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(仮)異世界ライフは突然に  作者: ai-emu
【第5章】〇〇は回収しないと先に進めません
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【第35話】トラブルは呼んでいないのにやってくる(その4)

「いよいよボス戦だけど、どういった人選で行くの?」


蚯蚓とモグラをサクッと殲滅した僕は、ボス戦についてギルマスに聞いた。

ちなみに、僕とギルマスは、南門の上に建っている楼閣の中で、椅子に座って紅茶を飲んでいる。ボスと取り巻き以外はすべて殲滅を終えて、今は、魔物たちの剥ぎ取り作業に移行しているため、軽く警戒しながら休憩できているのだ。

ボスの一は、現在川べりにあり、町からは5㎞くらい離れているため、近づいてきているがまだまだ危険は少ない。ドラゴンとタマちゃんは、亜空間の中にお帰り願っており、ゴーレムたちが警戒任務を行っている。


「ボスはヒュドラと、取り巻きの蛇20匹だったな。

低ランク冒険者だと、こいつらの相手は無理だろうから、高ランク・・・Aランク以上が必要になる。

となると、申し訳ないが天空の牙とドラゴンヘッドのメンバーに頑張ってもらわないといけなくなる。」

「まあ、そうなりますよね。

後は、ギルマスと、ナルシスさんと、ヒュレイムさんとで、大まかな討伐予定を決めてもらえばいいとして。

今回の魔物の襲撃。

・・・・ちょっとおかしな部分がありますね。」

「おかしな部分?」

「はい。そもそも、この町の周辺には、ゴブリンやオークはともかく、これほど多くの魔物が生息しているんですか?」

僕の質問に、ギルマスは腕を組んでうなりだす。

「・・・・確かにおかしいのう。これほどまで多くの魔物は、ここ数年は発見されておらん。トモエちゃんの言うとおり、ゴブリンとオークは除くがな。蟻にしてみたところで、こんなにも町の近くに巣があるとは聞いたことはない。

・・・・これは、ひょっとすると、近くにダンジョンが生まれているのかもしれんな。」

「ダンジョンですか?」

「ああ。ここは魔境に近い。

知られていないダンジョンがあってもおかしくはない土地柄じゃ。普通ならば、ダンジョンを発見したら、真っ先に報告が上がってくるはずじゃが、ダンジョンから出る素材を独占しようとして、あえて報告をしてこん時がある。

・・・まあ、ここら辺はあとで確認するとして。

ナルシスとヒュレイムが来たみたいだな。」


ナルシスさんとヒュレイムさんが、僕とギルマスがいる楼閣に来たところで、ボス戦についての話し合いが始まった。


現在僕たちは、今回の魔物の襲撃トレインのボスであるヒュドラに向かって歩いている。遠くにはすでに、ヒュドラの姿が普通に視認できてる。ヒュドラでの距離は、残り1㎞といったところか。

現在の僕たちの陣形は、最前列にマイカちゃんとオーパルさんと、ドラゴンヘッドのマイラックさん。マイカちゃんは、あの巨大な縦と剣を持っている。

2人の後ろには、Vの字型に陣形を組んだ剣術師のみなさん。中央にナルシスさん。右側にアイナさん、シャルルさん、シャルリードさん左側にカザードさん、ティースさん、ヒュレイムさんと並び、左側の一番外に槍術師のハイザックさん、右側の一番外に弓術師のナルミさんとなっている。前衛に囲まれた中央には、回復の要となる僕、魔術支援のキョウカさんとユキヒデ君、あとサララさんが陣取る。


今回、サララさんは完全に見学だ。

実は、サララさんを鑑定すると、光と水・火の属性を持っていた。それを伝えると、本人は全く知らなかった。

実際、片田舎の村娘だったサララさん。

ヒュレイムさんに買われるまで、文字すら見たことがなかったらしく、住んでいた村の中にも、魔法を使える人はいなかったらしい。その代わり、なんでも1人でこなさなくてはいけなかったので、料理を初めとした家事は完璧で、農作業やちょっとした大工仕事もこなせるマルチな人材へと育っている。

もちろん、ヒュレイムさんのパーティ内でも、家事方面の雑用事をすべて引き受けている。


そこに、光属性持と解ったのだ。


今回の騒動が終了した後は、僕やキョウカさん、ユキヒデ君に魔法を習う事になっている。僕やキョウカさんも、どうせこんな騒動の後では、しばらくはこの町を出れないことはわかっているので、快く引き受けた。もっとも時間がなくても、ヒュレイムさんたちも王都へと行くみたいなので、しばらくは一緒に旅ができるみたいだ。

光魔法、特に回復系を覚えれば、今まで戦闘時はただ護ってもらうだけだったのが、これからは皆を護る方向に行くことができるので、サララさんもやる気になっている。


閑話休題。


「今回トモエちゃんは、回復と補助に徹してくれな。」

「わかっています。」

ナルシスさんからのダメ押しに、苦笑しながら答える僕。

これは、出発前のミーティングで決まったことだ。

僕1人でも、このくらいならば軽くひねる事ができると思う。だけど、それじゃあいけないとナルシスさんから言われた。それをしたかったら、もう1つのほうの名前でやれと。

今回は、蛇の魔物で戦いにくいが、このメンバーになってから本格的な、Aランク以上の魔物との戦闘になる。

それに、ちょうどいい実戦訓練になるからと。

なので僕も、『天空の牙』のパーティメンバーとして働く以上は、与えられた役割をしっかりとこなせと言われている。


「ここで、最終確認と行こうか。」

ヒュレイムさんがそう言って立ち止まる。

ヒュドラとの距離は、大体500mほど。お互いにあと一歩動けば、攻撃が届くといったところだ。そんな微妙な距離で立ち止まり、最終確認を行う。もちろん、相手を睨んだままだ。

「まずは、本命とやりあう前に、取り巻きの始末からだ。」


「取り巻きの蛇は、僕が始末するからね。これくらいはやらせてもらうよ?

・・・その前に、状態異常をレジストする魔法を全員にかけておこうかな。

全状態耐性防御オールレジスト』」

僕は、初めにヒュドラの持っている状態異常の魔眼を完全防御する魔法を、討伐メンバー全員に施した。

今回のヒュドラは、鑑定した結果、『身体石化』・『身体気化』・『身体液化』・『身体退化』・『身体成長』・『身体弛緩』・『身体塵化』・『身体腐化』・『身体融合』の9つの状態異常をかける魔眼を持っている事が解っている。

それらを含め、僕が考えうるあらゆる状態異常を、すべてレジストできるようにしてある。


今回出てきた状態異常の状態は、時間がないので割愛をするが・・・・。


「まあ、そのくらいならいいだろう。トモエちゃんに譲って上げるよ。その代わり、ボスは任せてくれよな?」

「ありがとうございます。ではいきます。」

ナルシスさんの許可を得て、僕は取り巻きの蛇たちの殲滅を開始する。ナルシスさんに聞いていたところ、取り巻きの蛇たちも、何かの素材になるみたいなのでなるべく無傷で殺すことにした。

いつものように無詠唱で魔法を行使する。

まずは、蛇たちの空間を隔離したのち、隔離した空間を真空状態にした。その瞬間、蛇たちは、呼吸ができなくなって徐々に苦しみながら絶命していく。そして、そのまま邪魔にならないように、万能異空庫アイテムボックスにすべて格納した。


「邪魔な取り巻きもいなくなったことですし、景気よく挨拶でもしようか!!」


そう言いながら、マイカちゃんが取り出したのは、自身の背丈の倍はあろうかという巨大なブーメラン。確かあれは、マイカちゃんと2人きりだった頃に洒落で造ってあげたものだったはず。たぶん使う機会はないだろうと2人で話して万能異空庫入り(お蔵入り)していたはずだ。重量も、マイカちゃんが持っている武器の中では1・2を争うほど重い。

マイカちゃんは、そんなブーメランを体のバネを使って投擲する。


”ブオン!!ブオン!!ブオン!!”


超重低音の風切り音を轟かせながら、ヒュドラへと回転しながら飛んでいくブーメラン。奥のほうにある首を4つ斬り落としてマイカちゃんの手元に戻ってくる。すかさずキョウカサンが、火魔法で斬りおとした根元を焼き固めていった。

斬りおとして上空を舞っている首を、僕は万能異空庫アイテムボックスにすべて格納する。あんなものでも、何かの素材として使えるし、万能異空庫アイテムボックスに格納できたということは、ただの死体だ。焼き固められた首の根元は、ウネウネト轟いており、時間が経てば復活しそうな気配が漂っている。


ナルシスさんたちもそれは解っているのか、マイカちゃんが斬り落とした瞬間には、すでに駆け抜けており、それぞれ担当?する首を剣で斬りつけている。

マイカちゃんは、ブーメランをその場に突き刺すと、ヒュドラに向かって走っていき、右手に持っている大剣で尻尾をを斬り刻んでいく。

ユキヒデ君やキョウカさんは、魔術でヒュドラを焼いている。僕は、前衛陣が怪我をするたびに、回復魔法をかけて瞬時に怪我を完治させていく。


斬りおとして5分くらいすると、焼き固めた根元から首が瞬時に復活してくる。それも、倍の2つに増えてだ。どうも、首が1本でも残っていると、5分前後で復活してしまうようだ。

「・・・・これは、最初に首を斬り落としてから、5分以内にすべての首を斬り落とさないと、こちらの勝ちにはならないどころか、首の数が増えていくだけですね。」

「・・・・そうだね。でもどうするの?トモエちゃん?」

僕の呟きに、隣で魔法を撃っているキョウカさんが応える。ユキヒデ君は、周りのことも見えないほど、戦闘に集中している。これはこれでいいのだが、ちょっと周りの事が見えないと、これから先はやっていけないと思う。

「そうだね・・・・・。ちょっと考えさせてね?」

「ちょっとだけよ?あまり持たないだろうから。」


ちなみに、僕たち天空の牙に限って言えば、僕とキョウカさんの会話は、念話によって生中継されている。もちろん、ナルシスさんたち前衛の会話も、僕たちに生中継されている。なので、結構な距離が離れていても、双方の連携が取れるようになっている。今回は、この念話網に、ドラゴンヘッドのみなさんも参加できるように、使い捨てのアイテムを渡してあるが。


「じゃあいくよ!!」

「おう!!いつでもいいぞ!!」


前衛陣のGOサインとともに、僕はヒュドラに対して強烈な威圧を放つ。

直後、ヒュドラのすべての首が、木立のようにまっすぐ天を衝く。

異様な光景になった15本の首に向けて、前衛で剣を使っているマイカちゃん、オーパルさん、マイラックさん、ナルシスさん、アイナさん、シャルルさん、シャルリードさん、カザードさん、ティースさん、ヒュレイムさんの10人がそれぞれ1つずつの首を斬り落とし、残りの5本は、ナルミさんの魔法矢の実験台となり、根元から爆散する。

そして最後に、首に中心にある瘤みたいな部分を破壊して、ヒュドラ戦は幕を閉じた。


「あ~~~あ、疲れた!!もう朝だよ!!貫徹しちゃったよ!!朝日がまぶしいよ!!」

マイカちゃんが、開口一番に、皆の気持ちを代弁する。

「初めからこうしておけばよかったね。」

「そうだな。・・・・まあ、練習相手としてはいいんだがな。改善すべき部分は多々あるから、帰ってから反省会だな。」

「それもいいけど、とりあえずは、布団に入って寝たいよ、僕は。」

「それは皆同じだ。それじゃあ、さっさと帰るか。

トモエちゃん、お願いできるか。」

「はいはい、歩いて帰るのも億劫ですからね。」

僕は、ヒュドラの死体を万能異空庫アイテムボックスに突っ込むと、皆を連れてさっさと町の楼門、ギルマスがいるところまで転移する。そして、いきなり現れた僕たちを見て呆気にとられて固まっているギルマスに対し、

「ヒュドラは倒したぞ。詳細は、明日の昼過ぎにでも報告する。俺たちは、これから寝るから、誰も宿に寄越すなよ。

報告終了!!トモエちゃん、お願い。」

と、ナルシスさんが宣言して、再び宿まで転移をする。そして、僕が一気に浄化の魔法をかけて、全身を綺麗にする。この宿にはお風呂が付いているが、風呂に入るとそこで寝てしまう可能性があるので、今回は魔法で綺麗にしてしまう。お風呂は起きてからゆっくりとはいればいい。

「それじゃあ、お疲れさん!!今から寝るぞ!!」

「おう!!おやすみな!!」

「おやすみなさい。」

僕たちは、挨拶もそこそこに、各自の部屋に入り、ベッドに向けてダイブした。

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