表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(仮)異世界ライフは突然に  作者: ai-emu
【第7章】王都トラディマウントでのひと時
65/67

【第54話】またっりとした休日(その1)

パリダカの領主であるワトソン様を王都に案内した翌日。

僕は、謁見の日取りが決まるまで王都を観光する事に決める僕たち一行。

今日の予定は、パーティメンバー全員(奴隷組も含む)で、水精母神『孔雀明王ハーマーユーリー』を主神として祀っている『トラディマウント中央大神殿』に行き朝のお祈りをする。

その後は、夕方まで、王都をぶらぶらと散歩をしがてらのウインドウショッピングだ。

神殿以外は、各自で自由行動になる。


まず初めに(朝食後)、宿泊している『聖女の寄生木亭トラディマウント宿』の目の前にある、トラディマウント中央大神殿へと向かう。


神殿のつくりは、何処も似通っているのか、正面入り口の前は大きな噴水がある広場になっている。入り口となる楼門からは、敷地を囲む壁が聳え、角ごとにひときわ高い尖塔を配置している。まるで城塞のような造りなので、有事の際はそのような施設にでもなるんだろう。


楼門を潜ると、石畳が敷かれた通路があり、通路の左右には水を湛えた水路、その先は玉砂利の敷かれている庭みたいな部分がある。通路の先には、白亜の建物が建てられており、各辻ごとに建物名称が刻まれたプレートが辻の中央部分にはめられている。


この辺りは、パリダカにあった神殿とは違う部分だ。

神殿の規模自体が、パリダカの神殿に比べて10倍くらいあるが。


神殿の敷地に入った僕たちは、楼門隣に造られている参拝者専用の『禊の聖殿』で身を清める。時間がない場合は、建物脇に造られている御手洗で、手足と口内を清める事になる。僕たちはたっぷりと時間があるので、正式な参拝方式に則っていく事に事前に決めている。

偶然なのか、必然なのは判断に少し困ったが、なぜかパリダカの領主であるワトソン様とその家族と合流し、一緒に神殿へと向かう事になった。

ワトソン様たちはお忍びらしく、護衛の騎士たちを含め、庶民風の服に身を包んでいたりする。

そして、呼びあう場合は、『様』付ではなく『さん』付でいいと。また、極力敬語は控えてほしいと、貴族ではありえないことを僕たちに頼んできた。

どうもパリダカでも、よくお忍びで市井に顔を出していると、護衛の1人から聞いた。その際も、身分を偽っているらしい。

何処かの貧乏旗本の三男坊を名乗る、暴れん坊な8代将軍様みたいだ。もしくは、桜吹雪の刺青を彫った北町奉行様か。

まあ、どちらでもいいが・・・・。

街中を闊歩している姿が見え、思わず吹き出してしまった。


閑話休題。


建物に入り受付に並ぶ。

受け付けは、個人用と団体用がある。単体となる条件は、同一行動をする人数が20人以上であることだ。僕たち『天空の牙』の人数は全部で17人、ワトソンさんのほうの人数は、家族が4人に、各1人ずつの護衛が4人の合計8人。つまり25人の団体さんなわけで、当然団体専用窓口へと並ぶ。

さすがは王都にある神殿なのか、団体窓口にもそれなりの行列があり、待ち時間が40分くらいあった。ちなみに個人用窓口のほうは、60分待ちの行列ができていた。

たぶん、入場規制がかかっているんだと思う。

団体さんである僕たちは、代表してキョウカさんが一括で料金を支払っていく。購入してきた禊用の服と参拝用の服を全員に手渡して、待ち時間を隣接の茶屋で潰す。


待つのも一興かと、皆でだべりながら茶屋の一角を占拠して時間を潰していると、何処かの貴族の3男坊あたりと推測される5人集団(男3人、女2人)が、僕たちに向かって歩いてくる。肩で風を切り、威嚇しながら歩く姿を見て、僕とマイカちゃんは『テンプレイベント発生!!』と念話で会話する。

5人集団は、僕たちの前まで来ると、頼んでもいないのに自己紹介を始める。


「俺は、レッドバリュウ男爵の3男”マイケル=レッドバリュウ”だ。王立総合学園剣術科3年生だ。」

髪の毛からつま先まで全身赤で統一されている人間族の男の子。ここまで決めていると、かえって清々しく感じるのが不思議である。


「俺は、ブルーマウンテン子爵の2男”ジョージ=ブルーマウンテン”だ。王立総合学園楯術科3年生だ。」

青色に染めた学生服もどきを着ているドワーフ族の男の子。その体格と相まって、なかなか様になっている。もちろん髪の色も青色・・・、どちらかといえば藍色だが。どっちでもいいが、地毛なのだろうか?


「僕は、グリーンス男爵の5男”サムス=グリーンス”です。王立総合学園弓術科3年生です。」

風をイメージしているのか、緑色のチュニックを着ている人間族の男の子。髪の毛は緑色である。



「わたくしは、イエローネイル男爵の二女”アーシャ=イエローネイル”ですわ。王立総合学園魔術科3年生ですわ」

黒いワンピースに、黄色のロープを纏ったエルフ族の女の子。黄色に近い金色の髪の毛をしている。精霊の祝福を受けているらしく、光精霊と風精霊が、彼女の肩に座っていた。


「私は、ピンクレイド男爵の3女”キャシャリン=ピンクレイド”です。王立総合学園魔闘術科3年生です。」

何処で調達したのか知らないが、桜色のチャイナ服もどきを着た猫人族の女の子。ピンクの髪の毛から黒色のネコミミが覗いている。あとは、まっすぐ伸びた2本の尻尾が特徴である。


5人の”服装”と、それぞれが名乗った”名前”と”髪の毛の色”を聞いた僕とマイカちゃんは、思わず飲んでいたお茶を吹き出してしまった。ここまでそろっているとは、楽しい人たちだ。

「俺たち5人は、王立総合学園3年の同期であり、『五色旗戦隊ファイブフラップ』というチームを組んでいる。ちなみに、冒険者ランクは全員がC-1であり、『グリフォンジャー』というパーティ名で活動をしている。」

更なる爆弾を落としたマイケル君の言葉に、僕とマイカちゃんはとうとう笑い出してしまった。

あなたたち。それはネタか何かですか?

五色旗戦隊ファイブフラップ『グリフォンジャー』って、・・・・本当にありがとうございます。


「どうしたんだい?トモエちゃん?マイカちゃん?」

僕たちの態度を不思議に思ったのか、ナルシスさんが聞いてくる。

「僕たちの生い立ちは話していますよね?」

「ちょっと前に聞いたな、確か。」

日本むこうでは、子供対象の娯楽で戦隊モノがある事話しましたよね?」

「ああ。」


実は、僕とマイカちゃん、後ユキヒデ君かな。

3人の事は、すでに関係者には告白してあったりする。ちょうど、聖女神の加護(僕の加護)を与えた時にだ。その際、僕が神になったこと、マイカちゃんが僕の聖女となった事もだ。

何時までも隠しれるものではないし、黙っているのもつらい問題でもある。

告白した時は呆れられたが、それでも僕たちを仲間だと暖かく迎え入れてくれた。

突き放された場合は、2人だけのパーティ『アマテラス』の名で、この世界で生きていく覚悟もあったんだよ?

ぶっちゃけ、いろいろな思惑があったんだと思うが、それでも受け入れてくれたことには感謝をしている。そして、僕たちの意向を尊重して、隠しておきたい事柄は黙っていてくれている。特に、神のことと聖女の事に関しては。

その時に、日本にあった数々の娯楽が話題に上り、その場で製作可能な、トランプや花札などのカードゲームや、将棋やリバースなどの盤上ゲームを教えたりした。テレビ番組やテレビゲームは、それ専用の魔道具を開発しないといけないので、言葉を濁して『子供対象の娯楽』として伝えてある。

もちろん、普段一緒に行動している人以外は、内緒の話である。


閑話休題。


5分後、何とか回復した僕とマイカちゃん。

呆気にとられている5人戦隊さんとナルシスさんに、事の次第を話す僕。まだちょっと、思い出すたびに頬がヒクヒクとしてしまうのはご愛敬だ。

「その戦隊モノなんですが、全身タイツと専用ヘルメットで決めていまして。その他何時の色が、基本赤・青・緑・黄・ピンクなんです。シリーズによっては、多少の違いがありますが。

彼らが名乗った名前と、着ている服がですね。・・・・そのう・・・ツボにはまってしまいまして。」

そう言いながらも、僕とマイカちゃんの笑いは止まる事はない。

「服と名前?・・・・ああ、そういうことか。確かに笑えるな。」

ナルシスさんたちもその事に気付き、必死に笑いをこらえている。おこちゃま組の3人は、堪えきれずに笑いだしてしまった。


意味が分からない5人戦隊は、それでも何とか情報を咀嚼して答えを導き出した。


「つまり、今俺らの事を見て笑われているのは、その子供の娯楽の戦隊モノと俺たちがかぶっていたからか?」

「そういう事になります。さらに言えば、学園で名乗っているチーム名と、冒険者ギルドで名乗っているチーム名を1つにすると、『五色旗戦隊ファイブフラップグリフォンジャー』となりますよね。」

「・・・・ああ、そうなるな。それが何か?」

「その戦隊モノの主人公たちが名乗る名前がですね。『〇〇戦隊△△△ジャー』となるんですよ。そこもかぶっていたので、笑いが決壊してしまいました。

そのう・・・・ごめんなさい。」

僕は、素直に謝る。

「まあ、理由が分かればいい。

俺たちだって、話のタネにできるから、それはそれでおいしい気がする。」

そういって、5人戦隊さんたちは、笑いながら許してくれた。


その後は、なぜか意気投合してしまった僕たち一行と5人戦隊たち。

神殿を出た後は、ウインドウショッピングをすると伝えたところ、王都の地理など全く知らない僕たちを案内してくれることになった。

本当に心の広い人たちである。

また、楽しい彼らに自己紹介をして、僕たちが有名な『天空の牙』だと知ると、王都滞在中で暇な時でいいから指導を頼んできた。僕たちは、笑ってしまった手前もあるが、面白そうな5人を指導してみたくなり快く引き受ける。国王様の誕生日までは王都に滞在する予定なので、ちょうどいい暇つぶしができたともいう。


「やっぱり、治癒術を使える人材は少ないんですね。」

5人戦隊が通う学園では、治癒を専門に扱っている学科はないそうだ。そもそも神殿内においても、頑張って育成しているが、治癒魔法を習得している者は数が少ないのが現状である。そもそも、治癒魔法を使える属性である光属性を持っている者が圧倒的に少ないのだが。

ゲームや他の小説では、光属性でなくても治癒魔法を使う事ができるので、少し開発してみようかなと思ている。

後は、精霊魔術か?

精霊魔術は相性があるからな。光属性以上に難しいだろう。


そのあたりの事は、追々考えていく事にしようかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ