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(仮)異世界ライフは突然に  作者: ai-emu
【第4章】パリダカでのひと時
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【第29話】神殿の仕組みと治療院

パリダカに来てから5日が経過した。

冒険者となった後は、薬草採取を皮切りに、街中の雑用依頼を受けながら日々精進?している。


僕が受けた依頼は、神殿のお手伝い。

この依頼は、神殿に併設されている地両院で、患者に回復魔法や治癒魔法をかけていくもので、ぶちゃけ回復薬をする者たちの練習としての意味合いが強い。

そのため、僕のほかにも、10人近くの人が一斉に同じ依頼を受けている。もちろん、新人さんからベテランまで幅が広い。今回は、全員が紺色の修道服を着ているので、職業的には牧師と巫女となる。


僕にとっては、一度神殿に入ってみたかったので、一石二鳥の依頼でもある。

さて、いつもは修道服(女性用)を着ているが、頭巾までは被っていない。しかし、神殿に務めている修道女たちは、白色や黒色、紺色の修道服を着て、しっかりと頭巾まで被っている(男性の場合は被っていない)ので、僕も彼女らにならって修道女の正装?になってみる。


それはともかく。


今まで、天空の牙には、回復魔法を使える人がいなかった。

小さな怪我ならば、その場で薬草で治すことができる。

しかし、大きな怪我はそうできない。

万が一に備えて、ポーションは各種準備をしているが、日持ちしないため備蓄品としてたくさん用意できない。足の速いものだと、1日でその効能がなくなり、遅いモノでも10日持てばいいという代物だ。値段や効能もピンキリで、よほど腕のいい薬剤師と懇意でもない限り、大量の購入するのはおススメできないという話である。

これからは僕がいるので、戦闘中でも回復できるようになッたので、とても喜んでくれていた。なんせ、パーティ内の経費で、一番お金がかかっていたのが、何を隠そうポーションの代金なのだ。ほかの経費はケチれても、この経費だけはケチれない。ケチれば、死活問題に発展する可能性すらあるからだ。


その点、神殿では回復魔法を使える人を多く抱えている(神職になるには、回復魔法が使用できる事が望ましい)し、腕のいい薬剤師もたくさんいる。


集合指定時間よりも早く神殿に着いた僕は、神殿の大きな扉から中に入り礼拝堂へと向かう。

この神殿が建っている場所は、神々から35番目の聖地として登録された『八咫烏ヤタガラスの降臨地』にあり、祭神である太陽神『マハー・ヴァイローチャナ』とともに八咫烏も祀られている。

いつものように、般若心経を唱え世界神の2柱の御真言を唱える。その後、『マハー・ヴァイローチャナ』、所謂大日如来の御真言を唱えると、神殿に敷地が、僕を中心にして強烈な神気に満たされた。

真っ先に、この事情な空気に気づいたのは神官たちだ。

それも、上位に位置する者ほど敏感らしい。その発生源を探している者さえいる。それ以外の人は、いつもと空気が変なのは解るが、どう違うのかが解っていない言う顔付になっている。


どうも僕は、長い年月の間に薄れていたこの神域の空気を、一瞬のうちに創られた当初の空間に引き戻してしまったらしい。

これは、普通の神官やこの神殿の巫女や聖女にはできない行為で、僕の職業である『唯一の聖女』のみが使用できる能力?でもある。


この調子だと、神殿(この世界では、神域に神殿がある事のほうが多い)で同じような行為をするたびに、このような現象が起きる予感がしている。

というか、絶対に起きてしまうだろう。


まあ、いいか。


黙っていれば知られる事はないだろう。

お祈りを済ませた僕は、当初の目的である神殿併設の治療院へと足を向ける。


「ごめんくださ~~~い。」


治療院の裏口(神殿から続く廊下の先)で、声を架ける僕。

「どちさままで?本日はどのようなご用件でしょうか?」

応対してくれた神官の女の子が、用件を聞いてきた。

「僕、ギルドの依頼で治療院のお手伝いをしに来たトモエって言います。」

葬挨拶をする僕と、今回一緒に依頼を受けている治癒術師たちだ。それぞれの服装は、各神官の階位に応じた服装になっている。

「これはこれは。申し遅れましたが、私は当治療院の主任治療師をしているマキナといいます。一応この神殿の最高位である、太陽神『マハー・ヴァイローチャナの聖女』を拝命しております。」

そう、自己紹介をしてきたマキナさんは、女性の最高位の階位である神子専用の法衣を着ている。


ここで、神官の階位について解説しよう。


まず初めに、この世界で最も信仰されている宗教は、『唯一無二の世界ロストユニバース教』といい、世界の名前を冠した宗教だ。祀られている神は、世界神の眷属神となっているめ、一神教ではなく多神教となる。世界神自体が、『天脈』と『地脈』を司る2柱なため、そもそも、一神教ではありえないのだが。

その他にも過去、他の世界から来た神職者が、自身の崇める神をそのまま持ち込んで、この世界に広めた宗教も存在している。そのため、数多の宗教が混在している。

そのため、信教の自由は保障されており、過激な行動に出ない限りは弾圧されることもない。


ここでは、『唯一無二の世界ロストユニバース教』における、神官の階位(職業)について話そうと思う。


神官の階位(職業)は、男性職と女性職で分かれており、それぞれの階位に応じて、身に纏う服が決められている。なお、それぞれの階位において着ている服は、神殿勤めのほうが動きにくく、冒険者など外回りに就いている服は動きやすくなっている。また、神殿に属している者は、公私を問わず、寝るとき以外は、常時決められた服装をしていないといけないらしい。

神官になったといっても、生涯独身ではなく結婚し子を儲けても構わない。それは、すべての神が、生命としての義務(子孫繁栄の義務)を全うするよう神託を出しているからである。


僕は、何処の神殿にも属していないので、別にどんな服装でもいい気がするが、パリスさんに購入してもらった服が修道服だったため、なし崩し的にこの服装になっているだけだ。パリスさんには、僕の職業は『巫女』だと名乗ったしね。


それはともかく、それぞれの階位(職業)に応じた服装は、次の通り決められている。


【男性職の階位(職業)】

《奴隷修道士》

汚れ仕事が多いため、黒色の修道服を着ている。

神殿で働いている男性奴隷が就く職業。奴隷商のもとで3ヶ月間過ごした(買い手が現れなかった)奴隷の中で、犯罪奴隷以外の者が落ち着く場所。神殿内における雑務の一切を行う縁の下の力持ち。

光属性もしくは水属性を持っている者は、奴隷身分から解放され修道士として回復系統の魔法の修行をする事になる。身分では奴隷となっているが、神官としてのお勤めも果たし、各種教育も施されている。


《修道士》

白色の修道服(男性用)を着ている。

回復系統の魔法が使えない者が就く職業。通常は、回復系統の魔法の修行をしている。そのため、基本的に神殿から出てくることはない。修行時以外は、神殿に併設されている治療院で、看護師として治療の補助をしている。


《牧師》

紺色の修道服(男性用)を着ている。

回復系統の魔法が使えないと、この階位には上がれない。また、修行のため、冒険者となって各地を回っている者が多い。冒険者パーティの回復職ヒーラーは、この職業の者が圧倒的に多い。


《司祭》

司祭専用の法衣を着ている。

牧師として修行を積み重ね、上級魔法以上を使えるようになると転職できる職業となる。

司祭に転職すると、1年のうち6ヶ月間、神殿に出仕する義務が出てくる。そのため、転職条件をクリーしている牧師の中には、神殿への出仕を嫌いあえて転職しない者もいる。


《聖人》

聖人専用の法衣を着ている。それぞれ指名された神に応じて、法衣のデザインが変化する。

各神殿が祀る神の神託により、転職が可能となる特殊職業の1つ。指名されるのは、各神殿に対し1人となるため、神殿の数だけこの職に就いている者がいる。また、男性神職の最高位となるため、『大司教』以上の役職についている者が多い。


【女性職の階位(職業)】

《奴隷修道女》

汚れ仕事が多いため、黒色の修道服を着ている。常時頭巾の着用が義務付けられている。

神殿で働いている女性奴隷が就く職業。奴隷商のもとで3ヶ月間過ごした(買い手が現れなかった)奴隷の中で、犯罪奴隷以外の者が落ち着く場所。神殿内における雑務の一切を行う縁の下の力持ち。

光属性もしくは水属性を持っている者は、奴隷身分から解放され修道女として回復系統の魔法の修行をする事になる。身分では奴隷となっているが、神官としてのお勤めも果たし、各種教育も施されている。


《修道女》

白色の修道服(女性用)を着ている。常時頭巾の着用が義務付けられている。

回復系統の魔法が使えない者が就く職業。通常は、回復系統の魔法の修行をしている。そのため、基本的に神殿から出てくることはない。修行時以外は、神殿に併設されている治療院で、看護師として治療の補助をしている。


《巫女》

紺色の修道服(女性用)を着ている。

神殿勤めの者は、常時頭巾の着用が義務付けられている。冒険者として活動している者は、神殿に入ると時のみ頭巾の着用が義務となる。それ以外の時は、特に決まりはない。

修道女として修業を積み重ね、回復系統の魔法が使えるようになると転職できる職業となる。そのため、回復系統の魔法が使えないと、この階位には上がれない。また、修行のため、冒険者となって各地を回っている者が多い。冒険者パーティの回復職ヒーラーは、この職業の者が圧倒的に多い。


《神子》

神子専用の法衣を着ている。

巫女として修行を積み重ね、上級魔法以上を使えるようになると転職できる職業となる。

神子に転職すると、1年のうち6ヶ月間、神殿に出仕する義務が出てくる。そのため、転職条件をクリーしている巫女の中には、神殿への出仕を嫌いあえて転職しない者もいる。


《聖女》

聖女専用の法衣を着ている。それぞれ指名された神に応じて、法衣のデザインが変化する。

各神殿が祀る神の神託により、転職が可能となる特殊職業の1つ。指名されるのは、各神殿に対し1人となるため、神殿の数だけこの職に就いている者がいる。また、女性神職(一部例外があり)の最高位となるため、『大司教』以上の役職についている者が多い。


【各神殿における役職】

《神殿奴隷》

『奴隷修道士』・『奴隷修道女』の階位の者が就いている役職。

《下級神官》

『修道士』・『修道女』の階位の者が就いている役職。

《上級神官》

『牧師』・『巫女』の階位以上の者が就いている役職。

《司教》

各神殿内において、祭祀や各雑務を取り仕切っている者たちの役職。中間管理職の位置づけのため、『〇〇司祭』のように、頭にそれぞれ担当している仕事名を付けている。

《大司教》

『聖人』・『聖女』の階位の者が就いている役職。


緩和休題。


「では、こちらへどうぞ。」

マキナさんの後ろについていき、建物内へと足を踏み入れていく。

「今日の皆さんのお仕事ですが。

私についてもらって患者さんたちの治療のお手伝いをしていただきます。

それぞれ割り当てられた治療室には、当神殿に務めている者がいますので、その者の指示に従ってください。」

「はい、わかりました。よろしく願いします。」

僕たちのほうを視線で示してきたマキナさんに、僕はそう返事を返す。

僕たちは、割り当てられたそれぞれの治療室に入り、早速患者の治療を始めていく。

僕の担当は、マキナさんになった。

マキナさん曰く、治療院が開いている時間帯で、午前中はこの町に定住している人たちが来て、午後からは、外部から来る冒険者や商人さんたちがやってくるらしい。

そして、その影響があるのか、午後からくる患者さんの約半数が、外傷があったり弱い毒にやられていたりするそうだ。残り半数は、腕が1本なくなっていたり、今にも死にそうな顔をした人たちだったりする。


聖女の名は伊達ではなく、マキナさんは高位の治癒魔法が使えるので、そういった人たちを担当する事が多い。当然その下で働く僕にも、そのお鉢が回ってくるわけで。

ぶっちゃけますと、力の制御が甘く、マキナさん以上に頑張ってしまいました。

マキナさんにもできない行為、欠損部位の再生なんて事をしてしまいまして。

・・・少し、・・・いや。

ちょっとした騒動を起こしてしまいました。

そのことで、ついさっき神殿から勧誘がありました。

丁重にお断りをしましたが。

まあ、僕の魔法属性の1つ、『時空間属性』が功を奏しているのか、それ以上の勧誘はなかったのでこの話はここまでとなります。



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