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モノクロームに愛された者たちへ  作者: ヤナギ ショーキ
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お話を進める前に

 私の目の前にぶら下がっていたのは、魂のない、無機質な肉塊でした。


 そして私は、そのシーンで目を覚ましました。


 その恐ろしい光景が頭に焼き付き、心臓が激しく鼓動する中、現実に戻ったこれたんだ、と私は実感しました。


 当時、高校二年生だった私は、『神様は、私からまた大切な人を奪おうとしている』という思いに押しつぶされそうになりながら、ただただ泣き叫ぶのでした。


 私の泣き声に気がついたのか、母が大慌てで私の部屋に入ってきました。


 母は私を抱きしめ。ひたすら背中をさすってくれたました。


「大丈夫、大丈夫だから」


 ようやく精神的な平穏を取り戻した私は、スマートフォンで夢の意味を調べました。


 しかし、その意味は信じがたいものでした。


 成長につながる吉夢などという言葉が、私には遠く感じたのです。


 恐怖が私を離さない。


 ただただ、『これが現実にならないように』と、切実に願うばかりでした。


 過去の事実は、過去の傷は、決して消えることもなく、癒えることもない──。


 ─────────────────────


『夢だから何でもありじゃないか』と言われればそれまでなのですが、私はどうしても、それが夢の中だけの光景とは思えなかったのです。


 確かに私は、その世界で、その瞬間、息を吸い、そして生きていたのです。


 私が夢の世界で体験したのは、おそらく神さまが定めたもう一つの現実世界。


 少しでも間違えれば、現実世界のナツも、夢の世界と同じような末路をたどっていたのかもしれません。


 夢の世界でナツが飛び降りた理由は、正確には分かりません。


 ですが、一つ心当たりがあります。


 彼女は『欠けている』のです。


 何が欠けているかについては、あえてここにでは語りません。


 皆さんのご想像にお任せしたいと思います。


 それでも彼女は、毎日必死に、しがみつくように生きている。


 しかし、彼女は飛び降りる道を選んだ。


 その道を選ぶことになってしまった理由の一つとして、愛情が関係していることは明白です。


『子供のことをろくに知らない高校生が何を言っているんだ』と言われるかもしれません。


『分かったように口をきくんじゃない』と言われるかもしれません。


 ですが、それでも私は、批判されることを承知の上で書きたいと思います。


 運命の人と出会い、結婚し、子供が欲しいと思ったら、どうか、どうか今一度、パートナーとの相性を測ってください。


 でなければ、人知れず内面にあるゆがんだ感情と戦い続けることになるでしょう。


 あるいは、目に見えない痛みに耐えきれず、たった一人で逝ってしまう。


 悲しい道をたどることがないよう、どうかお願いします。


 お願いします。


 お願いします。


 お願いします。


 ─────────────────────


 人生における障害とは、持病などではありません。


 無関心を貫く周囲と、本来なら盾となるはずが、逆に凶器となって我が子を傷つけようとするどうしようもない人たちこそ、真の障害なのです。


 ─────────────────────


 Se eu me tornar uma pessoa assim, não hesite em me matar.

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