで偉そうな態度をとってもいいのだろうか?この国では、『貴族の家系』というだけで、そこまでの権力があるのだろうか?


「え~~~~っと、ワトソンさんから聞いた家名は、確か・・・・。

『エンブレハム侯爵家』・『ケリーネス伯爵家』・『トマルベルク男爵家』・『アードック伯爵家』・『ポーツマルク男爵家』でしたか?

この国で、その家名が何処まで権力があるのかは知りませんが・・・・。たかが学生の身分で、国の要職にすら就いていない者たちに、・・・・どれほどの権力があることやら。

それに、お互いまだ名乗りあっとぃませんよね?

あっ!!そうそう。

あの場にいた人たちの中で、君たちの言う『権力持ち』が数人いましたが・・・・。誰の事だか知っていますか?」


少し棘のある言葉で、チクチクとイジメる僕。あの時に態度から察するに、誰がどんな権力を持っているのかは知らないと見た。

そういえば、名前すら知らないのだ。

貴族だから、下賤の民に(僕たちには)名乗るななどないと思っているのだろうか?

まあ、どうでもいいけれど。こいつらの親には、明日か明後日当たりの謁見で会えるだろうから、その時にチクっと小言でも言っておこうかな?


まあ、いい。


「ところで、名前も知らない貴族の坊ちゃんたち?

あなたたちは、この魔道具がほしいのですか?

もし購入予定があるのなら、王金貨250枚(こんな大金)、何処から出てくるんですかね?たかが子供の小遣いで、そこまで出している親がいるんでしょうか?」

意趣返しではないが、金額を前面に出して少し煽ってみる僕。

「そういうお前は、王金貨250枚出せるのか?俺たちとあまり歳は変わらないみたいだが・・・・。」

僕の煽りに食らいついてくる、何処かの貴族の坊ちゃん。そろそろ名乗ってほしいところだが、あえてそのあたりはスルーしている。ちなみに『世界樹の魔眼』で、すでに五人のステータスは、僕に丸裸にされているのだが・・・・。別に言わなくてもいいことだ。


「見た目で判断すると、痛い目にあいますよ?

僕にとっては、王金貨250枚(このくらいの金額)は、ぶっちゃけますとはした金です。このお店にあるすべての魔道具を購入しても、1割くらい資産が減るだけでしょうね。」

「貴様のような下賤の類が、そんな大金持ち合わせているわけないだろ!!」

「だ・か・ら!!

見た目で判断してはだめだと言っているでしょ?

それに、君は『僕の事』、何を何処まで知っているんですか?未だに、僕の名前すら知らないくせに。」

煽りには、煽りで返してあげます。

「なんだと!!俺は、ケリーネス伯爵家三男カイバル様だぞ。貴様ごとき下賤など、ケリーネス伯爵家の手にかかれば、銅とでもできるんだぞ!!」


言ってはいけないことを、カイバルという男の子が宣言してしまいました。僕は、たしなめるようにはっきりと、現実を直視するように話してあげます。


「先ほども申し上げていますが、貴族の三男如きのあなたは、何の力もなければ、僕を拘束する権限もないんですよ?

貴族としての権限を持っているのは、あなたの父親であるケリーネス伯爵ただ1人です。それ以外の家族は、たとえ嫡男でも伯爵家の力を使うことは禁じられています。これは、ワトソンさんから聞いたことなので確かな事です。

そうそう。

あなたたちが神殿で糞ジジイ呼ばわりしたワトソンさんですが、『アパランチア辺境伯爵』という役職を貰っている貴族様ですよ?

ワトソンさんはとってもお優しい方ですので、少々のことならば水に流してくれますが・・・・。あなたたちが大好きな身分で言えば、侯爵と同等となります。その名を示す通り領地持ちでもあります。

さらに言えば、あなたはただの学生であり、このキシュウ王国の官吏ではありません。

それとも、官吏の登用試験に合格して、国から何か役職でももらっているんですか?

ケリーネス伯爵家三男のカイバルさん?

あなたは、公衆の面前で代紋を名乗った以上、その名乗った代紋に対して責任を持たないといけなくなりますが、代紋を背負う覚悟あって名乗った事なんですか?」


最期に僕が話した事は、ワトソンさんから聞いたことの受け売りだ。


ワトソンさん曰く、過去の歴史において、貴族とその家族が、|小説などの設定みたいに(テンプレのように)貴族特権を振りかざしていた頃があった。

それは、とても酷く、自分たちの生活のために、民に重税を課すのは当たり前。

ひどい貴族になると、息の仕方が気に食わないと言う理由で処刑をする始末。

王族から下級貴族まで、口を開けば不敬罪というほどに荒れた時代があった。


そんな民を虐げるような時代は、長く続く事はなく、一斉蜂起した民により王族が処刑され、その後近隣国であるセンシュウ王国から攻められて、貴族たちは一族郎党みな処刑されていく。

その後、滅ぼした国から来た代官が、新の王となってキシュウ王国は再興される。その際新王となった今の王家の初代は、前王朝の反省を生かして王侯貴族に3つの戒めを設けた。

この戒めは、キシュウ王国が始めたものであり、旧宗主国に最初に広がり、瞬く間に大陸全土に広がっていったという。そして現在では、一部の共和制をとる国を除き、すべての国家で通用する戒めになっている。


その戒めこそが・・・・・。


『貴族特権を持つのは、その爵位を持つ者に限る』


『親族の者が家名を名乗った場合は、その代紋にふさわしい言動をする事』


『親族の中に、家名を貶めた者がいた場合は、その爵位を剥奪する』


実際に、新世キシュウ王国が誕生してから500年ほど経つが、その歴史の中でこの戒めによって爵位が剥奪された貴族家が100家ほどあるらしい。初期の50年間が一番多く、最近では20年ほど前に剥奪された貴族家があったそうだ。


「今ならば、ごめんなさいするだけで、あなたが言った言葉を『なかった事』にしてあげますが・・・・。

これ以上続けるつもりがあるのでしたら、それ相応の覚悟を持ってくださいね?」


最後通告ともいえる言葉を、僕は5人の目をゆっくりと見ながら伝える。

小の5人が、ここで何かの理由をつけて、僕たちを殺そうが拘束しようが、それを行った時点で、5人の家がこの世からなくなる事が確定している。

代紋を背負うとは、そういうことなのだ。

そんな重たい代紋を、好き好んで背負いたいと思う者などはいないだろう。何の覚悟もなしに、代紋を名乗るべきではないのだ。


さて、この5人は、どう出るかな?


「これに懲りたら、2度とこんなくだらない真似はしないでおくことね。

貴方たちが持っている家名・・・代紋は、ひとたび名乗れば、とても重く冷たい責任が、その肩に圧し掛かる事になるんだから。

代紋を名乗る時は、その事に気をつけなさい。

名乗らなければ、ただのじゃれあい程度で流してくれるんだから。

少なくとも僕はね。」


踵を返して立ち去った5人を見送った後、僕はアーシャさんにとあることを尋ねた。

「ところでアーシャさん、この魔道具がほしいの?」

「そしゃあ、ほしいに決まっています!!

これがあれば、討伐した魔物の素材を諦めないで済みますし、何よりも荷物の心配がなくなります。冒険者として活躍しているときや、学園での遠征時では、少しでも荷物を少なくするために、着替えとか食料品を必要最低限に抑えないといけないんですよ!!」

「ああ。僕はそんなことなかったな・・・・。」

つい、そう呟いてしまった僕。

「何でですか?冒険者ならば、たくさん荷物があるはずですよね?何か、裏技でもあるんですか?」

その呟きに、憤るアーシャさん。

「僕、時空間属性持ちだから。異空間倉庫ストレージの魔法が使えるんだよね。だから、普通の人が、どうやって荷物を工面しているのかを知らないんだ。」

「ずるい!!」


まあ、そうなるよね。だから、ここで1つ提案をしてみる。


「1か月後に開かれる、国王様の誕生日記念の武闘大会で、君が上位の成績を収めたら、僕から異空間倉庫指輪ストレージリングをプレゼントしよう。もちろん、五色旗戦隊ファイブフラップ『グリフォンジャー』全員分プレゼントする。

どう?

この勝負。受けてみる気はある?

今のままじゃたぶん無理だろうから、僕の特訓を受けてもらう事になるけど?」


アーシャさんは、僕のこの鬼畜じみた提案を受け入れたのだった。

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