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(仮)異世界ライフは突然に  作者: ai-emu
【第5章】〇〇は回収しないと先に進めません
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【第33話】トラブルは呼んでいないのにやってくる(その2)

「実はな、この町一帯の魔物の分布がおかしんだ。」


そんな言葉から始まるヒュレイムさんの報告。


報告によると、10日ほど前にここチューヘルムから、50㎞ほど南に行った村が、魔物の群れに襲われて全滅したらしい。その原因を調べに、指名依頼でドラゴンヘッドが調査に向かったところ、30㎞くらい行った場所で魔物の群れと遭遇。あまりに規模が大きかったため、調査を中断して戻ってきたそうだ。

このことは、今日僕たちと出会う前に、ギルマスに報告済みであり、調査依頼はとりあえず一旦停止扱いになっている。


「という事は、今頃上じゃあ、会議が荒れているんだろうな・・・。」

「いや、そうでもないんだな、これが。」

ナルシスさんの呟きに、ヒュレイムさんが応え返す。

「なんでだ?」

「実はな。ついさっきギルドにどうなったかを確認しに行った時な。ギルマスから、『この町の貴族連中がすべて町を出ていった』と聞かされたんだ。」

「おいおい、俺って、やばいんじゃないか?」

「あいつら!!何のための特権持ちかを、理解していないらしい。こういう時に、率先して住民たちを護ってこその特権だろうか!!

いや、全員じゃないな。

下のほうの爵位持ちの貴族は、全員残って町を守ろうと必死になっている。現在は、冒険者ギルドのギルマスを責任者にして、防衛ための会議を開いているところだ。」

ヒュレイムさんは、酒の力もあるんだろうか、逃げていった貴族たちを憤っていた。


この町を治めていた貴族たちは、『貴族(自分たち)さえよければ、平民(僕ら)の命などどうでもいい』と思っているおバカな貴族さんなのね。お隣を治めている貴族たちの、爪の垢でも飲ませてあげたいと、まったく関係のない僕でも考えてしまう。

「それはそうと、・・・トモエちゃん?」

「なんですか?ナルシスさん?」

「トモエちゃんならば、魔物の群れの詳細を確認できないかな?と思ってな。」

「・・・・たぶんできると思いますけど、今からやりますか?」

「ああ、今から・・・・、そうだな。ギルマスに会いに行こうか。その席で詳細を報告してもらえるかな?それまでに、確認しておいてもらえばいい。」

「わかった。たぶん時間も少ないと思うから、歩きながら確認しておく。」


僕と、ナルシスさん、ヒュレイムさんの3人で冒険者ギルドへと向かうため、宿屋を出ようとした時。


”カ~~ン!カンカンカン!!”

”カ~~ン!カンカンカン!!”


南の外壁辺りら、金属を打ち鳴らす音が聞こえてくる。

「なんの音ですか?」

「あれは、襲撃があるぞという警報だ。今回の場合は、例の魔物の群れだろうな。

くそっ!!

明日いっぱいは大丈夫だと思っていたんだが、見通しが甘かったか!!」

「反省は後でもできる。今は装備を整えてギルドに急ぐぞ!!

キョウカ!!パリスさんを呼んできてくれ。」

ナルシスさんの号令で、慌ただしく準備をしていく僕たち。実際僕たちは、瞬時の装備を整える事ができるので普段着のままだが、ヒュレイムさんたちは部屋へと急いでいった。

ほどなくして、不安顔でパリスさんが、キョウカさんとともに降りてくる。

「警報が鳴り響いているみたいですが、何があったのかご存知ですか?」

僕たちの座っている席に近づきながら、パリスさんが効いてくる。たぶん、この宿屋の中では、一番事情を知っているだろう僕たちの会話に、ほかの者たちも聞き耳を立てているのが手に取るように理解できる。


「そうだな。ここにいる皆も、落ち着いて聞いてくれ。」


こう前置きをしてから、先ほどヒュレイムさんから聞いた話を、食堂内にいる全員に話すナルシスさん。

Aランクの以降は伊達ではないらしく、ナルシスさんの指示で、この宿屋の中に限ればパニックにならずに済んでいる。

「冒険者のヤローどもは、さっさと装備を整えてギルドに向かえ!!何らかの支持がギルドで出るはずだ。俺たちもすぐに向かう。

それ以外の者は、宿屋から出るな!!俺たちがここから出ていったら、すべての扉や窓を固く閉じて何人たりとも侵入を許すな!!

今から宿を出ても危険なだけだ。

トモエちゃん。この宿屋に結界を張っておけるか?」

「このくらいの建物ならば、今すぐにでも張れるよ。」

「じゃあ、結界を張ってくれ。」

僕はナルシスさんの指示で、宿の建物の外壁に沿う感じで結界を張る。

「それと、ナルシスさん。」

結界を張りながら、僕はナルシスさんいとあることを話す。

「わかった。その事については、ギルマスの指示を仰ごう。俺の判断では、どうにもできん事だからな。」


ギルドに着くと、中は阿鼻叫喚の地獄絵図みたいな感じだった。

あちこちから怒号がこだまし、ギルド職員に何があったかを大声で聞いている冒険者たち。職員の、何があったかを正確に理解していないのは見ていてもわかる。

そこへ。


「落ち着け!!貴様たち!!」


けたたましい威圧とともに発せられる声。その声で、場に緊張が走り、一瞬のうちに静まりあえる。


「俺は、ここのギルマスをしているバルド=ガララースだ!!

今何が起こっているのかを、これから詳細に説明する。


「現在、この町に魔物の大群が押し寄せてきている。

その数は、計測不能だ。

幸いにも、魔物の大群と町との間には川が流れている。この川に架かっている橋を、50㎞の範囲にわたって破壊しているため、渡河されるまでは安心といったところだが、それも時間の問題だとみている。

そして、悲しいのかうれしいのか知らないが、俺たちにとってはうれしい知らせも舞い込んできている。

実は、この襲撃の知らせを、この町の領主にもっていった後、とこもあろうに、領主一家と貴族の大部分が町を捨てて逃げていった。彼らは、取る者元らずに、魔物がどの方角からきているのかも聞かずに、一目散に南に向かっていったのだ。」

その言葉に、僕は開いた口が塞がらなかった。

逃げるにしろ戦うにしろ、普通はそこは聞くべきでしょう?そして、何ゆえに、わざわざ大群に突っ込んでいったのかしら?


その疑問はすぐに解決した。


ギルマスの話を聞く限り、川を渡った先には王都とパリダカを結んでいる街道があるのだ。

ただし、このチューヘルムがある盆地は、南北に長く(約300㎞)東西に狭い(約50㎞)形状をしている。つまり、この盆地に架かっている橋を、すべて破壊したという事だ。

川は、その盆地を南北に分離する形で流れており、それぞれ東西の両端は険しい山に阻まれていたりする。さらに言えば、川の北側のほうが、南側よりも土地が高かったりする。

そのため、水防と防衛の観点から、街道を川の南側に通し、北側に街を築いているのだ。一応、北側から抜けていく街道もあるにはあるのだが、防衛の観点からあまり整備もされてなく、峠越えの辺りは崖崩れなどで通行止めとなっている。

今回は、その政策が裏目に出た感じなのだろう。


「貴族連中と共に去っていった衛兵たちの一部が、橋の破壊をしているときに戻ってきてな。

町を立ち去った貴族連中が、全員魔物の群れに飲み込まれて全滅したらしい。

その話が届いたのが1時間ほど前だ。そのため、橋の破壊が途中で終わっているせいで、魔物の群れが渡河してしまった。幸いにも、チューヘルムカが近い橋はすべて破壊し終えているため、町に押し寄せてくる時間を稼げている。だが、あと4時間ほどでチューヘルムに押し寄せてくるだろう。


そこで、ギルドからの緊急依頼だ!!


魔物のどもの掃討と、町の住民を護る事。

報酬は一律金貨100枚!!頑張りしだいでは、無条件でギルドランクを2つ上げよう!!

倒した魔物の素材は、自由にしてもいい。ここは、素材加工の街だ!後で好きなように加工してもらえ!!


参加する奴は、ギルド証を入り口にいる職員が持つ水晶に、掲げてから町の外に出て行け!!町の外では、逃げ出さなかった騎士たちがいる。そいつらの指示に従ってくれ。

以上だ。

野郎ども!!この町を、住民を死ぬ気で守れ!!」

「オオオオーーーーーー!!!!!!!」

建物が揺れんがばかりの蛮声が轟くと、我先に入口へと向かう冒険者たち。そんな中、天空の牙とドラゴンヘッドのみんなは、ギルマスのところへと向かう。少しすいてから入り口に向かう予定なため、その時間を利用して、色々と話す必要があるからだ。


「ギルマス。少し話があるんだが。」

ナルシスさんが、2階へ上がろうとしていたギルマスを呼び止める。

「誰だ?・・・ああ、天空の牙とドラゴンヘッドか。何の用だ?」

「ここでは少し・・・」

「わかった。じゃあ、そこの部屋でいいか。」

「ありがとうございます。」

僕たちは、ギルマスの案内で、半ば前線本部と化しているギルド内の会議室に案内される。


「で、何の用だ?こんな時にわざわざ話しかけてくるんだ。何か、打開策でもあるのか?」

「はい。俺ではなく、パーティメンバーのこの子が、ですがね。」

そう言いながら、ナルシスさんは、僕の肩に手を当てて前の押し出す。

「この巫女がか?どんな情報があるんだ?行ってみろ。有益な情報だったら、作戦に組み込んでみる。」

「まず、僕の名前ですが、トモエ=アスカといいます。」

とりあえずは、自己紹介から始める僕。

「では、僕が今できる現状を、簡潔に伝えます。詳しい内容は、時間がないので割愛しますが、伝えた中で今行使してほしい内容があれば、あとで教えてください。」

「わかった。」

僕の言葉にギルマスが背肯したところで、簡潔に今できる事を伝えていく。

「まず初めに、この町全体に結界を張ることができます。

結界の内容は町に対する攻撃のすべてを跳ね返します。また、町に害をなす存在の侵入を阻止します。

時間がないので簡易版で行きますが、それでも結界の効果は約10日となります。

どうしますか?時間もないことですし、これだけは今すぐ張りますか?」

「・・・・そうだな。防衛側の人数が少なすぎるからな。俺の独断になるが、今すぐその結界を張ってもらえるか?」

「わかりました。

我、トモエ=アスカの名に於いて願う

世界の根源たる天脈と地脈の流れよ

我に従う12の眷属を召喚しこれを使役する

我の願いに応え12の眷属とともに

我の示す地に起こる災いを防ぎ

すべてを護る壁を築け

『干支12支防壁陣』」

わざわざ詠唱した結界構築魔法を唱えると、上空に掲げた右手から12色の光が現れて、それぞれの守護している方角へと散っていく。その光たちは、町を囲む外壁から100mほど離れた場所に着弾すると、それぞれが結びつくように円を描き町を取り囲むドーム状の膜へと変化していく。

「結界の構築を完了しました。町の外壁から、100m以内の場所は安全圏となっています。この結界に出入りできる者は、結界を構築した段階で、結界の範囲内にいる者たちだけです。

それ以外の者については、約1日経ってからでないと入る事はできません。

魔物については、中に入る者たちに従属していれば入れますが、それ以外は死なないと入ることができません。」

「ありがとう。結界については後で通達を出しておく。」


僕が行使した大規模結界魔法を、少しドン引きして見つめるギルマスと、僕の事を知らない人たち。

「次に行きますがいいですか?」

「ああ、たのむ。」

何処かの世界へとトリップしていた、ギルマスたちを呼び戻して話の続きをしていく。

「では、僕ができる事の続きです。一気に話しますので、質問その他は後でお願いします。

1つ目。

今、この町に進行してきている魔物の詳細ですが。僕が持っているスキルを使えば、これを細部にわたるまで調べることができます。

2つ目。

今回の戦闘に参加している人たちすべてに、能力値上昇の補助魔法をかけることが可能です。

3つ目。

進行しているあ物の半数を、僕1人で受け持つことも可能です。

とりあえずはこれくらいですかね。」

僕の発言に、この部屋く時間が再び止まったのを感じた。

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