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人間の心
私、間違ってたみたい。
お父さんも、友だちも、みんな私のことを嫌ってなんてなかった。
私が死んだら、悲しんでくれる人ばかりだった。
全部、私の視野の狭さが招いたことだったの。
死ぬのは、あともう少し先……。
いや、あと九十年くらい先でいいや!
それとね? お母さんに「ありがとう」って言いたいの。
……。
あんなに嫌ってたのになんでかって?
…………。
そうだよねぇ、人間の心って不思議だよね。
でも、その変化こそが一番の理由なのかも。
私があそこで死んでたら、こうして沙楽の隣で喜ぶこともできない。
お父さんもボロ泣きで「お”め”で”ど”う”!!」って言ってくれない。
ミサちゃん先生も、祝福の言葉を送ってくれない。
クラスのみんなも、わざわざ会場に足を運んでくれない。
……まぁ、私の扱いが散々だったことには変わりないけどサ?
それでも、今の私は幸せだから。




