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第4話 魔族たちとごはんパーティ

「ふう……今日は魔族たちのために、ごちそうを作る日だ」


宮殿の台所でエプロンをつけながら、私は手際よく野菜を刻む。

「調理無双」のおかげで、手を動かすだけで料理が完成するのだが、それでも材料を選ぶ時間は楽しい。


今日は、私の魔王生活で初めての“魔族とのごはんパーティ”だ。

これまでの“戦わず外交”は人間中心だったが、魔族たちにも感謝と絆を示す必要がある。


「魔王さま! 手伝います!」


小さな魔族の少女たちが元気に駆け寄ってくる。

「ありがとう。でも、今回は私が仕切るね。見てて」


彼女たちは手伝いながらも、目を輝かせて私の動きを真似する。

料理を作るたび、食材が魔法のように美味しい料理に変わる。

パン、スープ、シチュー……香りが台所から宮殿全体に広がった。


やがて、魔族たちが集まる広間でパーティが始まる。

「魔王さま、いただきます!」


一口食べるごとに、魔族たちの目が輝き、笑顔が溢れる。

「美味しい……魔王さま、すごいです!」

「戦わずに、こんなに喜んでもらえるなんて……」


思わず胸が熱くなる。

戦闘力ゼロでも、料理と笑顔で人を支配できる――これが私の魔王スタイルだ。


しかし、宴もたけなわの頃、少し予期せぬトラブルが起こる。


「わあっ! スープがこぼれた!」


子供魔族がスープをこぼし、少し混乱が走る。

慌てて駆け寄り、手早く拭き、笑顔でフォローする。

「大丈夫、大丈夫! みんなで片付ければいいのよ」


一緒に笑いながら掃除するうち、魔族たちの信頼もさらに深まった。

「魔王さま、私たち、もっとがんばります!」


私もにっこり笑う。

「うん、じゃあこれからも一緒に楽しいごはんの時間を作ろうね」


夜になり、広間の灯りを落とすと、星の光が差し込む窓辺に立ち、静かに思う。


「戦わず、笑顔で世界を変える……これが私の魔王のやり方」


でも、窓の外に赤い瞳がひそかに光るのを見逃さなかった。

誰かが、あるいは何かが――私の力を試そうとしているのかもしれない。


それでも、私は少し胸を張る。

最弱魔王でも、畑と鍋と笑顔さえあれば、世界は少しずつ変えられるのだ。


――こうして、魔族たちとの絆も深まり、平和と美味しい料理に満ちた日々が続いていく。

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