【第1話】僕のステータス
頬を薙ぐ風で目を覚ます。
雲1つない青空の元、草の匂いがする。
見たことのない空だ。
何処だかは知らないが、僕の記憶にある空には、3つも月はなかったはずだ。いや、今見えているのが3つだけで、実際はもっとたくさん衛星があるのかもしれないが。そんな3つの月のほかにも、何処かで見たような環が浮かんでいる。
「ここはどこだろう?
ああ、そういえば『唯一無二の世界』と言う世界に転生したんだっけ。
と言う事は、ここは、その世界の中の何処かなんだな。」
草の上に寝転がりながら、透き通る青空を眺める。
・・・・・。
さっきから、草が全身をチクチクと刺しているのだが、・・・・なぜだろうか?
その答えは、すぐにわかった。
僕は、全裸で草の上に寝ていたのだ。
廻りを見渡すと、足元に何かの革で造られた背負い鞄が1つ転がっている。その他は、何か、崖の上にでもいるような感じに、急に切り取られている草原。
その先は、何処までも続く深い森?が存在している。ところどころに人里らしき空間が確認できる。
反対側を視て見れば、景色を遮る大山脈が右から左へと何処までも続いていた。
遠くの景色はこの辺にしておいて、足元に転がっている背負い鞄の中身の確認をしよう。運が良ければ、何か着るモノが入っているだろうから。
というわけで、足元に置かれている革の袋の中身を、足元の草原に出してみる。
中に入っていたものは、綺麗に折り畳まれた服が一式と踵が付いたサンダル。
着替えらしき衣料品が数点と、リボンやカチューシャといった装飾具。
ローブ?のような雨具?のようなモノが1つ。
黒い木箱が5つ。5つとも封印みたいなモノがかかっているため、中身を確認できなかった。
水の入った樽が1つと、各種調理器具が一式。食料品が入った木箱が3つほど。
生活雑貨が多数。
何処かのモデルルームみたいな感じのコンテナハウスが1つ。
身分証となるカード。
ウエストポーチみたいなものと、綺麗な宝石のついた指輪がそれぞれ10個。
ショートソード?や弓矢などの武装。
どう見てもおかしい事に気づく。
明らかに、中に入っていたモノと、袋の大きさが釣り合わないのだ。
まあ、別に僕が苦労するわけでもないので、とりあえずは棚の上にでも置いておくとして、中に入っていた服に着替える事にする。
用意されていたのは、何処からどう見ても女の子が着る服だった。しかし、僕は男の娘だから、男性モノでも女性モノでも関係ないけれどね。と言うか、女性モノの方が気持ち的に落ち着く。
下着となるのは、白と黒のボーダー柄、前にはリボンが付きのかわゆいショーツと真っ白なキャミソール。その上に黒色の半袖Tシャツと、赤と白のチェック柄の袖なし膝丈ワンピースを重ね着して、白と黒のボーダー柄のニーソックスと、踵が付いたサンダルを履いている。
お尻の中ほどまで伸びた自慢の黒髪には、赤と白のチェック柄のカチューシャをつけている。
生活雑貨の中に、大きな姿見があったのでその前に立ってみる。
そこには、身長155㎝ほどの平均的な体系をしている女の子?が佇んでいた。・・・・僕の事なんだけど。
卵顔で、クリっとした大きな瞳が特徴の全体としては女顔。髪型は、お尻の中ほどまで伸ばしたロングストレートで黒髪(幼馴染や家族の意向で腰から股下の間で切り揃えるように強要されている)。声は、変声期を終えたはずなのに女性的な声音。もちろん喉仏は出ていない。
女装をすれば、10人中10人が女と勘違いするほどの女性体系をしている。
生前?と同じ姿かたちをした僕だ。唯一生前と違うところといえば、長い黒髪から飛び出たエルフのような長い耳だ。
さて、服も着たことですし、ヒミコさんが言っていたことの実証実験でもしていこうかな。ヒミコさん曰く『ゲームと同じ方法で確認できる』と言っていたから、こんなこともできるかもしれない。
と言う事で、早速・・・・。
「ステータス!!」
そう宣言すると。僕の目の前には㎜透明の黒いプレートが現れた。
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【名前】トモエ=アスカ
【年齢】1,500歳【性別】男?女?
【種族】神人族【身分】XXXXX
【生涯レベル】LV1【職業レベル】LV1(LV1)
【天啓職業】XXXXX【現在の職業】魔導師
【基礎能力値】△▽
《生命力》XXXHP
《魔力》XXXMP
《防御力》XXXDEF
《筋力》XXXSTR
《俊敏力》XXXAGI
《器用力》XXXDEX
【称号】△▽
異世界からの客人・転生者・男の娘・神々の寵愛△▽
【加護・呪縛】△▽
創造神の加護・世界神の加護・生命神の加護
時空神の加護・光母神の加護
【属性魔力】△▽
時空・光・闇
風・水・火・地・無
【天恵技能】△▽
万能異空庫
万能地図作製
XXXXX
XXXXX
【種族技能】△▽
世界樹の魔眼(XXX)・XXXXX(XXX)・XXXXX(XXX)
【固有技能】△▽
言語理解(XXX)・文字理解(XXX)・環境適応(XXX)
商人の嗜み(XXX)・メイドの嗜み(XXX)・XXXXX(XXX)
XXXXX(XXX)・XXXXX(XXX)
XXXXX(XXX)・XXXXX(XXX)・XXXXX(XXX)・XXXXX(XXX)
XXXXX(XXX)・XXXXX(XXX)
【耐性技能】△▽
XXXXX(XXX)・XXXXX(XXX)・XXXXX(XXX)・XXXXX(XXX)
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なんだろう・・・・。
この達成感のほかに虚しさがあるのは・・・・。
たぶんあれだ。
ステータスが見れたのはとてもうれしいのだが、『XXXXXX』がやたらと多いからだ。
まあ、これでも色々とツッコミを入れたい事がある。まず初めに、種族の『神人族』って何だろう?年齢が1,500歳って?
そんな事を考えていると、ステータスが表示されているプレートの隣に、新しいプレートが現れた。
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【種族名】神人族
【種族の説明】
神人族とは、すべての種族の中で最上位に位置する種族である。この種族は、どの種族からでも進化する事が可能だが、進化をするには、3柱以上の神の加護があるか、神人族からの寵愛を受けている事が必要である。
現在、『唯一無二の世界』では、1人しかこの種族になっている者はいない。
【種族の特徴】
基本的に不老不死であり、何かの技術に特化している。
見た目の外見は、神人族になった時の外見で固定されているが、任意で外見を弄る事も可能である。そのため、性別は男女どちらにでもなる事が出来る。また、その時の性別に合わせて性行為も可能となる。
この世界にあるすべての情報を視る事が出来る種族技能『世界樹の魔眼』を、すべての神人族が持っている。なお、世界樹の魔眼の能力はレベルによって左右される。
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と言う事は、ステータスとかが見えるのは、種族の特徴と言うことかな?
でも、同じ種族の人は、僕以外誰もいないという事だ。さらに言えば、僕は基本的に不老不死らしい。基本的と言う事は、何かの条件下では死ぬ事もあるみたいだ。死が与えられているという事は、とても素晴らしい事である。たとえそれが、条件付きであってもだ。
それと、今は僕1人しかいないが、僕の能力でいくらでも増やす事が可能なようだ。増やし方は解らないが。
ほかの人のステータスは、どんなふうに表示されるのかは知らないが、『△▽』のある項目は、どうも隠す事が出来るみたいだ。これが一体どういうことを目的にしているのかは知らないが。
次に気になる項目は、・・・・・やっぱり『万能異空庫』と『万能地図作製』かな?
と言う事で、この2つを視て見る。この能力はたぶん『世界樹の魔眼』の能力だとは思っている。
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【スキル名称】万能異空庫
【スキル種別】天恵技能
【スキル習得条件】
次に示す条件のどちらかに該当している者
(1)神人族である事
(2)天啓職業が特殊職業である事
(3)生涯レベルが200を超えた者
【スキルの効果】
(1)時間固定型倉庫
生き物以外ならば、なんでも収納でき、また数量・重量・容積ともに無限に収納できる。中に入れたモノは、入れた時の状態で保持され、いつでも出し入れ可能。
(2)(未開放)
(3)(未開放)
(4)(未開放)
(5)(未開放)
(6)(未開放)
(7)(未開放)
(8)(未開放)
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【スキル名称】万能地図作製
【スキル種別】天恵技能
【スキル習得条件】
次に示す条件のどちらかに該当している者
(1)神人族である事
(2)天啓職業が特殊職業である事
(3)生涯レベルが200を超えた者
【スキルの効果】
(1)暦の表示
現在の日付と時刻をマップの任意の位置に表示する。アラーム機能を搭載しており、任意に設定した時刻にアラームを鳴らす事が出来る(スキルを展開してなくても鳴らす事が出来る)。
(2)視認箇所自動製図
このスキルを保有している者が、その目で視認した場所(スキルの能力で視認した場所も含む)を自動で地図に書き起こしていく能力。また、作成された地図内においての現在位置表示や、特定対象物の位置表示が可能。
(3)(未開放)
(4)(未開放)
(5)(未開放)
(6)(未開放)
(7)(未開放)
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【スキル名称】世界樹の魔眼
【スキル種別】種族技能
【スキル習得条件】
神人族が持つ種族技能の1つ。それ以外の種族では、この魔眼を持つことはできない。
【スキルの効果】
(1)万能鑑定
下位互換スキルの『物価鑑定』・『植物・動物鑑定』・『武器・防具鑑定』・『美術・工芸品鑑定』・『魔道具鑑定』・『ステータス鑑定』を1つにしたスキル。通常は、『鑑定阻害』というスキルを持つか付与されていれば、鑑定されることが防げるが、この魔眼の前では防ぐ事はできない。鑑定結果は、生涯レベルの依存する。
(2)千里眼
現在住んでいる惑星内ならば、すべての場所を『視る』事ができる。その対象は、建物などの外界から隔離された空間内も含まれる。
(3)(未開放)
(4)(未開放)
(5)(未開放)
(6)(未開放)
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『未開放』と表示されている能力が多いが、それでもチートなスキルみたいだ。生涯レベルを上げていけば、すべての表示が可能なようなので、頑張ってあげていきたいと思っている。
『天恵技能』とは、生まれながらに持っている技能の事で遺伝する事もない特殊な技能のことを指す。それはまるで、神が与えたモノだという事になっているため、こんな名称が付けられている。
が、実際は、神が与えているという事実は、半分正解で半分不正解だ。それは、能力自体は、確かに技能神様が創った者なのだが、与えられる者自体は、全くのランダムと言ってもよい。各技能別に設定数が用意されており、その設定数に達するまで、まるで籤引きのごとく生れ落ちる生命(この世界に転生もしくは転移してくる者も含む)に与えられているのだ。
与えられる数も全くのランダムで、通常は、10,000人に1人の確率で1つずつ与えられる。僕みたいに複数所持しているのは、奇跡に近い確率になる。
『種族技能』とは、その名の通り、各種族に特化している技能の事だ。その種族になった時に、自動的に持っているモノである。この世界に存在するすべての種族には、必ず存在しており、各種族の特徴が色濃く出ている。
また、種族技能の中には、後天的に『固有技能』として発現するモノも存在している。
『固有技能』とは、後天的に発言する技能であり、たいていのモノは、設定条件をクリアーした時に生えてくる。
閑話休題。
スキルの事についてはこれくらいにしておいて。
まずは、今僕がいるこの場所から脱出する手段を考えないといけないな。
なんせ、今僕がいるこの場所。
全周が崖(それも高さが目測で100mくらいある)になっており、その周りには湖が1㎞くらいの範囲で広がっているのだ。
さて、どうやって脱出しようかな。