【第4話】僕の初めての魔法
さて、本日のメインイベントとなる魔法の特訓。
まず初めに発動させるのは、『〇〇ボール』系統の魔法だろう。
僕が持っている属性魔力は、『時空・光・闇・風・水・火・地・無』の8属性だ。つまり、全属性をすべて持っている事になる。
そして、僕は、直感的に無詠唱で魔法を使えると思っている。
まずは、風属性あたりから行ってみるか。
風属性の魔力をイメージ。魔法に込める魔力は・・・これくらいでいいかな?どうせなら、魔力の増加を狙って最大魔力で放ってみるか。形は球体で。大きさは、これくらいでいいかな?目標は、・・・・ちょうど空を飛んでいるあの鳥みたいな巨大な生物でいいかな?
後は、『風裂弾球』
そう唱えた瞬間、体の中から何かが抜けたような感覚がした。多分この抜けたモノが魔力なんだろう。そして、不可視の弾丸が、僕の翳した掌から飛んでいき、目標とした鳥型の何かにあたり、長い?首を切断し、血潮をまき散らしながら落下していく。僕の放った風裂弾球は、威力を落とさずに、そのまま突き進んでいき、その先に聳えている山肌の一部を削り取って何処かに消えていった。
そして僕は、其処まで見届けると、地面に横になって気を失ってしまった。
頬を薙ぐ風で目を覚ます。
再びデジャブな思いに浸りながら目を覚ます。スッキリ爽快とはいかない気分を抑えつつ、ゆっくりと周りを見渡してみる。はるか遠くには、中腹あたりから上を大きく抉られた山が1つ聳えている。その山からは、モクモクと煙が噴き出しており、何やら真っ赤な液体が山肌を滑り落ちている。
僕は、しばし、その光景に目を奪われて、思考が停止してしまっていた。
再起動した後、何故そうなったかを考察してみる僕。
あれをやったのは、間違いなく僕だという自覚はある。
しかしだよ?
僕が放ったのは、ただの風裂弾球だ。実験がてら最大魔力で放ったにしろ、たかが下級魔法1発で、山肌を削り取るような威力はないはずだ。大きさも、直径30㎝ほどだったはず。
・・・・・。
ふと、魔法の事を調べた時に見た一文を思い出す。
『どんなイメージを持って魔法を創ったかによって、使用する魔力量が変化する。同じ魔法でも、術者によって使用される魔力量が違う。』
僕は、どんなイメージを持ってあの風裂弾球を放った?
最大魔力を込めたんだぞ。
数時間前の僕が、どれだけ魔力を持っていたかは知らないが、きっととんでもなく濃縮されていたはずだ。あの風裂弾球には・・・・。
それよりも、あの噴火しかけている山を何とかしないといけないと思う。僕がしでかしたことみたいなので、後始末までしっかりをやらないとね?
となると、水属性がいいかな?
でもどうせまた魔力を使い果たすんだろうから、ここは予防処置をとっておこう。
僕は、そう結論を出すと、草原にコンテナハウスを取り出しその中にいったん入る。
中に入ると、何処かのリゾートマンションに1室をほうふつとするような空間が広がっていた。
部屋の中の探検はとりあえず後にして、僕は、リビングにある大きな掃き出し窓を開けて、外のベランダに出た。
そして、最大魔力を込めて、2つの魔法のイメージを詳細に固めていく。
「極大台風」
「地殻変動」
またもや体から魔力が抜ける感覚があったため、僕はすかさず部屋の中に入り窓を閉めた。
その直後、僕は、部屋の中で気を失った。
どれだけの時間、気を失っていたのかは解らない。
僕は、真っ暗な暗闇の中、窓を叩きつける風雨で目を覚める。
窓の外は、土砂降りの雨、・・・・これは嵐だ。
外は、暴風が吹き荒れており、大粒の雨がすべてを叩きつけている。あちらこちらで落雷があり、轟音が世界を支配していた。時折、視界が真っ白になる時もある。
すでに日が沈み、外は取るの帳がおりきっているが、この雷雨では、星空は期待できないな。
部屋を展開しておいてよかったと、心から思えてくる。そうでもなかったら、この土砂降りの嵐の中だったのだ。
とりあえずお腹の蟲が五月蠅く鳴いているので、晩御飯にでもしようかな。そういえば、この世界に来てから、初めての食事となるなあと、しょうもないことを考えながら部屋を見渡していく。
暗いなあと思ったとたん、部屋辞意に明かりが灯った。
どうも、このコンテナハウスには、高度な魔道具が設置されているみたいだ。
夕食を食べ、一通り部屋の探検をした後、お風呂に入ってベッドに潜り込んだ。
翌日、昨日の晩からの嵐は、いまだに続いているみたいで、大粒の雨が窓ガラスを叩いている。時折轟音とともに落雷も起こっているみたいだ。何時止むか解らない豪雨だが、こんな日は外に出ないで部屋の中でおとなしくしていよう。
さて、日本にいた頃ならば、こういう日はゲームをしたりネットを漁ったりと、暇つぶしの材料には事欠かないのだが、ここは、そういう娯楽が全くと言っていいほどない異世界だ。さらに言えば、今僕がいる場所は人里ですらない。
なので、やれることと言ったら、スキルやステータスを視ることくらいだ。
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【名前】トモエ=アスカ
【年齢】1,500歳【性別】男?女?
【種族】神人族【身分】神民
【生涯レベル】LV160【職業レベル】LV100(LV160)
【天啓職業】唯一の聖女【現在の職業】魔導師
【基礎能力値】△▽
《生命力》500HP
《魔力》550,000MP
《防御力》1,000DEF
《筋力》200STR
《俊敏力》500AGI
《器用力》20,000DEX
【称号】△▽
異世界からの客人・転生者・男の娘
神々の寵愛△▽・神々の巫女△▽
天変地異を起こす者・竜の殺戮者
【加護・呪縛】△▽
創造神の加護・世界神の加護・生命神の加護
時空神の加護・光母神の加護
天空母神の加護・水精母神の加護・火精母神の加護・大地母神の加護
魔法神の加護
【属性魔力】△▽
時空・光・闇
風・水・火・地・無
【天恵技能】△▽
万能異空庫
万能地図作製
魔術の才能
XXXXX
【種族技能】△▽
世界樹の魔眼(LV2)・成長特化(LV5+1)・成長促進(LV5+1)
【固有技能】△▽
言語理解(LV4)・文字理解(LV4)・環境適応(LV5)
商人の嗜み(LV5+1)・メイドの嗜み(LV5+5)・侍女の嗜み(LV5+5)
聖女の嗜み(LV5+1)・王侯貴族の嗜み(LV5+1)
風属性魔法(LV5)・水属性魔法(LV5)・火属性魔法(LV3)・地属性魔法(LV5)
XXXXX(XXX)・XXXXX(XXX)・XXXXX(XXX)・XXXXX(XXX)
XXXXX(XXX)・XXXXX(XXX)
【耐性技能】△▽
生活耐性(LV5+5)・物理耐性(LV5+5)・魔術耐性(LV5+5)・精神耐性(LV5+5)
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・・・・・。
たった1日しか経っていないのに、なんか色々と増えているのはなんでだ?
何がどうなってか知らないが、生涯レベルがいつの間にか『LV160』になっている。たぶん、称号欄にあった『竜の殺戮者』が関係しているとは思うんだが・・・・。
僕の天啓職業って、『唯一の聖女』だったんだ・・・・。それにしても、聖女って、どういう意味なんだろうか?
そんな事を考えたら、『唯一の聖女』について情報が出てきた。
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【職業名称】唯一の聖女
【職業の種類】特殊職業
【習得条件】
2柱以上の神からの祝福がある事
【職業の効果】
(1)固有技能『聖女の嗜み』を取得する
(2)魔法を使用する際の使用魔力が、一般平均値の1割以下となる
(3)魔力が瞬間的に回復する(回復時間と回復量は、1秒あたり1,000MP)
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なんか、とってもチートな職業なんですけど。それも、魔法特化な感じの職業だ。
ちなみに、この職業に就くと勝手に取得する固有技能『聖女の嗜み』とは、こんなスキルだ。
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【スキル名称】聖女の嗜み
【スキル種別】固有技能
【スキル習得条件】
特殊職業『唯一の聖女』もしくは、神職職業『〇〇の聖女』に就くと、自動的に習得するスキル
【スキルの効果】
(1)聖地創営
聖女に就任した場所で、日の出とともに行う『始まりの禊』を行った時に、その場所が聖域として登録される(すでに聖域となっている場合はその限りではない)。生涯に一度しか使うことが出来ない。
(2)聖水創作
聖女のみに与えられている能力。
『始まりの禊』で使用される水を『聖水』に変える能力。
(3)聖水の加護
唯一の聖女のみが持つ能力。
各聖地(各神殿)にある『始まりの禊』で使用される聖水を、『生護不滅の聖水』に変える能力。
(4)聖女の祈り
唯一の聖女のみが持つ能力。
聖女が祈りを捧げた聖地(神殿)の不浄を祓い、聖地創世時の清らかな空間に変える能力。聖女の祈りが行われた聖地は、聖地の霊格が数段階上昇する。
(5)聖女の微笑
その微笑を真正面から受けた者は、邪な心の一切を洗い流される。
(6)聖なる言葉
説法や聖書朗読などを行うと、その言葉を聴いた万民に対し、神勅を受けた神の力の一部を分け与えることが出来る。ただし、邪な心を持った場合(邪な心を持つ者も含む)は発動しない。
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閑話休題。
それよりも、『基礎能力値』が気になる。魔力が550,000MPって、どれだけ持っているのよ?僕。確か、一般的な魔法使いの保有魔力は、10,000MP~100,000MP程度。魔術師と呼ばれている者たちで、200,000MP~500,000MP前後とされているよね?
それにひき変え、筋力の200STRや、俊敏力の500AGIって、どういうこと?
これ、魔法攻撃力はすごいけど、物理攻撃力は皆無に等しいって意味だよね?
何故、こんな魔法寄りの極ブリになったのかは、とある技能を鑑定したら分かった。
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【スキル名称】成長特化
【スキル種別】種族技能
【スキル習得条件】
神人族である事
【スキルの効果】
一番最初に使用した攻撃に関連した『固有技能』を選択して成長させる。
(1)選択された固有技能に関し、レベルアップ時の必要経験値を1割まで減少させる
(2)選択された固有技能に関し、関連する『基礎能力値』の増加率を上げる(使用した量の2倍の量を回復する)
(3)選択された固有技能に関し、関連する固有技能の習得を容易にする
(4)選択された固有技能に関し、関連する固有技能の能力を強化する(強化の割合はスキルレベルに依存する)
(5)選択された攻撃型固有技能以外の攻撃型固有技能に関しては、所有しているモノ以外は新たに習得することはできない
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つまり僕は、一番初めに魔法を使ってしまったから、魔法関連のみ成長が速くなったということだ。さらに言えば、これから先僕は、近接攻撃に関するあらゆる固有技能を習得する事が出来ないらしい。
固有技能がなくても、剣を振ることはできるので良しとしておくか。
そして、僕が発動させた魔法が矢鱈と強大化したのは、僕の天啓職業である『唯一の聖女』の能力と、種族技能の『成長特化』の影響のもと、最大魔力で放った結果だった事が解った。
そして。
僕の魔法で起こったこの豪雨は、魔法が発動してから三日三晩続くのだった。