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サンタは今宵何を贈るのか

思いっ切り走ると、カフェからケーキ屋までは5分とかからなかった。店の前ではまだ宮徒さんがティッシュを配っている。

 仕事を途中で放り投げて、怒っているだろうな。こっそりと行きたいところだが、店の奥に行くためには宮徒さんの近くを通らなければならない。見つかる事を覚悟で走ったまま店に駆け込む。案の定、宮徒さんは俺を見ると目を丸くした。

「おい!白刃!何やってたんだ!?こっちは大変だったんだぞ!」

「すいません!後で話します!」

 勢いを殺さず、ロッカー室に転がり込むように入る。白刃と書かれたシールの貼ってあるロッカーの中から「あれ」、つまり手作りの目つきが悪いウサギの人形を取り出した。近くからケーキの箱を包む包装紙とリボンを掴み取って包む。見よう見まねでかなり見栄えも悪いが、俺にはこれが限界だ。

 人形を持って店の外へ出ると、そこにはちゃんと優奈がいた。涙は収まっているが、少し目が赤く腫れている。来てくれないかと心配していたけど、本当によかった。

 こちらを見つめている優奈に向けて精一杯の笑顔を浮かべ、不思議そうに首をかしげる優奈の前でしゃがみ込んだ。そしてわざと焦らすようにゆっくりと人形を、俺なりのプレゼントを差し出す。

「これって…」

「今まで行ってあげられなくてごめんな。だからこれは、優奈へのプレゼントだ」

 開けて、と目を輝かせる優奈のために中の人形を取り出す。ピンク色で、赤いマントをつけた目つきの悪いウサギ。それを見た瞬間、優奈はわあっと歓声をあげた。

「ウサギだ!サンタさん、くれるの?」

「もちろん。そのために持ってきたんだからな」

そう言ってウサギを優奈へ差し出す。優奈は恐る恐る手を近づけ、人形に触れた。

「ありがとう。私だけのサンタさん」

 優奈がウサギを持ったことを確認して俺はプレゼントから手を離す。その瞬間、後ろの方から声が降ってきた。

「白刃、お前さっきから1人で何やってんだ?」

「…え?」

 後ろを向き、呆れた顔で俺を見下ろす宮徒さんを見た時、俺の後方、つまり優奈がいた方から、雪の上に人形が落ちる小さな音がした。




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