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第27話:こちらマザー。敵のアジトに侵入成功しました

 前回よりもギャグ色が濃くなっています。

 

 マザーはタイツァーと違い適当に選んだ通路を進んでいたが、こちらもマザーとは関連のある敵がいる通路だったようだ。


「いらっしゃ~い♪」


 通路の先にいたのはかつて大魔王ヒイロによって手足を引きちぎられた後に杏鞄アンズカバン刑務所行きとなった温泉街ニュッヒラの暴れん坊、クロコ・ロレンスだった。



「小生の相手はお前か。だがお前はたしか杏鞄刑務所に収監されたのではなかったか?」

 懸賞金は少ないが割と顔の知れているクロコ逮捕の記事は以前新聞で大きく取り上げられたのだ。



「ふっふっふっ。私はこれまでは実力を隠していたのですわ。ですから刑務所からは看守長のブロリ・コリーを倒して正面から脱獄させていただきましたの。まぁもっとも、足手まといになったヤルイお兄様は能力を司る心臓を抉り取り、そこから『瞬間移動』能力を魔術的方法にて私の能力として追加しましたからいままでの私よりもさらに強くなっていますわよ」


 クロコは刑務所に入ったあと、ヒイロの魔法による能力の封印が解けてすぐに手足を修復し、兄を殺しての脱獄を難なくこなしていたのだった。



「そいつは厄介だな。かつてお前とはやりあったことがあったがその時は本気じゃなかったんだろ?当時から億越えの賞金首だった小生は懸賞金80万のお前ら、いやお前を侮っていたがお前ほどの強敵は勇者達以外に見たことが無ぇ」


 マザーはジンにはあっさりやられたが本当に億越えの賞金首としてあちこちで多くの強者を倒してきた実績を持っているのだ。そのマザーを苦戦させた当時から実力と懸賞金の額が合わなかったクロコの実力は今ではどれほどのものなのだろうか。



「それにしても貴方が勇者の味方をするなんて世も末ですわね。まっ、それは置いといて、前回の続きをしましょう」


 クロコは瞬間移動でマザーの背後に回り込み、左手のフックでマザーを狙った。

 だがマザーもかつては弁護士をやっていただけあり、司法試験に合格するだけの天才的頭脳の持ち主。この程度は予想の範疇であり、難なく避ける。


「お返しだ。土魔法奥義、全てを包括する土の波紋『シュドム』!ついでに喰らっとけ『冥府の石柱』!」


 マザーは得意の土魔法を連続して詠唱するが、クロコもそれを難なく避ける。




「やるようですわね」


「お前だけが強くなったと思うなよ。小生も杏鞄刑務所から脱獄したあと、なりを潜めてはいたが修行は欠かしていないのだ。これまでの愛用のバズーカに頼りきった戦いしかできない小生と一緒にするな!」


 たしかにマザーは強くなった。だがそれ以上にクロコも強くなっていたのだ。

 

「だけど私の方がほんの少し上だったみたいね」


「何ぃ!」


 クロコの手に握られているのはマザーの鎧の一部。マザーは完全に避けきったかと思っていたがクロコはマザーの想像以上に強くなっていたのだ。


「まさか小生が速さで遅れを取るとはな。だが攻撃力ではどうかな?」


 マザーは背中のバズーカを構えクロコに向けて連射した。



「修行の過程で小生は武器のバズーカの改良も行ってたんだぜ。

このバズーカは冷却機能を従来の物の倍の性能に仕上げただけでなく素材も一から厳選した最高の物を職人の技術で手作りしたため鈍器としての使用も可能。

故障もほとんどなく1分間に800発も撃てるんだ。そしてこれは偶然だがアイテムボックスから直接リロードすると弾が最大装弾数まで装填されるという裏ワザに気づいたために懐にも優しいバズーカに仕上がったのだ!」


 そう自慢げに言いながらマザーはバズーカを連射し、クロコに向けて撃ち続ける。


「無駄なの♪そんなことしても私の能力は知ってるでしょ?もう私に勝つことは諦めなさい」


 クロコの元々持っていた能力『砂化』。この能力の前にはこの程度の物理的攻撃なんて最初から避ける必要すらなかったのだ。



「理解した?かつての私と違って貴方には私に勝つことも引き分けることも出来ないんですのよ。貴方みたいなのは早死にして地獄行きってのが決まってるのですから」


「なら地獄でハッピーになってやるさ!」



 かつてクロコと引き分けた時はクロコのサポート担当だった兄のヤルイを人質に取りその隙に水を掛けて『砂化』の能力を封じることで、引き分けに持ち込んだのだが、今ここにはクロコの動きを封じるものも『砂化』の能力を封じる水さえも無い。まさにマザーの手詰まり状態といえた。



「私が無駄って言ったら無駄なんだからいい加減生きることを諦めてはどうですの?」


 マザーはこの瞬間にも必死に勝つための作戦を練っていた。そう、まだマザーは勝負を捨ててないのだ。



「ちっ、親衛隊の5人を置いてきたのは失敗だったな。だがどうする?人生とは常に準備不足の連続とは言え、この状況で小生の手札をどう使えば……そうだ!クロコの体はもともと砂の塊。

砂は水に弱い、砂は風に弱い、そして、砂は音に弱い!」


 マザーはここから自分が逆転する筋道がはっきりと見えた。



「『アパッチの雄叫び』。ウララー!」 マザーは大きく息を吸い、肺に溜まった空気の全てを一気に…………素早く取り出した携帯電話に向けて吐き出した。


 するとすぐに城の外から何かが近づいてくる音が……。


ドカーン

 超魔王の城の壁を破壊して現れたのはヘリコプターだった。



「ヒャッハー!ズバッと参上ぉー!マザーの大将ぉー。こいつを吹っ飛ばせばいいんですねぇー?」


 ヘリはマザーのバズーカとは比べ物にならないほどの破壊力を伴ったミサイルを一斉掃射し、物凄い轟音を辺りに響かせ、全弾クロコに命中した。



「アパッチってそっちでしたのぉぉぉー!?」


 クロコはそのまま空の彼方へと吹き飛んで行った。



「小生はかつては弁護士をしていたのは割と有名だが、そのあとにシース自由都市の防衛軍に入り大将の地位まで登りつめ、最高司令官をやっていた時期もあったのでな。だからちょっと頼めばヘリだろうと戦車だろうと空母だろうとあっさり力を借してくれる奴らが大勢いるのさ」


 マザーは呪いにより10歳の体のまま成長しないので捻くれた目つきの悪さはあるもののそれすら周りからは可愛いと思われているため、軍にも未だファンは多いのだ。


「さらばだ、小生の永遠のライバルよ。いつかまた会おう!」


 今回の闘いは音というよりも爆風で吹き飛ばしたわけだが、その言葉は遠い空の彼方に飛んで行ったクロコが聞いているはずもなかった。


 



蛇足 


 ちなみにマザーは弁護士、軍人となったあと、イルカの調教師、ガラス職人、漫画家を経たあと山賊となったのだった。そして今回マザーがジンを助けに来たのもレン・コーンのブログで『勇者の手助けした人には限定アイテムプレゼント』という情報を見つけたからだったりする。

 ここらで中の人ネタでも混ぜようかな。今回はマザーの声を私は大塚明夫さんにしていたのでちょっと趣向を変えたバトルにしてみました。

 あと混ぜ方に悩む作品としてバイオハザードも少々♪まぁ、悩むくらいなら無理して混ぜる必要はないですねw


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