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狂う

作者: DT
掲載日:2013/08/24

狂う


 それは、学校の昼休みのこと。

 男女二人が屋上で会話をしている。

 死について。

 人間について。

 そして。

 許されない行為について。

 語っている。


「こんにちわ」

「ああ、後輩君」

「先輩」

「何?」

「どうして、屋上でまるで死にたそうな顔で柵もないギリギリのラインでその、危うしい場所をキープしているんですか?」

「はッは、それはね後輩君。・・・自殺するに決まっているからじゃないかな」

「決まっている、ですか?」

「そう、決まっている」

「へえ、僕、はじめて自殺する光景を見ているかもしれません」

「そうかもしれないね。後輩君には、殺し、皆殺し、半殺し、ぐらいしか、わたし、見せていないもんね」

「ええ。あッ、でも、あれも見せてもらいましたよ」

「・・・・・・?」

「虐めも見せてもらいましたよ」

「ああ。はッは、あれは、見せたっていう範疇に入らないわ。でも、傑作であったのは確かだったけれど」

「僕。感動、しましたもん」

「そう。わたしも感動したけれど、でも、涙はでなかったわね。やっぱり、私は後輩君と違って、まともな人間、かもしれないわね」

「ご冗談を、先輩」

「ふふ、冗談よ。後輩君」

「はい」

「まあ。でも。私より後輩君のほうが、いささか常軌を逸している、と、思うけれどね」

「そうですかね」

「ええ、そうよ。あの時だって」

「あの時?」

「ほら、貴方が母親を殺したあの時よ」

「・・・・・・母親ですか。はッは、先輩。僕には親なんていませんよ、特に母親はとくに、生まれてから、一度もいません」

「そうだったかしらね」

「そうですよ。そうなんですよ・・・だって、だってね。だってだってだって、だって・・・」

「おやおや」

「だって、僕の母親は・・・あー、ああああ。ひゃはッははははははははははは、僕の母親はね。だって、人殺しですもん。僕を殺そうと、包丁、で突き刺したり、中指、を切り落としたり、耳たぶをそり落としたり、まったく、まったくまったくまったく、まったくもって僕の母親は、この世にはいませんよ」

「狂う後輩君もいいけれど、しかし、趣旨を間違えないでね。今現在、私は自殺をする場所にいるのだから、ね」

「・・・ひゃはははっは。そうでしたね」

「はッは、でも、素敵ね。後輩君」

「有難うございます」

「いえいえ」

「・・・おや? チャイムですか」

「そうね、一回目のチャイムね、じゃ、これをみて、後輩君は帰りなさい」

「はい、そのつもりです」

「はッははははははははははは」

「ひゃははははははははははは」


「・・・・・・終らなくちゃ、はやく、こんな世界終わらなくちゃ」


「来た」

「ああ、あれが、あれになるんですね」


「・・・どいてください」


「失礼」

「先輩、お手を」

「あら、紳士的ね」


「嫌だ、あーああああああああ、嫌だ、終らなくちゃ、終らなくちゃ。終焉にしなくちゃぼく、ぼく、もう駄目」


「ふふ」

「先輩笑って、どうしました?」

「いや、いやね。多分、後輩君の思う想像通りの、死、はお見せできないかもしれないわね」

「・・・そうですか。そりゃ、残念です」

「残念ね、わたしも残念よ」


「怖い、怖い怖い恐怖、落ちることできない。やっぱり、死にたくない。生きたい。そうだ、そうだよ、イジメっ子を殺せば、はッははは、一件落着じゃないか。はッは、じゃ、いいや。自殺なんて、馬鹿らしいよ」


「ふふ」

「僕は、いき・・・る?」


 彼女は彼の背中を静かに押した。

 その光景をみた、後輩君、は思い出した。


「ああ、殺しね」


 彼女は彼をぶっ殺した。

 

  

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