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魂の墓場 迷いの森のドール➀
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「ロン…。一つの作業も蔑ろにしてはイカン。一つ一つの作業に魂を宿すんだ。そうすれば、おのずと出来上がった頃にはその答えが自然と目の前に出来上がっている。……………それを極めていくのが職人の仕事だ」
……………それが、亡くなった祖父。そして父親に代々受け継がれてきたかのような口癖だった。
「…………命の込められた仕事には、新たな命が生まれる。それに魅入られてしまうのは職人のさがなのかもしれないが…、狂う程のめり込んで技を極めろとは言わん。だが、ひたむきさだけは捨てるな。それを積み重ねた先の物だけを見ていけ」
「……………そうすれば、冴えない人間でしかない職人でさえ、起こせる奇跡の一つもあるかもしれないからな」
………………その二人の言葉とは少しニュアンスは違うかもしれないけれど…。
俺はその奇跡の為に、"全て"のものを捧げる覚悟をあの時したんだ。