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第22話:搭のラスボス

 「アザアザ」って搭は40階までしかないのにやること多いからやり込みゲーマーの私には最高のゲームでした。

搭の最上階にて。



「あの卵は親父の封印術式が刻まれてる。やはり親父はこの搭の最上階に来たんだ!」


 亡くなった父親について知れるのが嬉しかったのかコウは搭の最上階に封印されている究極の魔物の卵に駆け寄った。だが。



「これどうやって封印解けばいいんだ?」


「ああ、それは魔物使いの血をかければ解けますよ」


「ご親切にどうも……ってあんた誰よ。知らねーよ」


 ジン達は最上階からの眺めを楽しんでいるので卵の前にはコウしかいなかったのだがあからさまに怪しい片腕の男が隣に現れた。


「私はベルード。あなたの父の友人でこの卵を守ってきたものです」


「鏡を見てみろ。あんた怪しすぎだぞ」




「……くっくっくっ。バレてしまっては仕方がない。冥土の土産に教えてやろう。私はお前の父を殺し、この究極の卵を奪おうとして失敗した者だ!貴様の父親に斬られたこの腕の恨み思い知れ!」

 ベルードと名乗った男はいきなり斬りかかってきたが。



「オヤジの文句はオレに言え!」


 遭遇する魔物全てを倒していたジン達と一緒に搭を登ってきたコウはすでにレベル9990となっていたため軽く避けて逆にベルードを斬った。



「ぐはぁ。よくぞ私の神速の剣を回避できたものだ。私の相棒のキューンドラゴンさえいれば勝てたのに……」



「あー、悪い。多分そのキューンドラゴンなら搭の入り口で出てきたからオレの仲間が焼いて食っちまった」



「……何だと!勝手に食うなよ。あいつは肉を食うよりも尻尾を使ってコネたうどんの方が旨いんだぞ!あの美食家コトリが絶賛するうどんなのに!」


 ベルードはかなりの食通だったようだがそんな事はコウには関係なかった。


「しかしバカだなあ……このオレの機嫌を損ねた上にちょっとでもオレに勝てると思ってるなんて。本当にバカめが!」


 そこでコウがベルードをひねり潰そうとしたのだが。


グチャ

「おーっす!コウ、景色も堪能したし早く帰ろうぜ。って何か変な音がしたな。まっ、気のせいか」 


 景色を見飽きたジンは足の握力で壁につかまり、腹筋で上体を起こして壁走りをしていたがそれにも飽きてコウの上から降ってきたのだがベルードに気付かすに踏んずけてしまい、ベルードはてぺちゃんこになってしまったのだった。 


 説明しておくとベルードは先ほどのコウへの攻撃に全力を出したために反動で体が小さくなっていたのだった。



「ジン~。こっちに一階まで直通のエレベーターがあったわよ。早く帰りましょう」

 ヒナは今回の冒険で拾ったアイテムを空間魔法で全てしまってあるのでかなりの稼ぎになったのでウハウハのようだ。


「おう、すぐ行く。さてコウ帰るぞ。ってこりゃ立派な卵だな。しかも封印されてるけど……ほい」ジンが軽く剣を振ったら封印が斬れた。

『何でも斬る能力』は封印など形のないものでも斬れるのだ。



「本当に規格外の人達ですねあなた達は」

 コウもここまであっさり搭の最上階に到達して、あっさり搭のボスを倒して、父が封印した卵をあっさり持ち帰るジン達には自分のこれまでの常識の無意味さを知らされた。





そして街に無事に帰還。

この日は砂漠の街モンスパイアに数年ぶりの雨が降ったこととコウが十五才を迎えて搭に初挑戦していきなり最上階に到達したお祝いで盛り上がった。



「魔物の搭って案外ちょろかったな♪」


「某にはぬるすぎたな」



 タイツァーは街に着いてすぐにお菓子をエサにしてコウの妹と一緒に遊んでいた。





「私はジンさえいれば楽しめるから今回の冒険も楽しかったわ」


「それにしても1日でレベル9000越えとはコウも最強になる素質があるんじゃないかしら」



 コウの家が小さかったので搭に登る前にヒナがすでに大工に宝払いで改築依頼をだしていたのでタカギ家は街一番の豪邸となっていた。


と、ここでメインディッシュの登場。


「お、焼けたみたいだな。究極の卵を使った目玉焼き」



「ちょっ、何やってんですか!?親父が封印した卵を目玉焼きにするなんて」


 せっかく取ってきた卵は特級厨師ジンにより究極の目玉焼きとなっていた。



「まあいいじゃん。コウは醤油とソースどっちだ?」


「じゃあソースで」

 究極の卵を使っただけあって究極の目玉焼きは最高に美味だった。




「ところでコウ殿はこれからどうするのだ?」


 コウの妹を膝に乗せたタイツァーが聞いてくる。



「暫くは街の発展に協力しますよ。オレの彼女の一人が文化的な物が好きだから色々と造りたい施設もあるし」



「じゃあ私が拾ったアイテム売ったお金あげるわ。この街をニカンド帝国の首都と同じくらい発展させてあげるわ!」



「それは面白そうですわ。私達は破壊には自信がありますし手伝いましょう」


 こうしてジン達による砂漠の街モンスパイアの改造計画がスタートした。





「あー、そこはもっと丁寧に。土台がしっかりしてないと建物は全て駄目になるから」



「破壊の裏に創造あり、創造の裏に破壊あり、壊して造る。これすなわち大宇宙の法則なり!某のスーパーパワーを受けてみよ。ウーハー!」


「やっぱ材料を私の魔法で造るから安上がりでいいわね」


「このままジン様が王としてこの街を乗っ取ってはどうですか?」

 

 

 現場監督として汗水流すジン。それと一緒に魔法で材料を作りだすヒナや、一人で組み立て作業を行うタイツァーに、瓦礫の粉砕をするリース。4人が協力する事でたった一週間で街は生まれ変わった。 街を囲む塀も新しく造り直され、広さも以前の10倍となった。材料費はヒナが魔法で作り、人件費もジン達4人だけでやったのでタダということもあり街は急速に発展した。そのため図書館やカジノなども出来たことでコウに新しい彼女が増えていた。



「なあコウ、他人がどうこう言うことじゃねえけど彼女増やしすぎじゃねえか?」



「気にしないでいいよ。この街は多夫多妻制を取り入れてるから何の問題もないよ。ただそれでもオレのライバルはモテないんだけどな」


 コウが言うライバルとは搭の二階で絡んできたキザな男の事だろう。元街一番のお金持ちの。




「じゃあ俺達はそろそろ街を出るからあとはお前がしっかりやれよ」



「ふはははは!オレを誰だと思っているんだ。ジンにはする事があるんだろうしさっさと済ませてこいよ。次来たときにはオレはこの街を国に昇格させて王になっているだろうけどな」


 何やら父親の死の真相を知り、レベル9000越えの金持ちになったことで性格が変わってしまったようだ。



「だがオレはジン達への恩を決して忘れない。困ったことがあればいつでも助けに行くからいつでも呼んでくれ」


 しかし本質は変わらず、こうしてジンとコウは友情により繋がり、これからも心の友となった。



こうしてジン達は次の冒険を求めて街を出るのだった。






おまけ


 搭に入る前の出来事。


「しっかしこの搭デケェな。久しぶりに大物でも出るといいんだけどな」



「ジンを苦戦させる大物が出るとは思えないけど少しは期待できそうね」


 そこへふよふよと変な魔物がやってきた。



「あんた魔物使いだろ。おおっと、ビックリするなよ怪しいもんじゃないよ」


 ジンとヒナがイチャイチャしているところに突如として現れた魔物はコウに近寄り話しかけてきた。



「十分怪しいわね」 またしてもジンとの会話の邪魔をされてイラつくヒナ。



「魔物が人間の言葉を話すからか?ちょっと頭がいいもんで、人間の言葉を覚えちまったのさ。ところで使い魔としてオイラを仲間にしないか?オイラは主人に死なれた元使い魔なんだ」



「ちぇりおー!」

 ヒナのコークスクリューブローが決まる。



「いきなり仲間にしてくれという奴は敵が多いのよ。あと色が赤じゃないからイヤ」


「まあいいじゃねえかヒナ。赤色じゃなくても旨いはずだ!俺の料理眼がこいつは旨いと告げる。料理を作れと轟き叫ぶ!」


 ジンはキューンドラゴンを掴み上げ。


「食らえ、飛翔爆炎脚!」 


 という流れでキューンドラゴンはあっさりとジン達に食われたのだった。

 コウも止める間もないジンの早業に感心しながらも確かに旨そうな匂いに負けてみんなと一緒に食べてしまったそうな♪

 そういえば世界観設定資料もかなり加筆しました。これからもちょこちょこ加筆予定です。

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