【第5話】遠隔操作魔法
僕が放った魔法のため、天気は土砂降りの豪雨だ。あちらこちらで落雷もあり、危険すぎて外に出る事が出来ないである。
そんな中、僕は、色々とできる事が増えたスキルの確認と実験を行っている。
まずは天恵技能『万能異空庫』から行ってみようかな。
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【スキル名称】万能異空庫
【スキル種別】天恵技能
【スキル習得条件】△▽
【スキルの効果】△▽
(1)時間固定型倉庫△▽
(2)フォルダー管理△▽
万能異空庫に入れたアイテムを、任意に分けて分類できる引き出しを作る能力。フォルダーの個数は、生涯レベルの数字だけ作る事が出来る。
(3)自動収納△▽
討伐した魔物やモンスターを、自動で収集して万能異空庫内に収納する能力。フォルダーを指定すれば、自動でそのフォルダーに格納する。
(4)自動解体△▽
万能異空庫に入れた死体を、各部位ごとに自動で解体する能力。フォルダーを指定すれば、自動でそのフォルダーに各部位を分類してくれる。
(5)フォルダー貸与△▽
万能異空庫内に作り出したフォルダーの一部を、第3者に一定条件下で貸し出す能力。定められた条件から外れた場合は、中に入れたアイテム事スキル保有者のモノになる。
(6)XXXXX
(7)XXXXX
(8)XXXXX
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やっぱり、色々とできる事が増えていた。それと、一度視た事がある場所は、隠す事が出来るみたいだ。まだ3つ能力が解放されていないが、これだけでも結構チートなスキルである。
『フォルダー管理』・・・説明通りならば、今の僕は165個のフォルダーをと繰り出せると思う。まあ、戸数はともかく、作り方はいたって単純。パソコンのような感じで作っていくみたいだ。作ったフォルダーも、『新しいフォルダー』という何とも懐かしい名称であり、変更する事も可能である。
自動収納は、討伐した魔物などを手に触れることなく自動的に万能異空庫内に格納する能力で、自動解体は、その格納した対象物を、部位ごとに勝手に解体してくれる機能だ。
それよりも、僕はいつこれだけの魔物たちを倒したんだろうか?
万能異空庫内には、いつの間にか大量の魔物の素材?が入れられている。
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火炎竜の解体部位(1匹分)△▽
飛竜の解体部位(12匹分)△▽
巨大魔鶏(雄)の解体部位(10匹分)△▽
巨大魔鶏(雌)の解体部位(20匹分)△▽
巨大魔鶏の卵(100個)
・・・・・・
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とりあえず僕は、万能異空庫に入っていた魔物の素材から、『火炎竜の鱗』の中から一番小さいモノ出してみた。
火炎竜の鱗は、1枚の大きさが僕の顔の大きさほどある。それほど大きいのにも拘らず、驚くほど軽いのには驚いた。そして、とても固い。
どうやって倒したのかは知らないが、よく倒せたと思う。
もちろん、それぞれの魔物ごとにフォルダーを創って分類しておきましたとも。
次は、とある実験を兼ねて、自動収納の実証実験でもしようと思う。
実験内容は、遠隔操作で魔法を使うことだ。
僕は、千里眼で周囲の確認をしていく。
どうも千里眼の有効射程は、生涯レベルに依存しているらしい。そのため、今の僕の視認距離は、半径165㎞ほどもある。それに連動して、万能地図作製で作られた地図も、半径165㎞の範囲内で、僕が視認出来た場所が詳細に記されていく。
どうもここから100㎞ほど南に行くと、『パリダカ』っていう有名な自動車レースみたいな名前の町があるみたいだね。その町の先は、結構大きな湖が広がっているみたいだ。パリダカの町の地図を拡大して視ると、視認来た通りや建物などはしっかりと記されているが、できなかった裏路地や小さな建物などは地図上には記されていなかった。千里眼を使って、舐めるように町中をスキャンしていけば、より詳細な地図になるんだろうが、今はそこまではやらなくてもいいだろう。
それよりも。
ざっとスキャンしただけで、オークやらゴブリンやらの集落?が点在している。それに交じって盗賊らしきアジトも数十か所ほど見つけた。半径160㎞もある中での話なので、運が悪くなければかち合う事はないと思うが。
とりあえず、こいつらを実験体にするか。実験に失敗したとしても、こいつらならば世間の害獣だ。たとえ変な死体になったとしても、どうとでもなるだろうから。
まずは、あの盗賊からだな。
僕は、パリダカから50㎞ほど離れた村を襲撃して占領してしまっている盗賊団を補足。盗賊らしい行動を行っている盗賊たちを千里眼ですべて補足し、とある魔法の行使のためのターゲットとして指定する。ついでに被害者として強姦を受けている女性たちも指定しておく。
「全員ターゲットロック完了。
転移座標は・・・・。
パリダカにある騎士団の訓練所でいいな。あそこなら、転移後に騎士団が何とかしてくれるだろうし。
では実験開始。
『遠隔集団転移』」
僕の魔力量の半分近くが持っていかれ、実験魔法『遠隔集団転移』が発動する。
遠隔でターゲットにされた盗賊たちと被害者の女性たちは、壊滅した村から騎士団の訓練所へと、強姦されている状態のまま転移される。その時騎士団の訓練所では、たまたま休憩中で50人くらいの騎士たちが壁際で寛いていた。
たまたまではなく、わざと狙ったんだが。
広々とあいている広場の中央に、強姦中の盗賊団がいきなり現れたモノだから、お互い数分間すべての動きが止まっていた。
数運後、あっけなく捕縛されていく盗賊たち。その数盗賊さんが20人、被害者の女性が30人といったところか。
「一応成功かな?次はっと・・・・。」
次のターゲットを探すべく、僕は千里眼で有効視認範囲をスキャンしていく。
次に見つけたのは、先ほどとは違う盗賊さんたちだ。山の中の洞窟を根城にしているみたいだ。
洞窟の中を千里眼で確認すれば、30人ほどの煤汚れた男どもが屯している。洞窟内を隈なくスキャンしてみると、蟻の巣のような形に成形されている事が解った。人為的な成型の跡が見受けられることから、この洞窟は、初めはどうか知らないが盗賊たちが住みやすいように手を入れているんだろう。
入り口から一番近い部屋?には厩があり、50頭ほどの馬が入れられている。
その奥には、大きな広場のような空間があり、その広場を中心にいくつかの部屋に区分けされている。区分けされた部屋を調べると、汚いベッドがたくさん置かれている部屋と、豪華な内装を施した部屋、食料庫と厨房らしき部屋などになっている。豪華な内装の部屋の奥には、さらに小部屋があり、その中には金銀財宝が山のように積まれていた。
洞窟前の広場には、床以外のすべてが鉄格子で出来ている馬車が数台止められており、その中には、雨ざらしに会いながら100人近くに人が入れられている。よくよく確認すれば、全員が黒っぽい首輪を嵌められ、馬車の鉄格子に鎖で繋がれている。手枷・足枷が嵌められ、手枷は後ろ手に嵌められていた。
たぶん、外にいる人たちは奴隷にされ、これから何処かに売られていくのだろう。
次のターゲットはこの盗賊に決まった。
さて、どうしようかを、周辺を探ってみれば、洞窟から1㎞くらい離れた場所に、直径2mほどの不自然な穴を発見した。中を覗いてみれば、その穴は、『鉄鋼蟻』と呼ばれている凶悪な肉食蟻の巣だと判明。この蟻の巣と、盗賊さんたちの洞窟とを結んだら、きっと面白い事が起きるだろうなと予測を立て、次の実験体に盗賊さんと蟻に決定した。
実験のその前に。
奴隷に落とされている人たちと、盗賊さんたちのお宝をいただくとしよう。
まずは、宝物個の中身を、一気に万能異空庫内にあるフォルダーに転移させる。できるかどうか解らなかったが、問題なく成功した。何がどれだけあるのかも、万能異空庫に格納した瞬間に詳細が表示されている。
次は、洞窟前にいる奴隷たちだな。どうせならば開放して元の場所に戻してあげたいが、どういう経緯で奴隷に落とされたのかを確認してからでもいいだろう。ならば、この崖の近くにでもいったん来てもらおうか。僕はそう決定すると、厩にいる馬とともに、この崖の下の湖の湖畔に一気に転移させた。
雨が上がった後にでも、この人たちの今後を決めるとして、いよいよメインの実験と行こうか。
まず初めに、洞窟の周辺に高さ5mほどの壁を構築し、盗賊が逃げれないように処置をする。
次は、蟻の巣の中で、蟻が屯している部屋数か所と、洞窟内の部屋とを空間魔法で繋ぎ、一気に蟻を転移させる。その後、蟻の巣には、出入口のすべてと崖下の湖とを繋げて一気に水没させた。巣穴の中に押し寄せる鉄砲水によって、次々と絶命していく蟻たち。万能異空庫内に作ったフォルダーには、溺死していった蟻たちが次々と転移?してきて、各素材ごとに解体されていく。
盗賊さんたちの方を視てみれば、いきなり現れた鉄鋼蟻たちに対し、恐慌状態に陥ってしまいなすすべなく蹂躙されていった。ほどなくして、盗賊全員の死亡を確認すると、こちらも水没させて蟻たちを溺死させていく。
残りは、下にいる奴隷さんたちだね。
さて、助け出したはいいけれど、どうしたらいいのかな?
僕は、そんな事を考えながらがけ下に転移したきた奴隷に会いに行く事にした。
奴隷に落とされた人たちと今後の事を色々な話し合い、その結果、すでに身寄りのない1人は僕の奴隷として引き取り、残りの120人は、全員奴隷から解放する事になった。
「奴隷解放」
僕がそう唱えると、120人の首に嵌められていた首輪(奴隷隷属の首輪という魔道具みたいだ)が、音もなく外れ地面に落ちていく。手枷・足枷は、話し合いの前に全員の分を外してある。首輪や手枷・足枷、鉄格子付きの馬車は何かに使えるかもしれないので、とりあえず万能異空庫の中に突っ込んでおく。僕が万能異空庫を使った時は、なぜか全員が驚いていた。理由としては、時空間属性を持っている者が極端に少なく、その中でも、万能異空庫が使える者がさらに少ないからだ。
僕は、解放した120人を、奴隷にされる前までいた村などに転移魔法で送った。村の数が数か所にわたっていたのには驚いたが。すべての村が、盗賊団に焼き討ちに会って家がなくなってはいたが、僕が何かする事はない。これからの生活は、自分らで勝手にやっていってもらいたいものだ。
さて、僕の奴隷となりたいといった1人については、早速だけど奴隷契約でもしようかな。
本音を言えば、奴隷なんかほしくなかったし、人の売り買いはなかったんだけどね。
まあ、この世界のセーフティネットの役割がある以上、奴隷制度にとやかく言うつもりはないんだけど。