【第4話 偽チート販売機】
俺は、1億ゴールドをドブに捨てた。
手元に残ったのは[花クラッカー]いう一生使わないゴミスキルだけ。
だが、俺は怒ってなどいない。
むしろ、感謝していた。
あのクソ販売機のおかげで、完全に目が覚めた。
──チートを買う奴は、馬鹿だ。
俺は、それを商売に変えることにした。
3日後。
王都の裏路地に、怪しい自動販売機が現れた。
見た目は神の自動販売機と瓜二つ。
ただし、看板が違う。
「人間運営 チート販売機 1000万ゴールドでSSR確定!」
俺が自作した偽物だ。
中身はもちろん、俺がコピーした24時間スキル。
抽選もクソもない。
客が払えば、即座に好きなSSR級スキルを転写。
もちろん、24時間で消えることは契約書の隅に小さく書いてある。
開店初日。
行列ができた。
先頭は、金持ち貴族の三男、カイルだった。
「本物は1億だって言うし、
こっちは1000万でSSR確定? 安すぎる!」
カイルは1000万ゴールドをドサッと置いた。
俺は、**エレナからコピーしておいた【雷神の槍】**を転写。
カイルのステータスに、**【雷神の槍(残り23時間59分)】**が追加される。
カイルは狂喜した。
「これで俺も最強だ!」
──3時間後。
カイルはS級モンスター「暴風竜」を単独討伐。
報酬2億ゴールドを手にして帰ってきた。
そして、俺に土下座した。
「もう1個! 今度は【無限魔力】を頼む!」
俺はニッコリ笑って、
また1000万ゴールドを受け取った。
──1日で30人。
売上3億ゴールド。
俺の懐は4億ゴールドを超えた。
神の自動販売機を完全に超えた。
だが、問題は起きた。
本物の神の自動販売機が、警告を出してきた。
ダンジョン最深部に再訪すると、画面に赤い文字。
【警告】
不正競争行為を確認
偽販売機の運営者を特定次第、魂を収奪します
俺は、舌打ちした。
──来るなら来い。
俺は、さらにエスカレートした。
偽販売機を10台に増やし、
全国の主要都市に設置。
看板も変えた。
「神より安く、神より確実。 俺たちを信じろ」
客は爆増。
1週間で売上20億ゴールド。
王都の冒険者8割が、俺の24時間スキルを買った。
そして、誰も本物の販売機を使わなくなった。
その夜。
俺は、エレナと酒を飲んでいた。
「レイン……やりすぎだよ」
エレナは、真剣な顔だった。
「本物の販売機は……神じゃない。
あれは、魔王の端末なんだ」
俺は、グラスを置いた。
「……知ってる」
エレナは、目を丸くした。
「実は、鼻くそ爆弾に……
隠しメッセージが埋め込まれてた」
俺は、ステータス画面を呼び出す。
[花クラッカー]
隠し効果:使用回数100回で魂が魔王に帰属
現在の使用回数:0回
メッセージ:お前はもう逃げられない
俺は、笑った。
「罠だったんだよ、あの販売機は」
エレナは、震えた。
「じゃあ……レイン、なんで……」
「だからこそ、
俺は本物を潰す」
俺は、偽販売機の売上を全部見せた。
総額52億ゴールド。
「これだけ客を奪えば、
魔王は飢える」
魂を収穫できなくなれば、
魔王は弱る。
俺は、立ち上がった。
「次の段階に移る」
エレナは、不安そうに聞いた。
「次……って?」
俺は、ニヤリと笑った。
「本物の販売機を、全部壊す」
──全国のダンジョン最深部に、
俺の偽販売機を設置する。
そして、本物を爆破。
魔王の収入源を、根こそぎ奪う。
俺は、グラスを掲げた。
「チートは奪うものだ。
神すら、俺が奪う」
エレナは、覚悟を決めた顔で、
グラスを合わせた。
──戦争が始まる。
人間vs魔王。
武器は、金と24時間スキル。
【続く】
(次話予告:「販売機爆破作戦」 レイン、全国の神の自動販売機を次々と破壊! 魔王が動き出す──!!)




