走るわよ!
掲載日:2026/02/17
列車の発車時刻までにはまだ余裕があった。だから彼女はこう言った。
「ねえ、だいぶ時間があるからお茶でもしながら時間をつぶそう」
ボクたちは駅構内のカフェに立ち寄った。すると時間が経つのも忘れてしまうほどの話が弾んだ。気が付けば列車の発車時刻が迫っていた。
「もう、こんな時間だ! ちょっとやばいかも…」
すると彼女も時計に目をやった。同時に彼女の顔色が変わる。
「いや、ちょっとどころじゃないわよ! 走るわよ」
「えっ! 走るって…」
ボクは驚いた。それは彼女の服装。今日の彼女はタイトスカートにヒールの高い靴。これで走るって?
そんな僕の心配をよそに彼女は靴を脱いでスカートをたくし上げた。そして、脱いだ靴を両手に持って駆け出した。
「早く!」
呆気にとられて立ちつくすボクに彼女は叫んだ。
ボクたちは間一髪発射寸前の列車に飛び乗った。息を切らしながら座席につくと彼女はすぐに席を立つ。
「どうしたの?」
「ストッキングが破れちゃったから履き替えてくるわ」
彼女は恥ずかしそうにそう言うとストッキングをはき替えるためにトイレへ向かった。
それが人目もはばからずに靴を脱いでスカートをたくし上げて走ってきた彼女と同じ女性だとは恐れ入る。




