表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/43

第9話:ヒイロ・ホロホロの冒険

 ジン・コーシュの冒険の二期スタートです。

 二期の主人公はジンではありませんがお楽しみください。

「わっちは~♪荒野の~♪大魔王~♪」



 周りを見渡しても何もない荒野をバイクに乗って走る女性がいた。



「町まではあと10kmくらいじゃな」



 そして速度を上げてそのまま突っ切っていった。



~場所は変わって~


「なあガルス。

 今回の休暇は大魔王ヒイロ様と同じ日に入れてたし、もしかしたらこの町で偶然会えるかもしれんな~♪」


 青髪の男が大げさな身振り手振りを交えながら言う。



「アホな事言うなメレル。

 俺達と違ってこんな田舎の温泉街に来るわけないだろ」



 それを顔に傷のある男が言い返す。



 ここはダーイチ王国の東に位置する温泉街ニュッヒラ。


 そしてこの二人の男達は魔王忍軍十二頭領のメレルールとガルフィース。


 魔王軍が潰れる前に休暇をとって温泉街の観光のためこんな田舎まで来たため、魔王軍が潰れた事をまだ知らない。


 そうして二人は現在ニュッヒラの町で特に大きい酒場無駄話をしながらお茶と温泉饅頭をつついていた。



カランコロン


 酒場の入口が開き、一人の女性が入って来る。


 酒場にいるのはハンターや傭兵といった戦闘職の者ばかり。


 入って来た人物を値踏みしようとその場にいた全員が同時に振り向き、そして静まり返った。


 まさに絶世の美女だったのだ



「お、こんな所におったか」



 そう言うと女性はメレルールとガルフィースの方に近づいてきた。



「……お、お久しぶりです。

 大魔王ヒイロ様」



「うん久しぶり、ガルス、メレル♪」



「ヒイロ様、今日もお美しい。

 確か僕達と同じ日程で休みをとってましたけどデートのお誘いですか♪」



「おいメレル。

 ヒイロ様に対してもっと敬意を持つべきだ」



 メレルはヒイロに対しても普段通り軽い口調で接し、それをガルスがたしなめる。


 これも二人のいつものやり取りだった。



「くふふ♪

 ガルスもそんなに堅くならんでもええ、わっちはメレルの軽さを好いちょるんじゃ」



「実は今回二人に話があってきたのじゃ」 ヒイロはメレルールのグラスを勝手に飲みながら。



「魔王軍潰れたから」


「「はぁ?」」



 これにはさすがに二人とも驚いた。


 魔王ダパディと大魔王ヒイロ、さらにその上の超魔王がトップにいる自分たちの働く組織が潰れるなどとは露ほども考えてもいなかったのだ。



「実はカクカクシカジカでダパディちゃんが死んじゃってね。

 わっちも超魔王も組織の運営には一切関わってなかったからやり方が分からないし、解散って感じになったの」


「はぁい、先生。

 じゃあなんで僕達に会いに来たんですか?」



 相変わらず軽いメレルール。



「うむ、良い質問じゃ。

 実はわっちはメレルとガルスを直属の部下として欲しかったので、スカウトに来たんじゃ。

 金はないから給料は出せんがのう」



「はーい、僕は部下になります。

 是非ともヒイロ様の食事から下着の洗濯まで何なりとお申し付けください!」



 やはりメレルはこういう奴なのだ。



「俺も部下になるのは構いませんけど何か目的でもあるんですか?

 ただの召し使いとしてならなら俺らよりも有能な奴がいるでしょう」



 ヒイロがその事について説明しようと口を開きかけたところで邪魔が入った。



「よう姉ちゃん、オラと遊ぼうぜ」 絡んできたのはかなり酔ったハンターのようだ。



「ぬしの事が嫌いじゃ。

 近寄るでない」



「てめぇ、その綺麗な顔がグチャグチャになってもいいのか!?

 オラはあのガリャリャワニを倒せるんだぜ(子供だったけど)」



「メレル、ガルス。

 まずはこの馬鹿を黙らせるのじゃ」



「「了解」」 二人はそれぞれに武器を抜き、男の手足を切り落とした。



「僕の愛槍、『心の槍』は最強!」



「いやメレル。

 俺の愛刀、妖刀『獣渡り』の方が強いぞ」


 二人の武器は本来、複雑な手順を踏まなければ倒せない怪異をたった一撃で殺すための怪異殺しの武器だが、気合いを込めることで人間でも何でも切り裂くことが可能となっていた。



「お、覚えてろよ!」



 男は芋虫の様に地面を這って酒場から逃げていった。



「うむ、流石じゃのう」



 ヒイロから褒められたためメレルはデレデレになり、ガルスも満更でもないらしく、赤くなっていた。



「さて二人を部下にする理由じゃが、わっちのこれからの旅に二人くらいの強者でないと付いてこれんからじゃ」



「そんなに厳しい場所を観光するんですか?」



 メレルは付いていく事を決めたらこういう事に疑問を抱かないのでガルスが代わりに質問する。



「まぁ、詳しい事はまた後程じゃな。

 またもや招かれざる客が来おったわ」



 ヒイロの言葉が合図になったかのように酒場のドアが吹き飛んだ。


 入ってきたのは二人組の男女と先ほど手足を切り落とした酔っ払いだった。



「手下の仇をとらせて貰おうか」



「覚悟はよろしいかしら」



 二人組はかなりの腕利きらしいがヒイロ達は相変わらず涼しい顔で聞いていた。



「……メレル、ガルス、さすがにこう何度も話の邪魔をされてわっちも腹が立ってきたから二人は見ておれ」



 ヒイロは普段は大人しい性格のだが、キレた時の怒りは他の追随を許さぬ事を知っていたメレルとガルスは慌てて距離をとった。



「俺達が80万の賞金首のロレンス兄弟と知らないようだな」



「ヤルイお兄様。

 ここはクロコ一人で十分ですわ。

 いつもの様にサポートをお願いしますわ」



 だが次の瞬間二人の心は絶望に包まれた。



「変身」



 そう言うとヒイロの体は巨大な狼の姿になった。



「ぬし等、生きて帰れると思うなよ」



 頭ではなく本能から震えてしまう声。


 酒場にいた他の客は全員逃げ出した。


 ロレンス兄弟も今すぐ逃げ出せば助かったかもしれないが



「な、なんだ『変身』能力か。

 妹の敵じゃねえぜ」



「ヤ、ヤルイお兄様のサポートがあればクロコが負ける筈ありませんわ」



 それを離れた場所で見ているメレルとガルスは



「あいつら馬鹿だねぇ。

 肉食系『変身』能力は凶暴性もハンパないのにw」



「ああ、俺達も気をつけねばいかんな」


「死ね」 まずヒイロは妹の左腕を食いちぎり、兄の右足を爪で引き裂いた。


「なんで!?

 クロコの身体は『砂化』の能力で物理攻撃は効かない筈なのに!」



「俺も『瞬間移動』能力が使えないぞ」



 二人は生まれつき持っていた能力を過信していたため、いざ使えなくなってパニックに陥ってしまったようだ。



「わっちは大魔王ヒイロ・ホロホロ。

 ぬし等の能力はわっちのオリジナル魔法で凍らせた」



 氷属性の魔法にも特化したヒイロは能力という目に見えないものすら凍らせる事が出来る。まさに大魔王に相応しい強さを持っていたのだ。



「てめぇ、俺達を騙したな。

 大魔王だなんて反則じゃねえか」


「たわけ!

 ぬし等が勝手にケンカ売ってきたんじゃろうが。

 それに騙されて怒っているようじゃ話になりんせん。

 感心してこそ一人前じゃ」



 その後、ロレンス兄弟は適当にボコられて刑務所に連行された。






「さて、さっきは二人とも部下になると言ったがどうする?

 今ならまだ間に合うがわっちの旅は今のような事が幾らでもあるだろうし死ぬかもしれんぞ」



 ヒイロとて二人にはついて来て欲しいが無理強いするつもりはない。



「ヒイロ様、僕は女性専用車両という言葉の響きにいやらしさを感じる程のエロスです。

 美しいヒイロ様のためなら地獄の底まで付き合いますよ」



 メレルは相変わらずだ。



「俺だって損得勘定くらいは出来ますよ。

 しかし契約を守ることは良き人間の第一条件です。

 先ほど決めたついて行く決意を反故には出来ません。

 ヒイロ様が地獄に向かうなら地獄の底から引きずり出してみせます」



 ガルスの覚悟も先ほどと変わっていないようだ。


 するとヒイロは顔をほころばせ、


「ありがとう♪」


 と言った。


 それはまさに花のように可憐で美しい笑顔だった。


 この笑顔を見ては二人のついて行くという決意がさらに強固なものになった。


 こうして大魔王ヒイロと愉快な仲間の冒険が幕を開けるのだった。

 くるわ言葉難しすぎ!広島弁が混じってるしw

 さて二期からはフレの意見を参考にして「化物語」がかなり混じります。

 感想、評価お待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ