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三崎はいつもそう

作者: 千子
掲載日:2026/03/14

三崎はいつもそう。

そう言われ続けて早三十八年。

私はきっと変わらないだろう。

平日真面目に仕事して、友達と遊んで、趣味のネットサーフィンで面白い記事を保存する。

これだけでも「三崎はいつもそう」って言われていた。

じゃあ、私じゃないことってなんだろう?

急に思い立った私は、朝、会社に体調不良で休むと連絡していつもとは逆の電車に飛び乗った。

私の小さな冒険の始まりだ。


しばらくして、気になる地名の場所に降りた。

たいして地元と離れてはいないけれど、あまり来たことはない場所。

「ふぅん」

改札を出てしばらく歩くと、猫がいた。

思わずスマホを取り出してパシャリ。

なんでも撮るのも「三崎はいつもそう」って言われていたことを思い出した。

危ない、危ない。

今日は私らしいことをしないと決めたんだ。

でも、猫は可愛い。可愛いは正義。

おいでおいでと手を招いてみると、ミャアと鳴いて近寄ってきた。

この人懐っこさ、飼い猫かな。

見知らぬ猫には不用意に触らないようにしている。

どんな病原菌があるかもわからないからね!

野良なら尚更。

冷たいって言われても、自分の身は自分で守るしかない。

猫も、絶妙な距離で待機している。

ああ、やっぱりだめ!

私はスマホを取り出して、猫を連写した。

三崎はいつもそう。

いいじゃないか。

私らしくって。

大人しく撮らせてくれた猫に別れを告げて、また見知らぬ道を歩いていく。

今度は古めかしい駄菓子屋さんがあった。

今度も記念にパシャリ。

恐る恐る中に入ってみると、お婆さんが奥に鎮座しているなんて事のない駄菓子屋だった。

私は懐かしさから何点か買うと、お婆さんに尋ねてみた。

「ここら辺で面白いものってありますか?」

たいした期待はしていなかった。

「あるよ。岬があってね、船も観光客向けにお店も出している」

三崎が岬にいる。

なにそれ面白い!

私はお婆さんにお礼を言って、教えてもらった道を進んで行った。

途中、気になるものをパシャリ。

数駅しか違わないのに、気になるものがたくさんある。

それが面白くてなんでも撮った。


しばらく歩くと岬があった。

私は岬が分かる場所を撮ると、岬の先端に行き、とはいえ人が落ちないように柵があるけれど。

久々に見た海は大きくて、三崎はいつもそうって言われていたのなんかどうでも良くなってしまった。

太陽の光でキラキラ反射して、とても綺麗で、写真を撮る手が止まらない。

今日は休んで来てみて良かったなぁ。

会社をサボったのがバレるからSNSには載せないけれど、個人用の裏垢にならいいよね。

誰にも教えていない、私だけのアカウント。

今日あったことをメモ書きで書いていく。

もちろん写真は忘れずに。

さて、帰ろう。

そう思って歩き出したら足場が揺れた。

地震だ!

そう思った時にはだめだった。

岬は崩れ落ちて私は岩と共に海に真っ逆さま。


「ダメですね。鞄は見当たらないし、身分証や財布も見つかりません。もちろんスマホも」

「それじゃあ、この仏さんも浮かばれないだろう。もう少し探すぞ」

「はぁい」

「伸ばすな」


それに返事をするように、波だけが音を立てた。

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