お買い物 Part.3
……
なぜオレだと分かったんだ!?
さすがはオレの幼馴染…
「いや、ジョークのつもりだったんですけど… まさかホントに信男なの?」
ジョークだと!?
コイツの勘の鋭さというか、運の良さ(?)は相変わらずすげぇ…
「いや、コイツの名前は市方だ」
「私のおいちちゃんだよ♪」
今さら誤魔化してもムダだろう…
ってか、オレはお前のじゃない。
「え?でも、さっき…」
あっ… オレ言っちゃったなぁ〜。
でも、利子なら言っても大丈夫なんじゃ?
「おいちちゃんだよ!」
「…」←オレ
「…信男が市方になったのね」
「さすが。察しがいいな」
おい。言っちゃったよ。
「というわけで、信男に線香の1本でも立ててやってくれ。これからはコイツと仲良くしてくれれば助かる」
待て。オレを殺すな。
「……」
ほらー。利子黙っちゃったよ。
ってか、今まで中の下男だったオレが女になっちまって、キモいとか思われてるかも…
コイツとはずっと仲良くしていたかったのになぁ…
「ん〜。よくわかんないけどOKです!よろしくね、おいちちゃん♪」
「……」←オレ
切り替えはえぇ…
「おい。なんか言ったらどうだ」
「よ、よろしくお願いします…」
縮こまりながら、丁寧に挨拶する。
ちくしょー!なんでコイツに!
「か、可愛い…」
「「…?」」
ガバッ!
「うわっ!」
利子がいきなり飛びついてきた!
「何この子!可愛すぎるよ!お持ち帰りで!テイクアウトOK?」
はぁぁ!?何言ってんだコイツ!しかも、持ち帰ろうとすんな!
「ダメよ!おいちはわんこのモノだもん!」
おい、こら。
「残念ながら、今日から私のモノになりました。うひひ…」
ヤバイ!コイツらヤバイ!!
「落ち着け。とりあえず制服買うのが先だ」
母さんありがとぉぉぉお!
「「は〜い」」
よし、馬鹿どもも落ち着いたな。
2人ともオレより頭いいけど…
落ち着いたところで紹介しよう。
コイツの名前は前田 利子
身長159cm オレの幼馴染で、近所に住んでる
ボーイッシュなツンツンショートヘアで
黙っていればかなり可愛い。黙っていれば…
頭は中の上。オレと同じ安土学園に通う予定
……………………………………………………
「また来なさいね〜」
制服を買い終えたオレらは、利子を連れて昼食に行くことになった。
利子はできた制服を取りに行ってたらしい。
そして、オレはなぜか右手をわんこ、左手を利子に握られている…
正直、周りからの視線が痛い。2人とも黙っていればかなり可愛いからな。黙っていれば…
「「〜♪」」
2人ともなんだか嬉しそうだし、とりあえずこのままでいいか… 周りからの視線もコイツらと一緒なら怖くない気がしてきた。
フードコートに到着!まだ早めの時間なので席は割と空いている。
母がオレたちにお金を渡して、自由に買ってくるように言ったので、3人で買いに行く。
…何故か手を繋いで。
結局、オレは醤油ラーメン。わんこはたこ焼き。利子はBIGハンバーグだ。さすが利子…
食べ物を待つ間も周りからの視線が減ることは無く、慣れない事態に緊張してしまう。
早々とみんなの食べ物を手に取り、母さんの分もお冷を持って席に戻る。
利子は母さんの隣に座り、わんことオレが対面に座る。
ちなみに、母さんは夜に飲み会があるから昼は抜くらしい。
「「「いただきまーす!」」」
ラーメンをズルズルと啜って食べる。
うん。美味い。ここに来たら、いつもコレを食べる。
細めの麺が鶏ガラの旨味たっぷりのスープに絡んで、箸がどんどん進む。
おい。利子食べ終わるの速すぎ。BIGだぞ…
午後の予定はオレの服と下着を買いに行くらしい。
戦いはこれからも続く…
 




