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僕らの未来に正義は無い  作者: 智恵理侘
第二部『異餌命編』:第四章
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四ノ玖

「えっ?」

 どこかで、聞いた事のある声。

「改めて、こんばんわ。南方好子さん」

「な、南方?」

 その名前、聞いた事あるぞ。

「イラ壁イラ壁ギザウザテラウザタヒれタヒれ逝ってよしクソカス単細胞爆発ヨロシク乙!」

 日本語かと疑ってしまうが一応日本語っぽい、理解するために辞書を用意してくれないかな。

「どうして……お前が」

「この前はどうも、スーパー前園の卵の特売日に会ったわよね」

 そうだ、虎善さんに卵が投げつけられたあの日の朝。

 彪光は言っていた。

 ――昨日スーパーで特売日だったの。

 ――若い女子と一パックの取り合いの末、腹パンして奪い取ったわ。

 若い女子。

 それが、彼女か。

 南方さんだと特定するきっかけはその特売日のようだが、よくここまでたどり着いたものだ。

 どこかで南方さんの顔写真を確認したのかな、おそらく、確認したのだろう。

 調べていれば必ず彪光は特売日に会った少女が気になっていたであろうし、リーダーに繋がらなくとももやもやを解消するためにとりあえずはと調べたに違いない。

 それにコーヒーと醤油をすり替えた事件も、彼女が自分にやられたのをネタにそのまま虎善さんへとやったのだとしたら筋が通る。

「楽しかった?」

 彪光は紙袋を拾って、中から卵を取り出した。

「最初は秋野嶋杏子への復讐、よね」

「好子……本当にお前がやったのか?」

 小十太さんが傍へ歩み寄ったその時、南方さんは小十太さんの襟を掴んだ。

「うわっ!?」

 襟を引っ張られて体勢を崩した彼を新蔵のほうへ押して人という壁を作り、彼女は窓へと飛び出して逃げていった。

「彪光! 逃げられたよ!」

「いいんじゃない? 別に逃げる場所なんて一つしか残ってないし、私達は鼻歌でも歌いながら忘れ物を届けに行きましょう」

 忘れ物――ああ、卵入りの紙袋ね。

 僕達はそれほど慌てず、急がず、どこかに隠れてるかもしれないのも考慮して周囲を見て周りながら、南方さんの自宅へと向かった。

 道中、南方さんは見つからず、小十太さんは、

「あいつが……異餌命のリーダーだなんて、今でも信じられない……」

 頭を抱えてそう呟いていた。

 そりゃあ、そうだよなあ。

 まさか苛められてた人が、苛めたグループのリーダーになって苛め返してしかもその後は次のいじめに率先して行ってたなんてさ。

 南方さんのためにリーダーを探していたら、リーダーは南方さんだった――更なる衝撃で頭の中は混乱状態かな。

 少し落ち着かせたほうが良さそうな気がする、僕は一番前を歩いていたので歩調をやや落として、周囲に僕は歩調の調整を無意識に行わせた。

「復讐が済んだら次は逆恨みで総生徒会長を、救いようの無いクズね」

「い、いや、まだ、まだ彼女だって決まったわけじゃ!」

「普通、卵を空きビルに置いたところを見られただけで逃げないわよ」

 君が威圧したせいで逃げたという可能性も、って言ったら怒られるかな。

 よし、ここは言葉を変えて、

「彪光が怖くて逃げたとか――痛い痛いっ」

 言下に扇子で頬をぐりぐりとねじ込められた。

「自分は部屋の中で安全に見守るだけ、画像提供者をスカウトしたのもどうなったのかを直接見れないから必要だったのね」

 画像提供者が貴方とは思わなかった、今も思ってないでしょうね――と付け足す彪光。

 整理すれば僕達はとても身近なところで空回りをしていたようだ。

 卵が使われたのも、南方さんから。

 秋野嶋さんも卵が使われて酷い苛めだった。

 虎善さんにも同様だ。

 反芻してみればどれも南方さんが関わっている、必ず彼女の名前が出てくるのだ。

 南方さんの自宅に到着し、彪光は小十太さんに視線を向けた。

 呼び鈴を押すに適した役はやはり彼。

 新蔵は中へ入らず、南方さんが逃げた場合を考えて外で待機。

 そうして以前と同じ対応の末に僕達は南方さんの部屋の前へ。

 南方さんは家族に隠れて外に出たようで、今日も部屋にずっといるのよねえと呟いていた。

 実は度々外出してるんですよ、とは言えない。

「鍵が掛かってるから中には入れないよ、無理やりこじ開ける?」

「こじ開けなくていいわ」

 耳を傾ければ、何やら中から激しい物音。

 何をしてるのかな、走り回ってるような、転げまわってるような、想像がしづらい物音だ。

「――や、やめっ! やめーや!」

 おや、南方さんの叫び声。

「ジャパン、ブンカ、ナイスネー!」

 何故かアンナの声が聞こえる。

「ミンナ、来ル、オケーイ? 開ケるヨシー」

「あ、ちょっと!」

 ドアノブから解錠の音が聞こえ、内からゆっくりと開かれるや待っていたのはアンナ。

 君の声が聞こえたから予想通りの光景ではあったけど、どうしてこの光景が出来上がったのかが解らない。

「中に入るわ」

「オッケー」

「オ、オッケーじゃねえし、マ、マジ不愉快すぐる今すぐタヒねおまいら!」

 ぞろぞろと僕達は広いとは言えない部屋へ、アンナに誘われて入室。

 漫画や小説、DVDがぎっしり詰まった本棚、フィギュアも飾ってある棚がいくつもあって壁が隠れてしまっている室内。

 南方さんの物と思われるフィギュアをアンナは両手に持ってはしゃいでいた。

 パソコンは起動中、画面を見てみれば異餌命のサイトが開かれてるじゃないか。

 部屋に戻ったらアンナがいきなりいてパソコンに手を伸ばす暇も無かったってとこかな。

「話はまだ終わってないわ、再開しましょう?」

 彪光は扇子を取り出して、頬を扇ぎながら十分に余裕を見せてゆっくりと歩み寄る。

 続いて小十太さんも、彼女の元へ歩み寄った。

「好子……」

「な、なんぞ……」

 視線は合わせない、誰とも合わせようとする気もないようだ。

 左右へと、不安定に動く瞳。

「さっきの質問、答えてくれ」

「わ、わ、わたしは、な、何も、し、知らない、は、はめられたに違いない、闇の組織の陰謀、そう、それだお!」

「アンナ、それパス」

 唐突に彪光はアンナの持ってるフィギュアを要求。

 アンナは投げ渡すと彪光は手に取るや壁に勢い良く投げた。

 美少女だったフィギュアは粉々、頭部は悲しく床を転がる。

「ほぎゃぁぁぁぁぁあ! お、おまいふざけるな! マ、マジでタヒね!」

「貴方がふざけないで。誤魔化せると思ってるの?」

 更に歩み寄り、扇子を閉じて彪光は南方さんの顎に当てた。

「貴方は確かにはめられたわ、私達の罠にだけどね。異餌命を襲っている奴を捕まえるなんて話は無いの。貴方が部屋から出てきて卵を買って、掲示板に書き込んだ場所と同じ場所に卵を置くのを見届けるための罠。理解した?」

 頭を掻いて、状況を理解して、追い詰められた彼女は挙動不審に部屋の角へと逃げ込んだ。

 逃げ道など無いのに、これ以上はただ追い詰められるだけなのに。

「好子、本当に君が異餌命のリーダーなのかい……?」

「じ、事情があるし、わ、私は、悪くない、い、異餌命と、わ、私を助けなかった、総生徒会長が、悪いし。だ、だから異餌命、の、乗っ取って復讐しただけ」

 どうやって異餌命を乗っ取ったのか、僕は気になってパソコンの画面を見てみると、多くのプログラムがデスクトップ画面にあったのを見て、彼女は簡単なサイトならハッキングが出来るのではと推測した。

 パソコンのスペックも高く、モニタは二つを取り付けたデュアルモニタ。

 もう一つのモニタにはいくつもプログラムを起動しており、これからどこかをハッキングでもするつもりだったらしい。

 学校のホームページにでも何か仕掛けをするつもりだったのかな。

「小十太、貴方が求めている異餌命のリーダーは代わったのよ。今は彼女、南方好子を苛めていた前のリーダーは、前回の異餌命の被害者である秋野嶋杏子よ」

「異餌命の被害者……?」

 南方さんの口から出た復讐、異餌命のリーダーだった秋野嶋さんを、異餌命を乗っ取って苛め返して復讐、その次は総生徒会長へ――彼の長考は徐々に疑問が溶けていっているようだ。

「秋野嶋には確かに、確かに復讐と言えるわ。しかし総生徒会長にはただの逆恨みじゃない。というより貴方――」

 目を合わせない彼女に彪光は強引に合わせようと鼻と鼻が当たるくらいに顔を近づけて、「強者を苛めるのが快感だっただけじゃないの?」

「ち、違うし、ふ、復讐だし、さ、逆恨みとかじゃねえし、か、快感なんか、か、か……」

 目が暴れるくらいに泳いでいた。

 顔を背けようとするが彪光は彼女の頬を鷲掴みにして正面へと引き戻させる。

「小十太はね、貴方のために異餌命のリーダーを捕まえようと、異餌命のメンバーにまでなったのよ」

「な、ま、まじで? な、何してるし、馬鹿だし、死ぬし……」

「それも貴方がスカウトした画像提供者。面白いわよね、そう思わない? 私はとても面白いわ」

 小十太さんは落胆に追いやられて口を開こうとはしなかった。

 何かを言える心情でもないであろう。

「小十太、貴方はどうする? 彼女を苛めていた異餌命の元リーダー、秋野嶋杏子を引っ張り出して彼女に謝らせる? それとも逆に、彼女を秋野嶋杏子の前に引っ張り出して謝らせる?」

「お、俺は……」

 僕は話に集中されている間にパソコンのキーボードに指を走らせた。

 音はなるべくたてないように、そして操作は早く。

 ちょっとした、細工である。

 パソコンに入っているプログラムはどれも僕が使った事のあるものばかり、例え使い慣れている人であっても、うまく使えないようにする細工は五分もあればやれるな。

 彼女がプログラムの知識をここまで独学で伸ばしてやってこれたのだとしたらそれはすごい事だ、素直に関心してしまう。

「異餌命を襲っている奴に差し出すのもいいかしらね」

「えっ?」

「貴方、ただでは済まないわよ? メンバーがどうなったのかは見てないでしょうけど、書き込みは見てるわよね? リーダーとあればそれはそれは酷い事をされるのは間違いないわね」

 南方さんの顔色は蒼白へ。

「ま、待ってくれ……!」

 小十太さんがその言葉を言わなかったらきっと僕が言っていたと思う。

「何よ」

「何も、何もそこまで……」

「そこまで? 貴方は甘いのね、そこまでする必要はあるのよ。彼女もそこまでされるべきなの」

「わ、わ、私は、わ、悪くないし……」

「そう? 貴方がどう思おうと、貴方に鉄槌を下す奴はここへ来るわ」

 彪光は携帯電話を取り出して、ゆっくりとボタンを押していく。

「好子には俺がよく言い聞かせるから、頼むよ……」

「貴方って、すごいのね。彼女の本質をもう知っているのに、それでも彼女を想うなんて。でもね、貴方の想いをこいつは裏切っているの。貴方がよく言い聞かせたところで、こいつは何も変わらない」

 ならば、と彪光はまたボタンを一つ押した。

「変える奴を連れてくるだけ」

「そ、そいつ、よ、呼んだら、異餌命、使って、お前達を……いじめてやるし!」

「あは、笑わせてくれるわね。異餌命はこれから解散するのに。挽回のチャンスでもあった異餌命の襲撃者を捕まえる計画も失敗なのよ、徐々にメンバーは襲われるのを恐れて異餌命は機能しなくなるわ」

 それと、僕は彼女がこのパソコンを使って異餌命のサイトに入れないようにもしておくからリーダーの書き込みもなくなれば異餌命は何も出来なくなる。

 率先してリーダーになろうという人も今の状況なら誰もやろうとは思わない、異餌命に未来は無い。

「や、やってやる、やってやる! わ、私の、力で!」

「貴方の力じゃないでしょう? 貴方はただ王座だけを乗っ取っただけで家来がやっただけ、貴方の力なんてクソほど無いわ」

「ネ、ネット、使って、お前ら、お、陥れてやるし!」

 もはやただの強がりだ。

「小十太、見た? こいつはこんな奴なの」

「好子……」

 小十太さんは、何か言いかけたものの喉で止めてしまって部屋を出て行った。

 これで味方が一人いなくなってしまったな。

「あやみちゅー、どースルネー?」

 アンナはジャブを繰り返していた、自分の出番はあるのかという意味が込められた質問だ。

「そうねえ、先ずはあいつに差し出してぼっこぼこにしてもらいましょうか」

「お、お前らを、わ、私は……」

「次に私が気の済むまでぼっこぼこにするわ」

「な、何が、なんでも……」

「あとは異餌命に恨みがある人達を集めてぼっこぼこにしてもらうのもいいわね、貴方は異餌命のリーダーだから責任は取らないとね」

「お、陥れ……」

「ねえ、そのパソコン、何かやってたようだけど、壊しても大丈夫?」

 彪光の目は僕と、続いて彼女のパソコンに。

「壊さなくても大丈夫だよ、悪い事をしようとしてもできないようにしたから」

「え、ちょ、な、何してるし……」

 これも皆のためなので南方さんには悪いけど、罰だと思って受け入れて欲しい。

 普通にパソコンとしてネットとかは見れるから問題はないしさ。

 彼女はパソコンの前に駆け寄って、何をされたのか確認。

 一見、何も変わってはいないように見えるが、僕は丁寧に異餌命のサイトでも見てみるといいよと教えてやる。

 彼女はサイトを見てみるや、小さな画面が出てきて困惑。

「君の使ってるプログラムを利用して、このサイトには入れないようにした。でも安心して、十桁のパスワードを入れれば入れるかもしれないから。一時間毎にパスワードは変わるけど、頑張って」

 耳元で囁いてやる。

 彼女は、青ざめて腰が砕けてへたり込む。

「あと、よろしくないプログラムも使おうとすると大変な事になるから気をつけてね」

 忠告も添えてやる。

 こっくりさんとしての手助けはこれだけにしておく。

 裏サークルにこっくりさんが協力するなんて、いけない事だ。こっくりさんは特定の者に対してではなく差別なくすべての人に対して願いを叶える存在なのだからね。

 彼女の様子を見て彪光も満足してくれるかと思ったが、

「気晴らしに壊してもいいかしら」

 とことん痛めつけないと気が済まないらしい。

「やめてさしあげてっ」

「仕方ないわね、ぼっこぼこだけで我慢しておきましょうか」

 それもやめてもらうといいんだがなあ。

「これからは有無を言わさず弱者としての道程を歩むしかないけど頑張って。個人情報も全て暴露されても、自業自得なのだからどうしようもないわよね」

「……あ、あの」

「何?」

 南方さんの表情は、酷く絶望に満ち溢れていた。

 今にも泣きそうで、強がる様子すら消えうせてしまっている。

「す、すみませんでした、ちょ、ちょっと……か、勘弁、してもらえませんか……わ、私が、わ、悪かったです……」

 彪光のほうを振り返って、謝罪を始めた。

 自分の武器が全て没収されたとなれば、無力な自分が出来るのはもはや謝罪しかない。

 彼女の判断は、正しいが手遅れだ。

「私に謝られてもねえ、困るのよ。私は貴方に何かされたわけじゃないんだから。これから貴方に復讐する人達に謝罪しなさい。まともに謝罪すらさせてもらえないかもしれないけど」

 それに、と言葉を付け足して続ける。

「一人、今から貴方の家に来ると思うから、その人に先ずは謝罪しなさいな。凶暴な奴だから、骨が折れるのは覚悟したほうがいいかもね」

「ご、ごめんなさいごめんなさい! お、お、お願いですから、よ、呼ばないでください、なんでも、なんでもしますから!」

 必死に彪光に言い寄って土下座までし始めた。

 見ていられない、これから傷口に塩を塗られると思うと。

「あ、ごめんなさいね。もう呼んじゃった」

 えっ、本当に呼んだの?

 呼んだのは、あの人、だよね?

 何事も絡んでくると暴力がついてまわる、あの人。

 この家の住所でも教えたのかな。

「あ、彪光……ちょっと、そ、それは……」

「何? ちょっとって、何?」

 彪光の眼光に僕は縮こまった。

 何か、平和的に解決する方法は無いだろうか。

 僕は思考をめぐらせていると、階段をゆっくりと上る足音が聞こえてきた。

 木製の軋む音は徐々に、近づいてくる。

「あら、早い到着ね」

「わ、わ……や、やめて、ゆ、許してください、お、お、お願いします!」

「入院の準備はしなくてもいいの?」

 彪光は満面の笑みで、慌てふためく彼女の様子をただただ観察していた。

 それが彼女にはまた一つの恐怖だ。

 涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにして、立ち上がったものの、力の無い足取りは何処へ行こうとも出来ず足音が止まり、部屋の前に奴がいるのを想像したのか、表情を絶望で染めた。

「た、助けて……」

「私に乞わないで」

 部屋の扉が、ゆっくりと開く。

 どうしよう、彼女を助けるべきか。

 僕が、僕が出ていってどうにかなる問題でもないけど、ああ、そうだ――アンナに、彼女に止めてもらおう。

 僕はアンナに視線を向けると、彼女はむしろ扉に手をかけていた。

「……ま、魔が、さした、だけなの。ふ、復讐、しないか、って知らない人から、メ、メールとプログラム、送られてきて、そ、それで、わ、私……」

 彼女の言葉など聞く耳も持たず、アンナは勢いよく扉を開けた。

「わ、わあああああ!」

 南方さんは頭を抱えて、ベッドへ飛び込んだ。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」

 僕は、身構えて彼女を守ろうと足を動かそうとしたが、直ぐに動きを止めた。

 安堵の溜め息すらついて、何だよまったくとか呟いちゃったりして。

「……何?」

「タイミング、悪いよ新蔵」

「よく解らないが、なんか悪かったな」

 いつまでたっても自分を襲ってこない、彼女は疑問に思って新蔵のほうを見るが、半分まだ放心状態のようで状況についていけてなかった。

「ごめんなさいね、実は貴方をぼっこぼこにする奴を呼んだなんて嘘」

「う、嘘……?」

「ええ、そうよ。安心して、でも、反省して、そして改心して、じゃないとぼっこぼこよ?」

「……ひゃい」

 ぽてん、と全身の力が抜けて彼女は頭をベッドに沈めた。

 トラウマでも植えつけてしまったんじゃないかな、大丈夫かな。

「一件落着」

 なのかなあ?

 まあ、彼女はもう異餌命のリーダーとして動く事は出来ないしこの後も何かしらの手段で復讐したり、悪い活動に手を染める事は無いだろう。

 異餌命を襲撃してるあの人も、メンバーを襲っていてもリーダーにはたどり着けまい。

 メンバーも絶対にこれから警戒して自分が異餌命である手がかりを消していくはずなので行き詰るはず。

 それにしても、一つ気になる事がある。

「あの、メールが送られてきたとありますけど、そのメールは?」

「パ、パソコンに、あったけど、いつの間にか、消えてた。け、消した憶えは、無い」

 操作された?

 彼女に復讐をけしかけた人物がいるとしたらそれは要注意だ。

 正直プログラムについては疑問があったが、誰かが手助けをしたとあれば納得が出来る。

 後味の悪い終わり方であるが、今は脳内の片隅にでも置いておいて、異餌命の解散を喜ぼう。

 それと新蔵が部屋に来た演出は、彪光の仕業だったらしい。

 場の雰囲気を作って、あたかもあの人が来たかのように思わせてびびらせたかっただけだったとか。

「恐怖はいつも人に何かを学ばせるものね」

 家を出て、南方さんの家を見上げて彪光はそう言った。

 うん、そうだね。

 南方さんは学ぶ、今回の恐怖で自分の過ちの大きさを知って。

 小十太さんは、家の前でうろうろしていたので南方さんの部屋に行って、今日は満足がいくまで彼女と話をしたほうがいいと僕は提案した。

 彼も、それがいいと判断して、南方さんの家へ入り、あとは後日にでも気になったら話を聞くか、と僕達はその場を後にした。

「お腹すいたわ」

「ファミリーレストラン、ゴー!」

「そうね、行きましょう。今日は豪勢に食べるわよ。勿論、貴方達も行くわよね?」

 僕と新蔵は顔を見合わせる。

 どうする? 僕達の視線は交差すると同時にこの言葉も交差されていた。

 その結果は――行くとしますかって感じ。

次で最終話となります、第三部も書き始めてはいますが結構時間がかかると思います、ご了承ください。

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