第2話:激突!バスラ・カベル
やはり投稿初日だし3話くらい書かねば。
「……ここはいったいどこだ……ここは……ここは……ココアで一服♪」
「ノッケからボケかましてんじゃないわよ!」
スパーンといい音でヒナのツッコミが炸裂した。
「おはようヒナ。
俺はさっきまで普通にニカンド帝国を目指して進行中だったはずだがいつの間に寝たんだ?」
「正確には寝てたんじゃなくて気絶してたのよ。
私が帝国まで転移魔法で行こうって言ったらジンが道中を楽しみたいからとかなんとか言っちゃって歩いて行こうとするから殴ったのよ」
「あー、そりゃスマン」
「もういいわ。
でも私の耐久力は障子紙ていどなんだからちゃんと守ってよね」
なんとまぁツッコミどころの多い旅の始まりですね。説明しますと二人はナーカ村を出て最初はお隣の国、ニカンド帝国に向かうことになり、その道中でのやり取りということになります。ちなみにまだ村を出て30分しか経っていません
「俺達が今日から勇者の旅を始めることは新聞やテレビでたくさんの人が知ってるんだ。
魔王軍や名を上げようとする馬鹿がいつ襲ってくるか分からないんだからもっと慎重かつ大胆に行こうぜ」
「慎重と大胆は矛盾するわ。
それに私達だけでも友情パワーは無理にしても愛情パワーは出せるわ」
そうして二人は帝国に向けて再び歩きはじめた。
が、その時
「はーはっはっは」
街道から少し離れた岩の上から声がした。
「俺様は七つの海を股に掛け、奪った宝は数知れない。
荒野の義賊バスラ・カベル様だ!」
「あーヒナ、ああいう輩には関わらない方がいいな。
馬鹿が移る」
「そうね。
あれほど全身で馬鹿っぽさを表現できる人は初めて見るわ。
いえ、人ではないのかも知れないわね」
この場は黙って通り過ぎるのがマナーだと思い、スルーしようとしたが
「とうっ!(グキッ)はうっ……ちょっ、ちょっと待てぇーい!
この超絶かっこいい、超絶モテモテ、超絶強い、超絶素敵な義賊バスラ・カベル様を無視するとは何事だ。
ジン・コーシュ、テメェに決闘を申し込みにきた」
岩から飛び降りたときにそれはもう見事に足首を捻ったのに痛みを堪えて口上を述べる姿は立派なものだった。
「いや、お前大丈夫か?
今のかなり痛そうだったぞ。
まぁ勝負のことならわかった。
お前の名前は聞いたことがあるぜバスラ・カベル。
レベル9999の俺とまともに闘えそうな最強と聞いていたがまさかこんな馬鹿だとは思わなかったがな」
「俺様はレベル1万だがな」
「いや俺も本当はレベル1万1だから」
「どっちもレベル9999じゃない……」
そして会話もそこそこにどちらからともなく剣を抜き、互いに飛びかかる。
ガキィィン
「俺の『何でも斬る』能力が発動しないな。
どういうことだ」
ジンは自分の剣がバスラの剣で止められたことを疑問に思う。
「教えてやろう。
俺様は生まれつき『相手の能力を無効化する能力』を持ってるんだ。
そして俺様はつえぇ、だから無敵だ」
ジンも自分の能力が通じない相手は初めてだったが、
「へっ、俺は俺と互角に闘える奴がいるだけでうれしくなってくるぜ。
もっと楽しもうぜバスラ。
必殺、バオウザケラァー!」
「俺様も生まれて初めて本気で闘えるぜ。
こっちも必殺、平等院鳳凰堂地獄鳥の舞い!」
そうしてお互いに必殺技を放った。
そして……
「へへっ、ジン。
お前つえぇな」
「バスラこそ俺と引き分けるなんて思わなかったぜ」
二人は夕日の中で大の字になって横になっている。
「まったく、ジンも戦闘狂っぽいところがなければ楽なんだけどな。
でもそんなところも格好いい……」
ヒナはジンが楽しそうだったのでずっと観戦していた。
「ジン、そろそろ行かないと森の中で夜を過ごすことになっちゃうわよ」
「おっとわりぃ。
じゃあなバスラ、もう行くよ」
「おう、次こそは決着つけようぜ」
こうして後にライバルとなる二人の最初のバトルは幕を閉じた。
バスラは主人公のライバルとしてだしました。ライバルがいてこその勇者ですしね。