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(仮)異世界ライフは突然に  作者: ai-emu
【第4章】パリダカでのひと時
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【第24話】ギルマスと会談(その1)

冒険者ギルドを出た後に向かったのは、道を1本隔てた場所に建っている商業ギルドだ。

建物の中は、1階が受付となっているカウンターがずらりと並んでおり、それぞれのカウンターごとに、下部組織の各ギルドとなっている。

そして、すごい人だかりがそれぞれのカウンターにできており、なんだか少し殺気立っている感じだ。

「トモエちゃんにナルシスさんではありませんか。どのようなご用件でこちらへ?」

どのカウンターに行ったらいいのか解らず、オロオロとしていた僕たちに気づいて、パリスさんが声をかけてきた。

「冒険者ギルドでの登録が終わったので、次はここに来たのだが。この人だかりは、いったいどうしたんだ?この時間ならば、もっと少ないはずなんだが?」

代表して、ナルシスさんが答える。

「これですか?

つい先ほど、冒険者ギルドのほうに、めったにお目にかかれない魔物素材が、綺麗に解体された状態で納品されまして。それを聞きつけた商人や生産者が、こぞって押しかけている次第です。

先ほど私も、素材を見てまいりましたが、火炎竜レッドドラゴンの素材が半身、飛竜ワイバーンの素材が12匹分、巨大魔鶏コカトリス(雄)の素材が5匹分、巨大魔鶏コカトリス(雌)の素材が10匹分、巨大魔鶏コカトリスの卵が50個。大きなものでもこれだけございました。その他にも、色々な魔物の素材があり、それの影響でこのような有様です。

いったい誰が、それほど多くの素材を持ち込んだんでしょうかね?それだけ多ければ、町に入った段階で噂になるはずなんですが?」


どこかで聞いたような話をしてくるパリスさん。僕を見ながら話してきます。半分確信めいている感じですね。

はい。僕が持ち込みました。

たぶん・・・というか、絶対僕が売り払ったモノです。

そんな事は微塵もいえません。

「さあ~~?いったい誰が持ち込んだんですかね?ボクニハワカリマセン。」

すっとぼけてみましたが、パリスさんの目は誤魔化せたでしょうか?

実は、飛竜ワイバーン以外は、まだ半分残っているんですよ?


それにしても、情報が流れるのがすごく速い気がします。

僕が、素材を売り払ったのがお昼前。それから昼食を摂ってん商業ギルドに来たので、まだ2時間も経っていません。商人さんの情報網を甘く見ていました。それは、ナルシスさんも同じで、乾いた笑みを浮かべながらこう答えています。

「それはすごいな。いったい誰が売ったんだ?」

僕が売り払った現場を目撃しているのにも係わらず、ナルシスさんも澄ました顔で答えています。他のメンバーは、うっかり口を滑らすのはまずいと見て、人形のような澄まし顔で何処か遠くを見ています。

「まあいいです。あ・と・で!!しっかりと答えてもらいますよ。トモエちゃん?」

「はい。」

どうも、誤魔化しきれなかったようです。ナルシスさんは、僕の肩をたたきながら、こう話してくれました。

「パリスの旦那をだますには、お互いまだ50年は早かったみたいだな。」

「50年は言いすぎですよ、ナルシスさん。最初に話した時に目が泳いでいなければ、私でも騙されていました。」

「そうか。今度からは気をつけような。トモエちゃん。」

「・・・・はい。気を付けます。・・・・」


「この話はここまでにしておいて、トモエちゃんの商業ギルドへの登録ですよね。」

「そうだ。だがな・・・・」

「こちらへどうぞ。トモエちゃんの能力は、私1人がどうこう出来るモノではありません。ギルマスに話を通してありますので、私とともに来てください。」

・・・なんか、知らないうちに、話が大きくなってしまっています。

僕たちは、パリスさんの後ろをついて、喧噪に包まれている1階を抜けて5階まで上がりました。


”コンコン”


「誰だ?」

「アラガルト商会のパリスです。例の件で、トモエ=アスカ氏と、彼女が所属する冒険者パーティ『天空の牙』の代表者数名をお連れしました。」

「入れ。」


中に入ると、10m四方ほどの部屋の中央部に応接セットが置かれており、片側のソファーにはすでに3人の先客が座っています。部屋の内装は、下半分に木の板が打ち付けられており、上半分が白壁になっています。

「どうぞ、トモエちゃんとナルシスさんはソファーへ、残りは申し訳ありませんが後ろに立っていてください。奴隷身分であるマイカは、その後ろで床に正座です。」

パリスさんに勧められて、僕とナルシスさんは空いているソファーに腰かけました。どういうわけか、僕が真ん中で、ナルシスさんが左側、パリスさんが右側です。

他のメンバーは、指示通りにソファーの後ろで直立不動の姿勢になりました。マイカちゃんは、その後ろに正座しました。

マイカちゃんは奴隷なので仕方ないですね。どう見ても、目の前に座っている人物は、結構上に立っている人物なので。僕たちだけならともかく、目上の人物が同席しているときは、奴隷身分の者は床に正座が基本です。


「では、私から紹介いたします。」

机の上にお茶が配られた段階で、パリスさんが今回の会談メンバーの紹介をしてくれました。

「まずは、向かって左側。この町の生産ギルドのギルマスを務めているテノール=バスコンオウト氏。」

そう紹介されたのは、背の低い男性です。隠れて鑑定をしてみると、ドワーフ族みたいです。

「真ん中が、商業ギルドのギルマスであるエーテル=マクガイド氏。」

この人は、すらっとした長身の女性です。鑑定ではエルフ族と出ています。

「右側に座っているのが、冒険者ギルドのギルマスであるカイバル=セイヤマヌ氏です。」

この人は、筋肉隆々のおじさまです。今でも、現役OKな感じですね。ちなみに熊人族です。

「それぞれの後ろに立っているのが、各ギルドの担当者となります。」

冒険者ギルドのギルマスの後ろに立っているのは、先ほどカードと作るときに担当してくれていたアマネさんでした。他の女性2人は初めて見る顔です。当たり前ですね。


「パリスからの報告では、トモエちゃんだったか。本当に魔道具を簡単に造り出す事ができるのでしょうか?私は、信じられないんですが。」

最初に口を開いたのは、テノールさんです。

「私も、目の前で造られていなかったら、信じられなかったでしょう。トモエちゃん。なんでもいいので、魔道具をこの場で造ってみてはくれませんか?」

「いいんですか?」

「ああ、構わない。これから見る事は、この場だけの事にする。いいな?」

「俺は、それでいいぞ。」

「私も同じく。」

カイバルさんの言葉に、2人はそう言明します。後ろの3人も承諾していますね。


「では、何を造りましょうか?リクエストがあるのならばお答えしますが?」

僕は、こう答えてみた。なんでもいいというのならば、リクエストをしてもいいだろう。

「・・・・そうだな。それじゃあ、『異空間旅倉庫トレジャーボックス』でも造ってもらおうか。」

カイバルさんが代表して指示を出してきます。

「何かのアイテムに、『万能虚空庫ストレージ』という魔法を付与しますか?それとも、素材から造りだしますか?」

「それじゃあ、両方お願い出来るか?アイテムのほうは・・・・・そうだな。これに付与してみてくれ。」

そう言いながら取りだしたのは、後ろに控えていたアマネさんが、たまたま持っていた羽根ペンです。何処にでもあるモノですね。

「では、まずはこの羽根ペンから行きます。

魔法付与マジックエンチャント:万能虚空庫ストレージ』」

無詠唱で魔法を行使したと同時に、青白い光が、手に持っている羽根ペンを覆います。できたモノに鑑定をかけてみます。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

《魔道具名称》羽根ペンタイプの異空間旅倉庫トレジャーボックス

市販されている羽根ペンに『万能虚空庫ストレージ』の魔法を付与して造られた異空間旅倉庫トレジャーボックス

素材の限界で、10個のアイテムを10種類、総重量1,000㎏までの間ならば格納する事ができる。ただし、時間経過をするため、生ものを入れるときは注意が必要である。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


僕は、鑑定結果を報告しながら、羽根ペンをカイバルさんに手渡した。手渡した羽根ペンは、そのままエーテルさんがじっと見つめている。どうも、エーテルさんは、僕の持っている『世界樹の魔眼』の下位互換スキル『魔道具鑑定』を持っているようだ。

結果は、僕が報告した通りの結果になった。あえて言わなかったが、お値段なんと金貨100枚らしい。銅貨3枚程度の羽根ペンだったんだが。

「もともと羽根ペンこれは、アマネの持ち物だったからな。お前に返しておく。」

そう言いながら、カイバルさんは、アマネさんに羽根ペンを渡した。

「い・い・いいんですか?見た目はただの羽根ペンですが、今は全く違うモノなんですよね?」

「別に構うものか。売りたければ、売り払ってしまってもいいぞ。これから作られる物のほうが、はるかに高級品だろうからな。

そうそう。造る量は、・・・・そうだな、100個ほど頼む。」

「ハイ、解りました。では行きます。

魔道具全自動製作クリエイトマジックアイテム』」

無詠唱で魔法を行使します。手元には、神魔鋼銀ミスリル製の指輪が100個、ついでに造った木のトレイの上に転がっています。この指輪の制限は、マイカちゃんたち奴隷が使っているフォルダーの制限と同じにしておいた。

つまり・・・・・

『最大収納数:100種類を100個まで』

『最大重量数:1種類当たり10,000㎏・総合計1,000,000㎏まで』

『最大容積数:1種類当たり100㎥・総合計10,000㎥まで』

だ。また、この指輪には時間停止をしているので、入れた時の状態をいつまでも維持するようになっている。

「どうぞ。」

僕は、トレイ事差し出した。エーテルさんによる鑑定の結果、1個なんと王金貨10枚の価値らしいです。

エーテルさんは、その中から今この部屋にいる人数分取りだして、こう言いながら手渡します。

「これは、口止め料です。」

ナルシスさんたちは、すでに持っているので断りました。


「ところで、言われたとおりに100個作りましたが、そんなにもどうするんですか?僕が造った事を隠すのには、何処から出てきたのかを明確にする必要があるはずですが?」

僕は、素朴な質問を3人に浴びせる。

「そうだな。トモエちゃんが売ってくれた魔物の素材とともに、明日のオークションでこの指輪も流すか。適当な理由をつけておけばいいだろう。

・・・・そうだな。

『流れの魔導具職人が売りに来た』

とでも言っておこう。これから先、トモエちゃんが売って呉れる魔道具は、この理由があればトモエちゃんの事がばれる心配もないだろうからな。

もちろん、全世界のギルドに通達を出しておこう。」

「通達ですか。」

「そうそう。通達で思い出したんだが、トモエちゃんのギルドカードを作らないといけなかったな。

トモエちゃん。

冒険者ギルドのカードは持っているよね。」

僕は、エーテルさんに言われて、机の上にギルドカードを出した。もうばれてしまっているので、万能異空庫アイテムボックスから直接取りだしている。

その場で書き換えられたカードには、商業ギルドと生産ギルドの欄に『Eランク』と刻まれている。

そしてもう1枚のカードが出てきた。


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