生き抜くこと
事が起こったのはそんなことがあってから間もない4月12日。
習い事の仲間からの電話が頭をぶたれたように強く繰り返された。
『しゅうやくんが……亡くなったって…』
自殺。
父親の暴力と中学、高校までも終わらないいじめに堪えかねたしゅうやくんは、クラスメートが見ている中、果物ナイフで手首を切ったそうだ。
葬式には行かず、一人家で涙が枯れるまで泣いた。
『生きろよ。』
あの日の言葉はなんだったのか。
「生きろよ…人にあんなこと言ったんだから…生き抜いてみせろよ…。なぁ!?何で…何で死んじゃうのさ…。」
頭ではわかっている。
彼がいじめを受けていたのは小学校の頃から…。私とは訳が違う。彼は耐えきれないほど…クラスメートの前で死ななくては気が済まないほどに辛かったのだ。
そんなことわかっている。
けど…枯れきった筈の涙は止まることを知らないのだ。
『ひーちゃんはいっつも笑顔!!それが一番の取り柄だからね?どんな人にでもその笑顔でいっぱい話しかけてあげるんだよ?あ、でも怖い兄ちゃんは駄目』
笑った顔。
どうして今ごろになってそんな顔で夢に出てくるのさ…。
『死んじゃってごめん、…。ひーちゃん、俺には成せなかった沢山の事、ひーちゃんなら出来るから…。いい人見つけて、いーっぱいいい恋して、勉強だって怠るなよ?…もうやることが無くなったとき、俺の所においで?それまでは無理しないように頑張るんだよ?』
「まーちゃん!!おはよう!!」
「あ、おはよー」
ねぇ…しゅうやくん。
生きるんじゃないよ?生き抜くんだよ?
つらかっても運命が終わりを告げるまで生き抜くんだよ。
しゅうやくんができなかった一番大きなことは『生き抜く』ってことだよ?
どうしてそれを伝えないかなぁ
本当におっちゃこちゃいだね…
ありがとう…。
また、撫でられた気がした。
あの不器用で優しい手に…。




