門松
「おねぇちゃん!」
遊びに来たのは、従弟の一行だ。
伯母さんと本当なら一緒に来るところ、今年は風邪をひいたらしく、子供らだけでの訪問となっていた。
「久しぶりっ!」
飛びついてくる従弟たちに、すこし引きながら、私は全員を受け止める。
3人だが、中学2年が2人と小学6年が1人いる。
上の二人は双子だ。
「さあ、入って入って」
「おじゃましまーす」
私は彼らから見て従姉にあたる。
高校3年生、本当ならこれから大学受験だったのだが、推薦入試であっという間に第1志望に受かったというラッキーのおかげで、のんびりと正月を楽しめている。
だから、こうやって従弟を招き入れる余裕があるわけだ。
家に上げると、あっというまにリビングは騒がしくなった。
一人っ子の私は、この騒がしさが好きだ。
ずっと一緒にいることは疲れてしまうだろうが、それでもきっと楽しんでいると思う。
「おじさんとおばさんは?」
末っ子が私に聞いてくる。
「今、初詣行っちゃってる。もうちょっとしたら帰ってくると思うよ」
「わかったー」
末っ子はそう言いながらも、私の膝の上に登ろうとする。
「こぉら」
そう怒ろうと思う私だったが、結局膝の上に座らせる。
それからしばらくして、ガラガラとドアが開く音がした。
「ただいまー。お、もう来てるのか」
お父さんたちが帰ってきた。
「おかえりー。従弟たち、もう来てるよ」
お父さんたちに言うと、よいしょといってなにか重たそうなものを持って帰ってきていた。
「何持って帰ってきたの?」
膝に乗って双子がゲームをしているのを見ていた末っ子が、ぴょんと飛び降りた。
それから私は双子と一緒に見に行く。
「門松。正月だけど、これから飾っても問題ないだろ」
お父さんが1対持ってきている。
「これ、飾ろ」
私が言うと、みんなビニール袋から取り出して、玄関先に飾った。
竹と松と、あとはよく分からない植物が綺麗にまとまっている。
「ま、今年もよろしく」
お父さんが据え付けているみんなを見ながら、つぶやいた。