【第37話】お酒は嗜む程度に飲みましょう
昨日の晩はたのしかったな~~~。
新しい朝ですね。
おはようございます。
僕事トモエ=アスカが、マンテイム伯爵領領都、チューヘルムにある大通りの1つからお送りしています朝の情報番組?
まだ頭がズキズキする・・・・。
ちょっと変なテンションが入ってしまったが、それはお酒のせいとでもしておこう。
はて?
なんで僕は、往来のど真ん中で起床をしたのだろうか?というか、ここは大通りのはずなのに、見渡す限り、人・人・人・・・・。
町中の人がこの通りで寝ているじゃないだろうか。
僕の隣には、なぜか知らないが服でできた山が聳えている。その服の山の下には、見知らぬ顔のおっさんが埋もれて寝ている。
そして、僕を含めて、この通りで寝ている人たちは、全裸になっていたり、下着1枚になっていたりと、通りにいる服装ではない。
ちなみに僕は、全裸で寝ていた。
昨日はいったい何があったんだろうか?
記憶を思い出してみる。
酒はちょっと、と初めは断っていました。
ちなみに、この世界の成人年齢は15歳なので、すでに成人しています。
僕の実年齢は1,500才だからね。外見年齢は15歳くらいだけど・・・・。
まあ、それはいいや。
お酒も煙草もバッチコイ!!な状態ですが、お酒はともかく煙草は吸いませんよ。そもそも、この世界の煙草は最高級品であり、王侯貴族たちが独占しております。世界的に見ても、王侯貴族以外は、煙草を所持している事すらも禁止されています。
仮に見つかると、とっても重い刑罰が待っているらしいですよ。
そもそも、煙草の葉っぱを育てているのが、王宮内の薬草園みたいな区画なので、市井に煙草が流通すること自体、ないと言っても差し支えがない。
煙草の話はいいとして・・・・。
僕もマイコちゃんも、お酒を飲んでもいいのだが、果実を絞った水を飲んでいました。
あまりに温かったので、魔法で氷を作って冷やしていましたが。それを見た周りの人たちのために、勝手に使えとばかりに通りのど真ん中に氷の山脈を作って放置しています。
時間が経つにつれて、大人たちは出来上がっていき・・・・。
誰かが、悪戯で僕とマイコちゃんのコップにお酒(それもアルコール度が50%くらいあるやつ)を注ぎ足したのだ。
つまり、果実水のお酒割❤
それを知らずに僕たちは飲んでしまった。
そのあとの記憶は、どうやって思い出してみても、・・・・・・ない。
本当にない。
通りはお酒臭く、あちらこちらに酒樽が無数に転がっている。
まだ中身が入っている酒樽もあるらしく、注ぎ口からこぼれる酒が、・・・・あれはギルマスだろうか。ギルマスのお口の中へとダイレクトに注がてている。お酒を飲みながら寝るなんて、なんと器用なことをしているのだろうか?
もちろんそんなギルマスも、大事なところが丸見えな状態でして。
僕の隣を見てみれば、僕の右膝を枕に、全裸ですやすやと寝息をたてているマイコちゃんが・・・・。そんな僕も、ついさっきまでは、誰だかわからない全裸の男の人の膝を枕に寝ておりました。だって、男のの上半身は、服の山の中に埋もれているからね。元気にそそり立っている三つ子山が、ヒクヒクとうごめいていることから、この男は生きていると断言できる。その男のそそり立つ三つ子山は、ついさっきまで、僕が手こきをしていた模様。
いったい誰なんだろうか?この男の人?
まあ、誰でもいいや。
本当に、何がどうして、こんな状況になったのか、誰でもいいので、顛末を報告してほしいところだ。
”プルルルル・・・・。プルルルル・・・・。”
そんな時、何処からともなく取っても懐かしい電子音が鳴る。どこからなっているんだろうかと、周りを見渡しても、そんな音のなる物は何処にもない。
”プルルルル・・・・。プルルルル・・・・。”
音源を注意深く探ると、僕が膝枕をしていた男の上半身から聞こえてくる。いや実際には、その上半身を覆い隠す服の山の中からだ。服の山をガサゴソ探ると、何処かで見たことがある修道服が。
いや、僕が普段来ている修道服なんですがね。
そのポケットの中から電子音が聞こえてきていた。
その音源の主は、とっても懐かしいスマフォだった。
はて?この服は確かに僕が着ていた修道服だが、僕の持ち物にスマフォなんてモノはなかったはず。
”プルルルル・・・・。プルルルル・・・・。”
”プルルルル・・・・。プルル、カチャ”
「もしもし。」
何はともあれ、とりあえず電話に出てみる。
「やっと出てくれた~~~~。お久しぶり!!トモエ君。今は、トモエちゃんだっけ?」
「その声は、ヒミコさんですか?ご無沙汰しております。」
そして、他愛のない会話をしばらく続けた後。
「そういえば、ヒミコさんなら、この惨状の事を詳しく知っていますか?」
「ああ。今のその惨状の事?」
ヒミコさんが語ってくれた昨日の出来事・・・・。
宴会が始まってしばらくは、”普通”の飲み会だった。
そのあたりの記憶は僕にもある。
誰かが、僕とマイコちゃんの飲みかけの果実水に、アルコール度の高い酒を継ぎ足したのが悲劇?の始まりだったそうだ。
僕とマイコちゃんは、そのことに気づかずに、お酒入りの果実水を一気に飲み干し、一度机に倒れてしまったそうだ。
確かに、僕の記憶でもここから先はない。でも、ここにはその机らしき物体が存在しないんだけど?
そのことをヒミコさんに聞くと、その机は、あの服の山の中に埋もれているとの事。
そのあとだが。
むくりと起き上がった僕とマイコちゃんの目が座っており、僕が無意識に威圧をかけてこの場を支配してしまう。
その後は、僕の号令で飲み比べが始まていく。
もちろん、僕とマイコちゃんもそれに混ざり、次々と撃沈させていったそうだ。
その際、度数が足らないとか何とか言いながら、店にある酒の度数を上げていき・・・・。街にストックされていた酒の在庫がなくなると、街の井戸や噴水に魔法をかけてすべてお酒(それも神酒)に変えてしまったそうだ。
えっ!!何してるの?僕?
ちなみに今は、ヒミコさんが街の中心部の神殿前にある噴水以外は、元の井戸や噴水に戻してくれているとの事。
本当にありがとうございます。
そして、度数95%というとっても強烈なお酒を自ら造り出して、全員に飲ませたらしい。
その際、一度酒精をぬく魔法を全員にかけてから、樽を一樽ずつテーブルに配り、なぜかわからないが、町中の人たちも巻き込み全員で野球拳を始めたらしい。
本当に、何してるんだろうね。僕は・・・・。
だからか。ほとんどの人が全裸かそれに近い恰好をしているのは。
その野球拳は、僕たちも参加して勝ったり負けたりしながら、徐々に全裸になったそうだ。
全裸になった後も参加が強制されていたらしく、その際負けると、例の僕が作ったお酒を飲ませ、勝てば普通の度数のお酒(普通といっても度数は50%)を飲ませていたらしい。
すべて僕が出した命令だとか。
その結果、ほぼ全員が全裸になってしまった。
そして、この野球拳の勝者は、何かしら服を着ている人らしい。今現在、何処にいるのかは知らないが・・・・。
宴会が終わったのは、日付が変わろうかという時間帯。
ちなみに脱いだ服は、勝者の所有物みたいなので、僕は手に持っていた修道服を、そっと山の中にねじ込んでおいた。
女の子の服をもらえるのはともかく、男の服をもらってもうれしいのかな?そんな疑問が脳裏をよぎった。
そもそも、勝者が男なのか、オンなのかも知らないが・・・・。
まあ、別にいいか。
今更返してもらってもね。
その後、街の住民たちが次々と起きだし、自分たちの惨状を理解してはまた騒ぎ出す。
まあ、そそくさと何かを羽織ったりしていたがね。
そんなこんなで、街に機能が復活したのはその日の夜だった。
『お酒は嗜む程度に飲みましょう』
そんな標語だか論語だかが、その後この町の酒場に掲げられたのは余談だ。




