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「拓哉、起きなさい」


ゆさゆさと優しく揺さぶられた。

目をつぶっていても、部屋の明るさを感じる。


まどろみの中から、優しく手を握られて現実に連れていかれる感覚。


「う、う~ん。」


「起きて。ほら」


目を開けると、姉さんが優しく微笑んでいた。

姉さんは余りに美人なので、いつも通りなのにまっすぐ目を見て言われると、少し照れてしまう。


カーテンを開けてくれたのか、部屋には朝日が差し込んでいて、

綺麗な顔の姉さんに後光が差していて天使のように見えた・・・というのは贔屓がすぎるだろうか。


「まだ眠いのに~」


昨日は考え事をしていて、余り眠れなかったので、

睡眠時間がいつもより1時間くらい短い。


体内時計が正確な方なのか、

一時間分の睡眠が足りない事がはっきりと疲労感としてあらわれていた。


「ふふ。かわいい声を出してもだめよ?起きないなら私は永遠に起こし続けるから」


「永遠って大げさな」


「大げさなんかじゃないわ」


微笑んだ表情のまま、僕の手を優しく握って言う姉さん。

優しいなと思う反面、なんだか少し怖いので、早く起きる事にした。









「おはよー準備終わったよ」


着替えを済ませて、朝食を用意してくれる食卓に行く。

お味噌汁と焼き魚の良い匂いがした。


僕は余り食べるほうではないので、いつも通り白飯は少な目。


「眠そうだったのに、ちゃんといつもどおり起きてこれたわね。拓哉のそういうところが好きよ」


姉さんはいつもの如く、制服の上にエプロンをつけている。

はは、学校の人が見たら笑っちゃうだろうな。


姉さんは大人っぽいし、学校ではクールで文武両道、男女ともに尊敬されているような人なので、

正直エプロン姿は少し不釣り合い。


いや作ってもらって、思ってしまう僕も僕だけど。


「そういうところって何さ」


「私にいつも従順なところ」


微笑んで、洗った手をタオルで吹きながら姉さんが言う。

指が長くて、水で濡れた手が窓からの日光に反射して発光して見えた。


「従順って・・・そんな」


「あら、違うの?」


「ペットみたいに言わないでよ」


「そんな風には思ってない。でも私の言うことはいつも聞いてくれるから好きってだけよ」


「・・・」


はっきりと照れくさい事を言われる。

姉さんにこういわれるのは正直僕もうれしいと思ってしまうのはシスコンなのかも知れない。


「僕はもう子供じゃないんだから、嫌な事は反抗もするよ」


ただ僕にだってプライドがあるんだ。なので体裁で少し反抗しておいた。

僕としては、ちょっと茶化したつもりだった。


だが姉さんの食器を整える手が止まる。


「・・・・・何?私にそんな言葉使いして」


姉さんの顔は無表情。

ほんの少しのこのやり取りで、やばいという、僕の中の防衛本能が反応する。


「ご、ごめんなさい」


思わず謝る。

そうすると、また姉さんは柔らかい表情に戻る。


「ふふ。朝ごはんができているから。準備が完璧にできたら一緒に食べよ」


「う、うん」

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