第8話 見た人々
パトカーが夜、警戒をしている。パトカーの車長、上野間部長はパトカーの経験は2年だが、交番の勤務が長くベテランである。
上野間部長は相勤者の警察官と共にパトカーで霊園の入り口を通りかかる。
すると駐車している車があり、アベックが乗っていた。夜遅く物騒なので注意するため、パトカーを止め、声をかけることにする。
上野間部長がのぞくと運転席に男が乗っており、助手席には女性の姿がない。これは見違いかなと思い。男に声をかける。
「おひとりですか。」「はい、本を読んでいました。」
「こんなところで読書ですか。危ないですよ。」「銭湯に行った帰りで涼んでいたのです。」
「そうですか。すみませんが車を確認させてください。」「はい、いいですよ。」
上野間部長は相勤の警察官と共に車を調べる。なぜか相勤の警察官は一言も話さなかった。
「では、お気を付けください。」「はい。」
2人はパトカーに戻って警らに戻る。しばらくして相勤の警察官がぼそっと言う。
「女の人見ましたよね。」「ああ、見間違いだよ。」
「2人そろって見間違いするのですか。」「まあ、気にするな。」
上野間部長は平静を装う。しかし、どうも気になる。そこでオカルト係に相談してみることにする。
「野間係長、お話があるのですが。」「あなたは?」
「地域1係の上野間です。」「上野間?」
「はい。」「あなたは自慢するために来たの。」
「どういうことですか。」「野間の上ということよね。嫌味な名だわ。」
「どうでもいいことではありませんか。」「私は気分が悪いわ。」
オカルト係には関わらない方がいいと聞いていたが、係長からしてこれか。
「幽霊を見たんですよ。聞いてください。」「仕方ないわね。富貴巡査、話を聞いてあげて。」「はい。わかりました。」
上野間部長は昨夜の出来事を話す。すると富貴巡査が言う。
「放っておいていいと思いますよ。」「だが、気になるのだ。」
「私、霊を見ることしかできないですけど、いつも見ないふりをしているんです。」「それで、大丈夫なの。」
「ええ、憑かれた時は野間部長に祓ってもらっています。」「私には憑いていないよね。」
「はい、大丈夫です。」「でも気になるなー」
「なら、今度の警らに私がついていきましょう。」「助かるよ。」
「でも、見ることだけしかできませんよ。」「かまわないよ。」
上野間部長は、次の勤務日に相勤の警察官のほか、富貴巡査をパトカーに乗せる。
「富貴巡査ですよね。どうして乗っているのですか。」「前回の幽霊を見てもらおうと思ってね。」
「嫌ですよ。もう見たくありません。」「そう言わず付き合ってくれ、気になるんだ。」
「僕は知りませんからね。」「わかったよ。」
相勤の警察官はいやいや承知する。




