表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/43

第15話:雪山の主、ムスカバルス

なんか書くと決めたらモンハンのネタが増えたな。

 冷たい風が吹き荒れ、あらゆる生命が生きる事を拒むかのような極寒地帯。

 ヒイロ達一行は古代都市イツワの跡地でジェルダー・ワイフリーを倒したあと、次にレーダーが示したこの極寒地獄、トッポケト山脈に来ていた。




「さ、寒いのじゃ~」 吐いた息が凍ってしまう。これにはさすがにヒイロも参ってしまう。


「ヒイロ様ー!いつでも僕の胸に飛び込んできてくださーい♪」 この猛吹雪の中、メレルは体から不凍液を出すことが出来るので寒さを感じていないのだ。


「おいメレル、寒くないならお前一人で宝石取ってきてくれよ。俺とヒイロ様は山の麓で待ってるからよ」


「たわけ!そんな部下に頼りきった怠惰をわっちがすると思うか!?」 ヒイロは基本的に楽をしたがるが人任せというのが大嫌いなのだ。


「さて、そろそろレーダーで位置を確認するかのう」 山を登る前に確認したところ宝石はこの山の山頂にあるようだったが、この猛吹雪の中では今どこにいるのかさえわからないのだ。


「……」


「どうかしましたかヒイロ様?」 メレルは平気な様だがさすがにこの寒さはガルスにはきつかった。


「宝石レーダーを麓の村の宿に忘れてきちゃったのじゃ♪」


「「……」」


「……」 しばしの沈黙。だがそれは永遠のように長い。


「てへっ♪」


「では僕が抱っこしますから山を降りましょうか」 メレルの発言には不純な動機があるが作戦としては妥当なのだが。


「すまん。地図も無いから現在地もわからんのじゃ」


「するってえと遭難したんですか?」


「うむ、実はそうなんじゃ」 山で迷ったらお約束。


「じゃが心配するな。わっちの『幸運』能力があれば誰かがたまたま通りかかってくれる筈じゃ」


「……本当に通りかかりましたね」 3人の視線の先にはこちらに向かってくる影が


「なんかデカくないかや?」 近づいてきたそれは野生の魔物のようだ。


「ぶっぽるぎゃるぴるぎゃっぽっぱぁぁぁーっ」 雪山を滑るように迫ってくる魔物は全長30mはありそうだった。


「ヒイロ様、ここは戦略的撤退ですよ」


「大丈夫ヒイロ様は死なない。僕が守るから♪」 いまいち緊張感が無いがこれはピンチだった。



「そこの人達。こっちです!」 突然声を掛けられ、声のした方を向くとそこには小柄な少女がいた。


「こっちに洞窟がありますから急いでこっちに逃げてください!」


3人はその声に従い戦略的撤退をすることにした。


「ぶっぽるぎゃるぴるぎゃっぽっぱぁぁぁーっ」

 魔物はどこか別の場所に向かったようだ。



洞窟の中に逃げ込んだ3人が見たのは小柄な少女だった。


「ぬしが助けてくれたのか。わっちはヒイロ、先ほどはおかげで命拾いしたわい」 助けてくれた少女はとても可愛く、ヒイロの頭の中は百合の花が咲きそうだった。


「俺はガルフィース。ガルスって呼んでくれ」 ガルスはヒイロ以外の女性には興味を持たないので感謝で終わるのだが。


「はいはいはーい。僕はメレルールっていいます!お嬢さん、彼氏いる?」 旅の最中女性と関わる事なんてほとんどなかったため、どんな女性でも受け入れる器を持つ男メレルのテンションは上昇中であった。


「えっと、こんにちは。私、ヒラ・サワユイって言います♪」 外見通りの可愛らしい声で答える。


「ヒラよ。さっきと声が変わっておらぬか?」 ヒイロだけでなく他の二人も気づいたが先ほど魔物に追われていた時に聞いた声と違ったのだ。


その質問にヒラは自分の腕を見ながら

「あぁ、それはこの子の声ですよぉ」


右腕に付いてるのはただの弓だった。


「はじめまして。ご主人様の武器をやっていますナカノ弓と申します」



「ふむ、インテリジェンスアローと言ったところか。見るのは初めてじゃな」 ヒイロは知っていたようだがメレルとガルスは知らなかったようだ。


「よくご存知ですね。私は弓にゃんと二人でこのトッポケト山脈専属のハンターをしてるんですよぉ♪」 そう言いながらナカノ弓に頬ずりする様子はまるで子どものようだった。


「もう、ご主人様。人前であんまりベタベタしないでください」 ナカノ弓はそう言うが、いつもの事なのだろう。ヒラは聞く様子はない。


「ところでこんな山奥で何をなさっていたんですか?」 挨拶も済んで一息ついたところでナカノ弓が聞いてきた。


「実はカクカクシカジカなんじゃよ」


「そうだったんですか、ならその宝石探しを私達も手伝いますよ」


「うんうんそうだね。私達も手伝いますよヒイロさん」


ヒラ・サワユイとナカノ弓が仲間になった。


「……ヒラよ。いや、ヒラちゃん。わっちの事をヒイロお姉ちゃんと呼んでくれんか?」 少し幼く見えるヒラにヒイロは欲情してしまったようだ。


「僕も僕も!メレルお兄ちゃんって呼んで」 ついでに便乗するメレル。


「いいですよぉ。ヒイロお姉ちゃん。メレルお兄ちゃん♪」


その瞬間ヒイロとメレルの中で何かが弾けた。


「「ヒラちゃん、一緒に添い寝「二人とも宝石が先だろ」……そうでした」」 ガルスが止めなければR18に踏み込んでしまうところだった。


「た……助かったぜガルス、ありがとう」

「た……助かったぜガルス、ありがとう」

ヒイロとメレルの声がシンクロした。



「ふうん……ふうん」 ガルスはそれ以上何も言わなかったがここには忘れていたがもう一人いたのだ。


「私のご主人様を奪うようなら殺しますよ」 インテリジェンスアローのナカノ弓はそれまでの可愛らしい声を洞窟の外の吹雪よりも冷たくして警告をしてきた。


「はわわ、もう弓にゃんったら!心配し過ぎだよぉ。ヒイロお姉ちゃんとメレルお兄ちゃんが酷いことする訳ないよぉ」 ヒラの笑顔は一切ヒイロ達を疑っていない眩しすぎる笑顔だった。



そしてしばしの沈黙のあとに口火を切ったのはガルスだった。


「さっき話をしている間に宝石レーダーを新しく作ったんですがどうやら宝石がこのトッポケト山脈の中を移動してるみたいなんですよ」


「さっきの魔物が食べたりしたのかのう?」そのヒイロの質問に答えたのはナカノ弓だった。


「ありえますね。あの魔物、ムスカバルスという名前ですが何百年も雪山深奥で寝ていたんですが最近になって活動を再開したんですよ」


「じゃあさじゃあさ、ムスカバルスを全員で倒しちゃわない?ほら、私達はちょうど4人だし、討伐後にハンターズギルドからも報酬がもらえるよ♪」 ヒラの言葉に全員が頷き、狩りを翌日にし、今夜は洞窟で一夜を明かした。


続く。








おまけ



その夜。割と広いとはいえ洞窟の中で4人は雑魚寝することになった。

 洞窟の入り口はヒイロの魔法で氷の壁が作ってあるので敵の心配はない。……だが密室なのだ。


「zzZ」 全員寝てしまったが、ヒラの隣で横になるヒイロはなかなか寝つけなかった。


「はうぅ、可愛すぎるのじゃ」 ナカノ弓も寝ているようだし、メレルは騒ぎすぎてガルスに気絶させられ、ガルスもすでに寝ている。これはチャンスではないだろうか。

 ヒイロは寝返りを打つフリをして徐々にヒラに近づき、顔を近づける。


「……ヒイロお姉ちゃん」 寝言のようだがヒイロはかつてない程ときめいていた。


「じゃが……」 ヒイロは迷った。こんなにも自分を信頼している少女を寝ている間に手込めにして良いのだろうか。


「だが敢えて挑むのも愛!わっち色に染めてしまえば問題はない」 そう決意したヒラに迫ろうとしたが


「すごいパーンチ」 ヒラが寝言を言いながら物凄い突きをヒイロにヒットさせた。


「……ヒラは寝相が悪いな。ぐふっ」 ヒイロも気絶した。



 結局何もせずに終わったが、翌日仰向けに寝ているヒイロの上にヒラが乗っかり、さりげなく互いの手も色々とヤバい位置にあるという状況になっていたため、ナカノ弓が人の姿に変身してヒイロを殺そうとしたのをガルスが止めてメレルがその様子を食い入るように見つめていた事を一番最後に起きたヒイロが知ることはなかった。

長くなったのでこの話の続きは明日更新します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ