第33話 聞き込み、若者たちの襲来
成岩部長と富貴巡査は、諦めず聞き込みを続ける。
「旧磯浦トンネルのことなら、わしらが言うのものなんだが、幽霊なんて出たことないよ。若い女の幽霊なら見てみたいね。」
「トンネルで人が死んだなんてことはないよ。よそから来た者たちが騒いでるだけだよ。」
「心霊スポットになっていることは知っているけど、何も起こらないよ。」
聞き込んでも、トンネルで人が死んだ話は出てこない。それどころか心霊現象に遭ったこともないというのだ。
二人は家々を聞いて回るので、刑事が聞き込みをしているとうわさが広がる。
成岩部長と富貴巡査は、一通り聞き終わって引き上げることにする。そして、歩いていると突然、村の若者たちに囲まれる。成岩部長が若者たちに聞く。
「何か用ですか。」「あんたには用はねえ。娘っ子に用があるだ。」
若者たちが一斉に富貴巡査を見る。富貴巡査は少しおびえながら言う。
「私に何の用ですか。」「ここでは話が出来ねえ。来てくれ。」
成岩部長と富貴巡査は若者たちに担ぎ上げられて連れ去られる。
「こら。公務執行妨害だぞ。」
成岩部長の声がむなしく響く。二人は集会所に担ぎ込まれる。集会所の中には豪華な食事が用意されていた。成岩部長と富貴巡査は上座に座らされる。若者たちが言う。
「さあ、歓迎会だ。食べて飲んでくれ。」「済まない。公務中なのだ。」
「帰るところだったんでしょ。だったら仕事は終わり。そうでしょ。」
歓待を受けないと返さないという場の空気があった。成岩部長と富貴巡査は仕方なく若者たちに付き合うことにする。
歓迎会は進んで酔いが回って来る。すると若者たちがそわそわし始める。それは、酔った富貴巡査の琴線に触れる。
「何こそこそしているの。男らしくないわよ。」
若者の一人が立ち上がって、大声で言う。
「富貴さん好きです。結婚してください。」
若者たちから拍手が上がる。成岩部長が言う。
「結婚なんて許しませんよ。」「あんた、お義父さんじゃないだろ。」
若者たちが突っ込む。富貴巡査は立ち上がって若者に言う。
「あんた、私の胸ばかり見ていたでしょ。失格。」「おおー、ふられた。」
「次、次、次ーーー」
若者たちは手拍子をし始める。次の若者か立ち上がって言う。
「恋に落ちました。付き合ってください。」「あんた、付き合っている彼女いるでしょ。」「なぜわかったんだ。」
「うらぎりものー、裏切り者はどうするか。つるせー」
若者は簀巻きにされて天井からつるされる。富貴巡査はこの調子でふり続ける。酔った富貴巡査は、見る力が暴走して人の隠し事まで見抜いてしまっていた。
若者たちは心をえぐられて全滅する。




