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異世界転生なんてない  作者: ゆーとぴあ
7/7

ユト・ユートピアとアステア派遣団①

生きてて良かったね

 巨大グリズリー。怖い魔物。大きさによっては、魔物の上位脅威種・魔獣に分類される。主に、アステア帝国北部の森林地帯に生息し、イズミの村周辺でも時どき見られる。村では、発見したら村総出で討伐に出かける。そうしないと、遭遇した村人がグリズリーに食われるからである。討伐方法は、銃や弓矢、投石など、遠距離での攻撃でダメージを与え、弱ったところを、長槍で一斉に刺す。瀕死になってグリズリーが動けなくなったことを確認して初めて近づき、とどめを刺す。そうしないと人間は一撃でも攻撃を受けたら、絶対に死ぬからである。一人、もしくは少人数でグリズリーに出くわしたときは、各地に伝わる「グリズリーに出くわした時の対処法」を実践し(実践しても生きるか死ぬかは時の運)、決して戦わないよう伝えられている。

 つまり、ユトは絶対に死ぬ状況である。


 ユトは、グリズリーと目が合った瞬間、恐怖で戦意を喪失。同時に腰が抜けて、その場にへたり込む。イズミの村にも伝わる「グリズリーに出くわした時の対処法」を実践するのはこの時点で不可能になる。

 不幸は重なる。女の子を襲おうとしていたグリズリーは、ユトに狙いを変更。理由は、釣りの際、魚を触っていて、その匂いがユトに残っていたためだが、二人はこの時もその先もその理由に気づくことはない。

 最大時速60キロメートルを超えるというグリズリーは、一瞬でユトとの距離を詰め襲いかかる。


女の子「危ないっ!!」


 ユトは、ハッと気を取り直すが、できることは何もなく、襲いかかるグリズリーから身を守るように手を顔の前に出し、「ぅぁああああぁ~」と情けない、人生最後の声を出した。


 その時、両手からまばゆい閃光が放たれ、グリズリーは一瞬にして跡形もなく消滅した。そして、その先にある木々も消滅していた。少し手を上に向けていたため、女の子や森は無事であったが、これは偶然の幸運である。


 あっけにとられて呆然とする二人のうち、先に動いたのは女の子。ユトの方に駆け寄り声をかける。


女の子「大丈夫ですか!!??」


 何が起きたか分からないユトは反応できず、襲われた時の体制のまま呆けている。女の子の前で失禁していなかったのが唯一の救いかもしれないほど、情けない姿で…。


女の子「あのっ!!だいじょーーーぶデスかっ!!!!」


ユト「…ぁ、ぁあぁ」


 状況が呑み込めない中、なぜかグリズリーは消え、自分が生きていることを知ったユトは、やっとのことで返事をした。


女の子「あのっ、助けてくださり、ありがとうございました!」


ユト「ぁあ、いえぃぇ~」


 助けたというより、襲われたので身を守る体勢を取っただけなのだが。結果的にグリズリーは消え、自分も女の子も助かったのだから、助けたで良いのか…?しかし、なんで。


女の子「本当に、本っ当に!ありがとうございます!あなた様は命の恩人です!!」


 次第に、落ち着きを取り戻しつつあるユトは、女の子が美人であるということを再認識するとともに、彼女の話し方がとても丁寧で、気品のあるものであることに気が付いた。この子はどこの誰なんだ?なんでこんなところにいる?


ユト「キミ…は?」


女の子「私は、私の名前はエレナ。エレナ・アステアソード。アステア派遣団の一人です」




お読みいただきありがとうございました

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